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50代でキャリアチェンジした私が、「やりたいこと」と「好き」を探していく― 人生そのものがデザインだったと気づくまで

5. 「わたしにできる福祉ってなんだろう?」   
  ― 4社の面接を受けて、たどり着いた場所

わたしができそうな福祉ってなんだろう。

調べてみると、昔はなかった「生活相談員」という職種があることに気づく。

なんだ?

就労継続支援A型、B型って知ってはいたけれど、なんだかふわっとしか
わからない。

精神障害、身体障害、知的障害、発達障害、難病をお持ちの方への
就労支援?

作業所みたいなところ?

これって、企業経験があって、介護で、そういった方々との
コミュニケーション方法や病気への理解、介助の仕方は学んでいる。

どうだろう?

面接に行ってみよう。

お話だけでも聞いてこよう。

1社目

所長は、就労継続支援B型事業所で実際に働いた経験があり、そこで疑問を持ち、自分で事業所を立ち上げたとHPに書いてあった。

なかなかステキ。

HPは、木がすくすくと育っていくような、緑いっぱいで、力強くて、優しい感じだった。

でも、オンライン面接のPC画面に映し出された男性は、あまり話さない。

わたしは、無音にならないよう配慮する。

じゃないと、沈黙の時間が流れるから。

PCが固まっているのか、わからなくなるし。

「チームワークを大事にしている」「人を大切にしたい」とお伝えする場面があった。

最後に逆質問で、

「こちらの事業所はいかがですか?」

と尋ねる。

すると、

「チームワークはない」

え?

そうね。

ひとりひとりがプロフェッショナルで、個人プレーなんだって言って
いるのね。

でも、待てよ。

さすがにチームワークがゼロで事業所は回らないよね。

さらに、

「あなたが入ってくるなら、逆にお願いしたい」

と言われる。

え?

いや~、経験なしで、パートで、そんなことしたら四面楚歌になる。

だって、チームワークがない職場なんだよね。

じゃあ、革命じゃない。

それって。

ボッコボッコにされそう。

最後に、

「あなたって、しゃべりすぎですよね」

と言われた。

え?

言いたいことを言わない、我慢している派遣生活が長くて、誰からもそんなことを言われたことがない。

きっと、感性の部分で、迎合することのない人なんだろうな。

お互い。

ここは選考辞退。

「なぜですか?」とメールで聞かれたけれど、

「思い描いていたものと違っていた」

そんなことを返信したかな。

2社目

事業拡大による増員だった。

ここは対面だった。

マンションの一室。

面接官は、経営側であり、実際に職員としても働いている方だった。

特徴は、VTuberや音楽をAIを使って制作したり、実際に利用者の方が、
歌って配信したりするそう。

履歴書に沿って、じっくり聞き取りをしていく。

その一方で、入ってくるメールにも対応しているように見える。

事業所の説明になると、意気揚々とし始めた。

利用者さんが就職できると、事業所にお金が入り、さらにその方が6か月
継続して働けていると、またお金が入ってくるという。

正社員ポジションで25万円。

それにプラスして、そのマージン。

「頑張れば頑張るほど、給料が上がります」

福祉は儲からない、を変えるんだって。

「事務系得意ですか? 経理ってできますか?」

老舗スポーツメーカーのときみたくなると困るから、ここは「できない」と回答しておこう。

がっかりした様子。

最後に、

「これは大変だったな、という経験はなんですか?」

と尋ねる。

数分、

「う~ん……」

「う~ん……」

と悩み続ける。

えっ、どうしよう。

「お仕事がお出来になるから、一般の人が大変と思うことが、なんとも感じない。そういうことですね!」

と。

誠実そうに、それでも答えようとしている。

「やっぱり、ないですね」

「あっ、でも、昨日、利用者さんに首を絞められそうになりましたけどね」

こちらが伝えたことが、利用者は障害ゆえ、病気ゆえに、間違って
受け取ってしまうことがあるから。

それにしても、すごい人だな。

大変なことは何もないって言い切る。

「支援ってね、紙一重なんです、依存と」

「あなた、できそう?」

って。

経験はないけれど、子育てに似ているのかもしれません。

最終的には社会に巣立っていかなければならない。

かといって、厳しすぎてもダメだし、甘すぎてもダメ。

その加減が。

子育てに似ているのかもしれません。

そんなふうにお伝えしました。

1か月後、不採用の連絡。

3社目

第一次面接。

ここも同様、事業拡大による増員。

オンラインで、30代くらいの男性が画面いっぱいに映る。

終始、わたしの話を丁寧に拾ってくれる。

誠実な印象で、話していて心地よい。

1時間も時間が経っていた。

内容は、これまでの経験を一つひとつ丁寧に聞いて、経験したことに
対して、なぜそう思うのか、なぜそうしたのか、細部まで、理由まで
聞いてくる。そして、共感してくれる。自分の体験談まで交えて。

後日、

「Webデザインを出せますか?」

と。

生活相談員での応募だけど、理由は聞かず、提出した。

第二次面接。

また、オンライン面接で、2人の男性が映る。

こちらは少し厳しい雰囲気だった。

「ポートフォリオで一番がんばったのってどれ? その理由も話して」

って。

準備していない。

だって、相談員職での応募だったから。

利用者さんにWebデザインを教えるポジションではない。

しどろもどろに答えると、

「そうじゃないんだよねー」

って。

「福祉って何だと思います?」

準備していない。

「人の幸せを願うこと」

すると、

「あなたって、福祉のこと何にも分かってないですねー。違うんだよ」

「従来の作業所、おしぼりを丸めたり、パンフレットの袋詰めをしたりする
ところと、うちって、どう違う?」

って。

工賃が全然違うから、障害を持った方も収入を得ながら、自己実現していくことが可能になるのでは、と答えたかな。

もうその頃には、面接の雰囲気におどおどし恐怖を覚えていた。

「違うんだよね。両方大事なんだよ。分かってないなー」

あとで調べたら、知的障害や精神障害をお持ちの方にとっては、従来の
おしぼりをたたむといったような地道な作業を行うことで、混乱を防ぎ、
気分が安定して、安心して作業に取り組むことができる場合があることが
わかった。

なんでも新しければいい、新しいやり方がいい、というわけではなかった。

Webデザインができることで、高い工賃をもらえる。

それが、ご本人にとっての幸せということではなかった。

ここで、わたしは少し考えさせられた。

「新しいこと」「できること」「高い工賃」。

それだけを良しとするのではなく、その人にとって何が安心なのか、
何を望んでいるのか。

福祉って、そういうことも含めて考えるものなのかもしれない。

30分~1時間を想定していた面接は20分。

即レスで不合格。

4社目

こちらも事業拡大による増員。

その日は、コロナに感染していて、お腹も壊して朝からトイレ通い。

午後のオンライン面接で、PC画面に映った自分を見てギョッとなった。

顔色悪すぎ。

バカ殿様の白さだ。

今日はダメだ。

時間になり映し出されたのは、落ち着いた雰囲気の男性。

ここは、生活相談員さんではなく、Webデザインを生徒さんに教える
ポジションでの応募を試みてみた。

でも、怖気づいて、正社員はやめ、パートで応募した。

過去に、Webデザインで応募したのに、障害者施設で施設長と
送迎ドライバーをやってもらうって、あの、トラウマもある。

老舗スポーツメーカーのトラウマもある。

フルタイムだと危険かも。

始まってすぐ、男性は、PCを操作して、なにか探している様子。
わたしが送ったデザインだ。
ポートフォリオを見ていないのか。

やっぱりね。

老舗スポーツメーカーもそうだったよね。

ここはナシだな。

面接中、作品を確認しているようだった。

「うち、動画のほうなんだけど」

職種違いだ。

やっぱりナシ。

ところが驚いたことに、その男性は、わたしが動画ができないことを責めることなく、できるようになればいい、やってみればいい、というような話しをしてくれた。

「B型って分かる?」

「Webマーケティング、どこまで習った?」

「Webデザイン、どこまでできる?」

「LPできる?」

「性格は、MBTIテストでどれ?」

これらを聞かれた。

提出した「仮想クライアント向けコンペのプレゼン資料」にあるような、3C、4P、SWOT分析、ペルソナ設定、Google検索や、Yahooディスプレイ広告、SNS広告などです。

WebデザインのバナーやサムネイルやフライヤーをIllustrator、Photoshop、Canvaで作成しました。
HPやLPはノーコードツールのFigma、STUDIOを使用しました。

テストはしたことがないですが、バランサー、フィクサー、縁の下の力持ちタイプです。

障害をお持ちの方への接し方やご病気について、介助についてを学んでもいます。

その方をしっかりアセスメントして、どういったアプローチがよいか探ってゆきたいです。

と。

逆質問で、

「昨今ニュースになっているB型の問題ですが。どう思いますか?」

って。

(失礼ですよね、しゃべってる自分にハッとして、きっと気のゆるみです、大失態)

「うちは結構ちゃんとやってると思うよ」

「あれはね、利用者を就職させて6か月継続して勤務できると、大きいお金が行政から入ってくる。で、退職させて、また就職させる、を繰り返す。そのお金欲しさに。ヘンなことしてるんだ」

この事業所も、どんどん支店を増やそうとしている。
急激な業務拡大って、怪しさを感じていたわたしに、嫌な顔せず、
はっきりとご説明くださり、安心しました。

途中、

「もう採用なんだけど。これからは開始日について話したい」

と。

えーっ!! そんなに簡単なの??

「開始日までに時間があるので、準備したいのですが、何かありますか?」

と聞いてみる。

「デザインはCanvaレベルだから、CapCutって見てみて」

動画編集アプリだった。

簡単に手に入っちゃった、願ってもないポジション。

週2、6時間半勤務のパート。

慣れて結果を出せたら正社員を目指したいとお伝えすると、OKとのこと。

在宅メインの動画編集の先生。

テロップの文章を考えたり、サムネイルを考えたりするのかな。

来年度からはニュースで社会問題となったことがあるから、
出社と半々になるらしい。

Webデザインは、あと5年でAIが簡単にできてしまう時代がくると、学校に通っていたときに見た動画で言ってたけど。
確かにもう、すでにそんな時代がきてそうな気もする。

そこの不安。

でも、この事業所はAIとのコラボをうたっている。

ChatGPT、Gemini、Claude。

きっと、利用者の方が「言語化が難しい」といえばAIに。

「デザインはできるけど構成ができない」といえばAIに。

あ~、そういうのっていいな。互いが互いに補い合う。

それにしても、人生って、転げて、転げて、こうやって行きつくところに
辿り着くものなのかな~って。

一般企業経験 × 介護の資格 × Webデザイン × Webマーケティング × 人間力

が生かされそうな場所。

でも、障害をお持ちの方と関わることは、きっと簡単なことではない。

言動に失礼があってはいけない。

気をつけていても、こちらはそのつもりで話したわけではないけれど、
変にとらえられてしまうことだってある。

その男性が、LINEで絵文字を入れただけで問題になったり、
逆に入れなかったことで問題になったりする。

そこが難しいところって。

支援が依存になってはいけない。

自立支援でなければならない。

自分もやったことがない動画編集を、やったことがない人に教える。

しかも、障害や病気をお持ちの方を。

混乱させてはいけない。

わかりやすく説明しなきゃいけない。

そもそも、先生なんてするのは初めてだし。

でも、ひとまず、着地点はここ。

そして、薄っすら気づき始めてきたことは、失敗も、経験も、喜怒哀楽も、
全部ひっくるめてデザインなんじゃないかなって。

人生は、クリエイティブそのもの。
自分がクリエイターなのかなって。

こうやって書くことだってクリエイティブ。

でも、これからは、利用者さんの情報が含まれてはいけないので、
もう、記事にすることはできない。

ここから先は、わたし自身の経験だけでは書けない世界になっていく。

それでも、ここまでの道のりが、何かの参考にしていただけたらと
思います。

最後までお読みくださり、どうもありがとうございました!

             ― the end ―


わたし、おばあちゃんになっても書いてたいなっ、てへっ……


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