ぜんけいさん都会へ行く 【エッセイ】
「僕って生まれも育ちも大阪なんすよ」
こう言われたら ぜんけいさんはさぞかし大都会に住んでいるんだろうなぁって想像して、さぞかし素敵で爽やかな人なんだろうなぁって妄想するだろう。
ところがどっこい。
全然そんなことはない。
爽やかではあるけれど都会っ子ではない。
大阪といえど栄えている都会などごく一部。
それ以外は人口密度の高いただの田舎だ。
いわば僕は生粋の田舎育ち。
だから大都会は苦手だ。
どこもかしこも人だらけ。
数え切れない程の人々がいるのに誰のことも知らない。
何故だれも恐怖しないのか。
不思議でならない。
誰があんなところに好き好んで遊びにいくのか。
しかし、そんな大都会 大阪梅田 に行く用事が発生した。
長男のランドセルを選ぶという一大イベントだ。
苦手だぁ!とか言って家に引きこもっている場合じゃない。
意を決して大都会へ行くしかない。
愛する息子のために。
でもさ。
ここでひとつ疑問があたまを過ぎる。
大都会にいったい何着ていくの?
知らない人の為に補足すると、僕は普段から全身ユニクロで身を固めるユニクロマンなのだ。
梅田に全身ユニクロマンで行けというのか。
まぁ梅田にもユニクロはあるから 別段おかしいことはないのかもしれない。
むしろ一周回ってオシャレなのかもしれない。
でもさ、なんかこう大阪人の常識というかなんというか 梅田に全身ユニクロマンは抵抗がある。
僕も大人になったということだね。
大人になった僕は タンスの引き出しを漁る。
そして奥の方から一枚のジーパンを取り出した。
頂きものの謎のジーパン。
ユニクロよりは確実に高価であろうそのジーパンで勝負を決めることにした。
僕
「よう久しぶりだな。おまえの出番だぞ。思う存分暴れるがいい!」
ジーパン
「旦那、お久しぶりですね。あっしにお任せくだせぇ。ビシィっと決めてみせやすぜ!」
なんて頼もしいヤツなんだ。
惚れ直したよ。
僕は履いていたユニクロのゆるーいズボンを脱いでジーパンに足を通す。
硬い!
なんて硬さだ。
ユニクロにはない硬さ。
ユニクロでは許されない硬さ。
フフフ。
この硬さなら梅田でも大丈夫だろう。
勝ったな。
僕
「ん?おいジーパンよ。おまえ少し見ないうちに縮んだんじゃないか?」
ジーパン
「へへ、旦那。勘弁してくだせぇ。あっしは伸びも縮みもしませんぜ。あの頃のままでっせ」
おかしい。
ふとももとウエストがキツイ。
これから大都会大阪梅田へ行こうというのにキツイ。
かなり動きが制限される。
しゃ、しゃがめない。
ポケットにスマホが入らない。
ど、どうする。
いい歳をした青年がゆるいユニクロマンで梅田を闊歩するか、ガッチガチのパッツパツのジーパンで痩せ我慢しながら練り歩くのか。
ムムム。
ジーパン
「だ、旦那!今は多少キツくてもはいてる内に馴染んで、ええ塩梅になりまさぁ!あっしを信じていきましょうや!」
僕
「たしかにそうだな。せっかく引っ張り出して足まで通したんだ。僕には今日一日を履き通す責任があるな」
というわけで少し腹を引っ込めてガッチガチパッツパツで大都会大阪梅田へ。
クルマで行ったのだが座るとキツイ。
しかし男は一度決めたことを曲げることはできないのだ。
何事もないかのように爽やかに振る舞う僕。
なにが僕をそうさせるのか。
僕にもわからない。
でも僕はやりきったよ。
今日一日をジーパンで乗り切ったんだ。
帰ってからユニクロゆるズボンに履き替えた時の得も言われぬ快感は筆舌に尽くしがたいものがあった。
しっかし痩せるかジーパンを拡張するかしないと、次の戦いに挑めない。
え?
ランドセルの話はどうなったのかって?
定休日だったんだよハッハッハッ。
僕の我慢ジーパン旅は徒労に終わったってわけさ。
笑っておくれ。
さて。
このままでは終われない。
僕はダイエットに励むことを心に誓った。
梅田でおしゃれドーナツ食べながら。
ではまた。
次回予告(ウソ)
「都会でおしゃれだからって美味しいとは限らない」
の巻き。
