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風立ちぬ(宮崎駿監督作品) を観た感想

 この作品は所謂ジブリ映画、宮崎駿監督作品の中でも最高傑作だと思う。
他にも素晴らしい作品はたくさんあるのだが、それでも最高傑作だと私は思う。それは宮崎駿監督と主人公である堀越二郎が重なる部分が多いからだと思う。ナウシカ、アシタカ、千尋、ハウルといった今までのジブリの登場人物の中でも一番だろう。同じモノ、なにかをつくる立場。堀越二郎(以下二郎とする)が作図をしていてその飛行機が飛ぶ様子を想像して風が立つシーンは宮崎駿監督(以下監督とする)自身も作画中イメージが膨らんで同じような世界に入り込むのだろうと想像出来た。あとは二郎の同僚でありライバルの本庄がしきりに口にする矛盾。国を豊かにするために俺たちは飛行機を造る。けどその金があれば日本中の子どもを飢えから救える。結句、造った飛行機は戦争に使われ、日本は焼け野原になった。矛盾。監督も矛盾を抱えながらアニメをつくっていたのだろう。自分の作品は生きること、外に出て世界に働きかけることの大切さを訴えながら、結句は、家でうちにこもってアニメを観続ける所謂オタクを量産しただけではないだろうか。ジブリに出て来る登場人物の様に外の世界に働きかけるのは難しい(筆者は働いていてジブリの登場人物みたいに働けたらなあと思うことがある。千尋の働いていた油屋やパズーやシータが働いていたタイガーモス号は労働環境は決して良い様には見えないが。だが実際に現実にある職場よりそこには働くことの楽しさや健全さが多くある様に見える)。それでも二郎は監督は仕事をし、何かをつくる。そこにはなんというか男のロマン、いやそんな安い?言葉では表現出来ない鬼気に迫るものがある。鬼という言葉でそれが悪魔的というか人間ならざるモノを含んでいるのにも気付く。二郎は飛行機を造るのは面白い!と言う。その一方で関東大震災があり、銀行の倒産や職を求めてさまよっていく人達の姿がある。動乱の時代だ。しかし二郎はそういったモノを視界に入れこそすれ蚊帳の外というか一線を引いている。銀行の倒産で人々が押し寄せるのを車窓からぼんやり眺め、海外に研修にも行ける。世界を観るためにわざわざ西廻り遠廻りで帰れるし、実験機が失敗すれば保養?の為、軽井沢のホテルで休める(まあそこでフィアンセになる里見菜穂子と再会するのだが)。二郎がフツーの人から離れている感じがした。悪魔的とまでは言えないが。けど夢の中で二郎を飛行機の設計に唆した?カプローニ伯爵は目が爛爛としていたし悪魔的だった。設計する飛行機も危なっかしい(と筆者には見えた)ものが多く墜落すれば記録フィルムを滅茶苦茶にするし、そんなものに職工や自分の身内を満載して飛んでいた(そういえば自分の妻や子どもはちゃっかり別機に乗せていた)。監督自身も作品をつくる際自分自身を追い込んでいる(ドキュメンタリーでその様子は観れる)。鬼気迫るものがあるのだろう。
 それと今回の作品で思ったのがラブストーリーがちゃんと描かれている!ということ。ラピュタではパズーとシータは両想いだが、そこまで関係を突っ込んで(というかまだ子どもだし)描いていないし、もののけ姫でもアシタカがサンと一夜を過ごしたシーンもそのことはうまく?省略していた。仄めかしだけだった。しかし本作品は違った。結婚初夜に菜穂子がちゃんと二郎に「来て」と言っているし(なんならラストの「生きて」より印象に残っている)、彼女が死の病に侵されていても女性としての性的な力があることも布団をめくった瞬間に着物の胸あたりがあからさまに膨らむ描写でちゃんと表現されていた。こうやって遠回しに描かれたエロが実は一番エロいと思ったりもした。監督だからこそできるモノだろうが。
 他にも書きたいことは山ほどあるが筆が追っつかない。やはり当たり前のことだが本作品を実際に観てその素晴らしさを味わうのが一番だろう。

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