風まかせ文芸部 『青のグラデーション』
朝の憂鬱。
深い深いブルーの底で目覚める。
黒い青。
他に何も足せないような、どっしりと重い色。
そんな中で、少しずつ意識が目覚めてゆく。
窓を開け、外の空気を吸い込み、朝の音を耳にして、心の中の黒が薄れ、自分の青を取り戻してゆく感覚。
でも、まだ濃いブルー。
その色のまま、家を出る。
街は動き出している。
私は、人の流れに交じり、職場へと向かう。
流れる。流される。川の流れのように。
川は青く、そして白が混じる。
透明度が生まれ、だが、すべては見通せない。
見知らぬ顔がいくつも、同じ車両に乗り合わせている。
あ、でもあの人は今までにも何度か見かけたな。
だけど、言葉も交わさない。
そんな関係。
流れ流されて、目的地の海へ。
そこは、知った顔がいくつも集まる私の職場。
社会という大海のほんの一部分。
透明度は増したが、すべてを見通せるわけじゃない。
そしてこの海は、時には白い波が立ち、澄んだブルーや濁ったネイビーが織り混ざる。
さらに海の底には、凶暴で醜悪な存在がひしめき合っている。
そこはきっと、朝よりも黒い青だ。
出来るだけ、関わらないように。
日の光を反射して、綺麗に輝く海面だけ見ていよう。
泳ぎ疲れて家に帰る。
朝、流された川を遡上して。
疲れた顔の乗客は皆、傷だらけのサーモンのようだ。
それでも、生まれた川の匂いを嗅ぎ分けて、帰るべき場所へと運ばれてゆく。
移り変わる青のグラデーション。
向かうにつれて、その色は澄んでゆく。
そして、赤が交じり、静かな黒へ。
流れ流されて、最終目的地。
一日が終わる。家族に包まれる。
今この時、この場所にいれて良かった。
こちらの企画に参加させていただきました。
よろしくお願いいたします。
