こころの生活習慣病②~日記・記録で「見える化」する~
最も有効なダイエット法は?
先回、「からだの生活習慣病」と「こころの生活習慣病」についてお話ししました。
ところで、身体の生活習慣病を予防したり治療したりする方法の一つにダイエットがあります。
ダイエットとは、健康のために余分なものを食べすぎないことなどを言います。
この食べ過ぎというのは生活のクセです。
日ごろのストレスなどで、ついつい食べ過ぎてしまうのです。
世の中にはさまざまなダイエット情報が氾濫していますが、なかなか長続きしません。
そんな中、多くの人がこれが一番効果があったと認めているダイエット法があります。
何だと思いますか?
実は、それは
"毎日体重を測りそれを記録する"
というシンプルな方法だったそうです。
では、なぜそれが効果があったのか。
それは、自分の体重が「見える化」されたからです。
「見える化」することで何が問題かが分かる
グラフなどで「見える化」されることで、
自分の状態が一目瞭然分かります。
体重が増えれば、自分の生活の何かが問題であると気づくことができます。
「夕食はお米抜きにしてみよう」
「明日からジョギングを始めよう」
・・・・・・とか。その時その時で、臨機応変のダイエット法が可能になります。
決まった方法で、ストイックにダイエットしようと思うとなかなか長続きしません。
つまり、それは誰かが作成したダイエット法を忠実に実行することでなく、自らの力、つまりセルフヘルプのダイエット法というわけです。
そのための大事なポイントが、
「見える化する」ことであり、臨機応変ということでした。
こころのダイエット
それでは、「こころの生活習慣病」はどうでしょうか。
これは先回お話したように、いわば毎日の考え方・感じ方のクセが引き起こします。
それが、毎日の生活の中で積み重なることで、
心の不調(不安・うつ・悩み・苦しみなど)を生み出してしまう原因となっているのです。
この「こころの生活習慣病」にもダイエットが必要です。
ところが、自分が「こころの生活習慣病」にかかっているかどうか、
半ば無意識化されているため、
自分自身ではなかなか分からないものです。
こころを「見える化」する
そのためには、まず自分のこころを「見える化」してみることが有効です。
具体的に言えば、文字化(あるいは言語化)することです。
つまり、
ダイエットで"体重を記録する"
ことにあたります。
文字化(あるいは言語化)することで
、今何が問題かに気づくということです。
見える化作戦(1)日記療法のすすめ
森田療法では「日記療法」というものがあります。
自分の行動や、その時頭に浮かんだ考えや生じた感情などを
日記につけるのです。
日記を続けていると、自分の考え方や感じ方に或る傾向があることが分かります。
それが"こころのクセ"です。
つまり、見える化されたことによって
自分で自分のこころの偏り・クセに気づくことが出来ます。
そうすることによって、
"ああ、私はいつもこう考えてしまうんだな"とか、
"この考え方は極端だな"
とか気づかされます。
その結果、知らず知らずに自分の誤った考え方が修正されていくのです。
いわゆる、自己治癒力(自己修正力)が働くからです。
以下に森田式日記療法の意義をあげてみましょう。
森田式日記療法のメリット
①思考や行動パターンに気づくことができる
自分が無意識に抱えている感情や思考、行動パターンに「気づく」ことが出来る。
②感情を評価せずに「受け止める」練習になる
"不安があった"
"緊張した"
などの感情は記しても、それは事実としての記録であって、
それを良かった悪かったと評価しない。
「ああ私はこんな時こんな風に感じるんだなあ」
とただ受け止めることで、感情と共存する態度が養われる。
③行動に目を向けられるようになる
"不安があったけれど買い物に行った"
"緊張しながらも授業に出た"
など、できた事実(行動)に注意を向けられるようになる。
④心は日々変化していることを教えてくれる
毎日書くことで、自分の心の変化を記録することができ、
「こころ」や 「ものごと」は日々変化していることを実感することができる。
⑤自己治癒力の発揮につながる
①~④の結果、自分がいかに固着した考えに「とらわれ」ていたかを知ることができる。
そのことで、自分の考えや感情を受け入れることが出来たり、
自己肯定感が高まるなど、「自己治癒力」の向上に役立つ。
⑥いつでも読み返し、心に刻みつけることができる
記録として残るので、自分の心の軌跡を、おりに触れて何度もくり返し読むことが出来る。
見える化作戦(2)思考記録表
一方、認知行動療法では「思考記録表」というものがあります。
自分が不安や恐れなどネガティブな感情に襲われた時の状況や、
その時浮かんだ考えやイメージ、
それに対して、"もっと現実的な考え方はないか"などを整理して書き出します。
言わば「こころのメモ」のようなものです。
自分の感情を客観的に見つめ、記録することで、
改めて自分が何にとらわれているか気づくことが出来ます。

思考記録表のメリット
①思考・感情・行動を分けて"見える化"できる
感情に流されないで、客観的に自分のこころを知ることが出来る。
②思考のクセに気づける
● 白黒思考
● べき思考
● 過度の一般化
など、自分の思考のクセに気づける。
③「別の見方」を練習できる
「考え方の選択肢」が増え、
ネガティブばかりではない、柔軟な考え方ができるようになる。
④感情が変化するのを実感できる
"思考を見直すと気持ちが軽くなる"経験を得られる。
以上、こころを「見える化」するためのツールとして、
「森田の日記療法」と認知行動療法の「思考記録表」をご紹介しました。
まとめ
いずれにしろ、「からだの生活習慣病」と同じで、
こころにも "知らず知らずに身についたクセ"があることを、
この日記や記録を通して知ることが出来れば、
以後の人生を、より楽に生きられるのではないでしょうか。
