【小児科医日誌】121 ペットを飼うことは情操教育につながる
「情操教育」とは,感情や情緒を育み,創造的で,個性的な心の働きを豊かにするための教育,および道徳的な意識や価値観を養うことを目的にした教育の総称(Wikipedia参照)を指します。
抽象的な概念であるので,解釈が難しいと思うが,机上の学習だけでは感情や情緒は成長しないのは当然だと考える。集団学習や体験学習など人生経験が人間的に豊かするのだと思います。
わたくしは子どもころに雌猫を飼っていたのだが,性格的に穏やかだった猫が出産間際になると目をギラギラとさせ狂暴となり何物も寄せ付けないように部屋の隅の段ボールを巣箱としていたのが印象的であった。2時間ほどの出産は聞いたことのないような奇声を発し続け,子猫をポンポンと生んだ後に赤黒いレバーのような固まりを産み落としたと思ったら,一瞬のうちにそれをむさぼり食べたのは衝撃的であった。後にそれは胎盤であったということが分かったのだが,子猫を育て生きるためにその行為が必要であったのであろう。無事に生涯3回の出産そして10匹の子猫を生んだが,それぞれ里親を知り合いのつてを辿って探したこと。晩年,猫が体調を崩したときに飼い猫は運動量が少なく,そのため水分をとらないこと食事も人間と同じものになりがちで塩分過多で腎臓に影響が出てしまい,それが寿命を縮めることなどがわかった。分かってからでは遅いのだが,なんとか猫に長生きをしてもらいたくてどうしたらよいものか獣医に聞いたり図書館で本を調べたり,身体をあっためたり尿が出やすくするようなツボ押しをしたものだった。
教科書には載っていないことばかりであり,実際に経験し,考えたり悩んだことは非常に大事であったと思う。
猫とは話は変わるが,うちの奥さんが妊娠中に味覚が変わったのかピザなどチーズ料理を3週間ほど連日一緒に食べ歩きを後に経験したのだが,あれには胃がもたれて閉口したものであった。
悲しいことや辛いことを経験することは人と接しているとあるものであり,家にこもってTVやネットの世界にいればいやな想いもしないだろう。しかし人との関わりが希薄になっている世の中では人間的に未熟な集団の世界がこれからどんどん形成されるようで心配である。
2017年06月
