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風まかせ文芸部 『炭酸』

炭酸の刺激。
喉に心地良い。
コレだよ、コレ。夏の醍醐味じゃないか。

タンさんは上機嫌。
炭酸好きのタンさんだから。
今日も朝からコーラを飲みまくり。

えっ?
コーラの輸入がストップする?
なんでっ?
日本が出し渋ってるの?
許さん。そんなの許さんよ。
俺の生霊飛ばしのスキルを舐めんなよ。

遠い国、日本。
ほう、ずいぶん広くて綺麗なお店だな。
日本人はこんな環境で食事してるのか。
羨ましい。
で、皆はコーラを飲んでるのかな?
日本でもっと普及すれば、そのニーズが高まって生産力も上がるはずだ。
あんな美味いもの、ジャンジャン作らないともったいない。
ほれ日本人よ、どんどんコーラを注文しなさい……って、なんだアレ?
あの箱から、飲み物が出てくる。ボタンひとつで?
おいおい、コーラもあるじゃないか!
どうなってんだよ、日本!?

ま、まあ、とりあえず落ち着いて。
こうなったら、ここにいる客に信号を送ってみよう。
もっとコーラを飲めと。
あんなに簡単に飲めるんなら、毎日何杯飲んだっていいじゃないか。
私の村じゃ、車で二時間の街へ出て、そこに唯一あるスーパーでしか買えないんだ。
買いだめて、少し気の抜けたコーラしか飲めないというのに。
何なんだ、この便利なシステムは。
日本人、恐るべし。

「タンさんがさ、世界転覆を目論んでるんだよ。俺達はさ、それをサポートしなけりゃならないんだ」
……って、おいおい、待て待て、俺はそんなこと言ってない。
この若者二人に信号を送って、コーラ愛を増強させようと思ったが、久し振りの生霊飛ばしで腕が鈍ってるようだ。
世界征服を目論む悪の権化みたいになってる。
違うって。
皆で美味しくコーラを飲もう!って言いたいだけだって。

「タンさんが暴れてるって言ったろ。こんな世界に嫌気が差してるんだよ」
暴れてないって。世界に嫌気なんか差してない。
コーラのある世界を愛してるんだから。
……ん?でも、こっちの若者はコーラを飲んでないな。
コーヒーばっかりじゃないか。
カフェインの摂りすぎだよ。
まあ、コーラも飲み過ぎは良くないが。

「だから……タンさんって誰なんだよ!」
ああ、ごめん、ごめん。
生霊の姿は、見える人と見えない人がいるもんな。
隣に座ってるのに、気付いてもらえない。
まあ、いずれにせよ、この国での普及活動は必要なさそうだ。
だって、ボタンひとつでコーラが飲めるんだから。
これ以上、どうやって促進につなげろっての。
味の良さは、今さら説得するまでもないだろう。

さて、こっちの彼、盛大な勘違いをしてしまっているようだが、どうする?
……まあ、いいか。
そんな存在を信じてもらった方が、コーラの普及は進むかもしれない。
なんてったって世界制覇だ。
私達の村にだって、多大なる影響があるだろう。
もしかしたら、村の店にもコーラが置かれるようになるかも……夢のようだ。
いや……それよりも、いつかこのマシンを我が村に迎えたい。
そのためにも、君達の勘違い普及活動を奨励するよ。
頼むぞ、日本人。
私は、同じテーブルに座る彼らにそっとエールを送った。

このお話のスピンオフとゆーか、タンさん目線バージョンです。

こちらの企画に参加させていただきました。
よろしくお願いいたします。

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