「学校に行きたくない」
そう言われてうろたえない親はそうはいないでしょう。
子どもがふざけて言ってきたのであれば、そんなこと言っていないで、学校は行かなくちゃダメだよと言えるかもしれませんが、子どもが真剣な顔をしていってきたらどうでしょうか?
そう簡単には言えない言葉です。子どもが学校に行かなくちゃいけないことはわかっているのに、そんなことを言ってきているのですから、大人も真剣に向き合って話を聞かなければなりません。
「ダメなものはダメだ。学校は行け」と怒ってしまったら、もう二度とそのようなこと入って来なくなるかもしれません。でも、それだけで済ませてしまってはいけないこともあるのです。
「どうして学校に行きたくないの?」
そう話を聞く姿勢がとれるなら、良好な親子関係なのでしょう。
なぜなら、子どもが「学校に行きたくない」とネットで検索するなどしていたら、それは自殺につながる予兆なのかもしれないことが分かったのです。子どもが出している「SOS」のサインすら受け取れなかったのであればそれはとても悲しいことでしょう。
例えば文部科学省が2024年に公表した調査によると、2023年度に小中学校で不登校だった児童生徒数は34万6482人にのぼり、11年連続で過去最多を更新しました。高校でも不登校の生徒数は6万8770人と、こちらも過去最多となっています。
コロナ禍で増えた不登校児童数はここまで増えているのです。
そして2016年から2020年にかけての日本の小中高生の自殺者に関するデータを、警察庁が公表している週ごとの自殺者数のデータと、Googleトレンドで調べられる特定のキーワードの検索ボリュームの関係を、週単位で追跡した多摩大学が2024年に報告した研究では、「学校に行きたくない」というキーワードの検索ボリュームが増加すると、その後に小中高生の自殺者数が増加するという、統計的に意味のある関連(グレンジャー因果性)が認められたのです。
特に、全国一斉休校など社会が大きく揺れ動いた新型コロナウイルスのパンデミック期(2020年)には、「学校に行きたくない」という検索と自殺者数の連動が、より顕著に見られたといいます。
この研究からは、子どもたちが発する「学校に行きたくない」という言葉や、その気持ちから検索に至る行動が、単なる学校嫌いや甘えではなく、深刻な精神的苦痛の表れであることがわかります。ネットというプライベートな空間で打ち明けられる本音こそ、大人が気づきにくい子どもの心の危機を知らせる重要なシグナルなのかもしれません。
さて、過去最多の不登校児童数34万人は、なぜ子どもたちは学校へ行けないのでしょうか?
文部科学省では、不登校の子ども本人、保護者、そして担任の先生という三者の視点から、その要因を探っています。すると、特に先生と児童の間には、不登校の「きっかけ」に対する認識に大きなギャップがあることが浮かび上がってきました。
まず、子ども自身が「学校に行きづらい」と感じ始めたきっかけは、「気持ちの落ち込みやいらいら」「朝起きられないや夜眠れない」「からだの不調」がそれぞれ70%前後です。
一方で、先生がこれらの不調を把握していた割合は20%にとどまり、子どもたちが抱える心身の苦しみが、いかに大人に見えにくいかが分かります。
さらに、子どもたちは学校そのものへの「つらさ」も挙げています。
「先生、そして学校の決まりごと(制服・給食・行事など)」に合わなかったといった、画一的な学校システムや人間関係への不適応も、40%程度と大きな要因となっているようです。
一方で、先生方が不登校の要因として認識しているのは、「学業の不振」や「宿題ができていない等」が40%程度となっています。 このように学習面の問題が中心でした。もちろんこれも重要な要因ですが、子ども本人が感じている心身の不調や学校生活への不満とはかけ離れたものになっています。
今後は児童と先生の認識のズレをいかに修正するかが鍵を握ることになるでしょう。
