風まかせ文芸部 『途中』
道半ば、旅の途中。
背負ったリュックはそれなりに重い。
まだ、ゲーム&ウォッチひとつの重さしかなかった頃が懐かしい。
しばらくしてウォークマンを持ち歩き、インスタントカメラなんかにも興味を持った。
地元の田園風景に囲まれた一本道で自転車を止めて、TMNETWORKなんかを聴きながら、遠く連なる里山の風景を写真に収めた。
人生がまだ広く、遠く感じられた。
リュックの中にゲームボーイといくつかのソフト。
楽しめる選択肢が増えてゆく。
カセットはCDに、そしてMDに変わる。
聴くアーティストが増えても、まだTMNは好きだった。
カメラはデジタルコンパクトに様変わりしていき、フィルムをいくつも持ち歩く必要もなく、背負うリュックは軽くなるかと思われたが、そのひとつひとつの機器は様々な機能を詰め込んで、ずっしりと重かった。
両親に依存していた生活から解放されて身が軽くなる。
そのくせ、自分で背負わなければならない責任が増えた。
軽いのに、重い。
当時の想いを書き込んだワープロは、自分の気持ちを表現してくれて、切なさや不安までカタチにしてくれた。
コタツの上でキーボードを叩き続けた夜。
だけど、どれだけ叩いても、言葉が電波に乗ることはなく、その想いが誰かに届くこともなかった。
収入を得られるステージに上がり、欲しいものを自分の力量で手に入れられるようになったが、そんな自由のもと、購入、契約したPHS、そしてガラケー等の常時携帯の端末に、日々を縛られているような感覚が芽生えてくる。
だけど、手放すことは出来ない。
時代がそれを必要としていた。
想いが誰かに届くようになった。
だけどまだ足りない。
道半ば、旅の途中。
背負ったリュックはそれなりに重い。
人生の重みを背負っている。
これまで生きてきた旅路の、積み重ねた喜びや悲しみや幸せや不安、笑顔や涙や妬みや誇りなんかを詰め込んで、ゲーム&ウォッチならシリーズが全部揃うくらいの重さはあるはずだ。
反して、かつて手に入れた当時最先端のガジェットは、今これを書いているこのスマホ一台に凝縮され、ゲームも音楽もカメラも、そして誰かと繋がるためのネットワークさえも用意してくれる。
noteに出会い、想いをたくさんの人に届けられるようになった。
それが受け入れられるかどうかは自分の力量で、これまで積み重ねた経験も活かすことが出来るはずだ。
生きる。
ただそれだけで、積み上げられる。
そして、捨ててゆく。失ってゆく。
まだまだ途中だけど、きっとそれなりにうまくいく。
これからも、積み上げたものを信じられる限り。
だから、旅を続ける。
こちらの企画に参加させていただきました。
よろしくお願いいたします。
