見出し画像

#391【劇評・絶賛】尾上右近『川連法眼館(四の切)』

今日もお読みくださってありがとうございます!

くらたの大好きなOVA版『銀河英雄伝説』が、プライム見放題から外れてしまうことが判明して呆然としております。
外伝は見ないで楽しみをとっておきたかったんだけど慌てて見てます。
多少有料でもいいから見放題のサブスクどっかに残らないかな。
ネトフリは宇宙兄弟下げるとか言うし……解せぬ。

閑話休題。
先日、市川團子さんの『吉野山』『川連法眼館(四の切)』が素晴らしかったという記事を書きましたが、その際の宣言どおり右近さんの狐も観に行ってきました!


幕見席2列目はこんな感じ

幕見席で3,500円。
野暮な話ですが先立つものがなければ観劇はできません。
1時間半舞台を楽しめると思ったら、結構安いと思います。

歌舞伎座の中では舞台から一番遠いけどオペラグラスがあればじゅうぶん楽しめます。
シアターオーブの3階席なんてもっと遠くて8,000円とかするし、ミュージカルの上演時間って休憩時間抜けば正味2時間弱。
そう考えると、歌舞伎の幕見ってすごいよなーって思う。

花道も七三近くまで見える

う、右近、うまー!!

……失礼しました。

右近丈ほんとに素晴らしかった。
團子丈は初々しさ、フレッシュさが全面に出ていてそれが子狐の愛らしさひたむきさと重なりとっても魅力的でしたが、
右近さんはまた別の良さ、佇まい、一挙手一投足の説得力がすごかった。
Aプロ吉野山では清元を勤めていらっしゃり、ほんとうにマルチタレント。

まず佐藤忠信がよい。
きりりと精悍な感じ。
見栄も語りも堂に入った感じ。

そして狐。
きりりとした忠信に化けていたはずなのに、
狐手(きつねで)といい、首や目線のきょときょととした動物の動きといい、髪型は狐耳に見える「元結」をつけているのもあり、
狐に見えるー!!
團子丈の狐の愛らしさとはまた別の、狐らしさがある。

現代的なヒロイン米吉丈

「かわいすぎる女方」と評判の米吉さんの静御前。
あーほんとかわいい。
抜群にかわいい。
愛らしさ抜群の丸顔にタレ目、うらやましい。

新作歌舞伎でナウシカやユウナを演じて来たことや、歌舞伎外の舞台作品でも女性を演じて来た(オンディーヌ)ためか、わたしの感じ方なのか、何をやっても現代っぽさ、現代のヒロインっぽさが出るかんじ。
気の強さというか。

赤姫の拵えだが正室ではなく白拍子、お姫様ではないので大振袖でなく袖が短め。
イヤホンガイドによれば、赤姫ではないので姫のような「袖を使った演技はしない」とのこと。

義経の命で、初音の鼓を用いて狐を詮議するシーン、脇差を構えた凛々しさ。
白拍子なので舞の稽古だと偽って剣を抜く。

このあたりも、そもそも静御前自体が、現代的なヒロインなのかもしれない。

なんて思ったけど……
新悟さんの静御前はまた違う感じだったなぁ。

新悟さんの静も、声も振る舞いも麗しくてとても良かったけど、別の良さ、別物って感じでした。

強いて言葉にするなら、お姫様が剣を握ってる感があった。お姫様側が本来の姿って感じ。

対して、米吉さんの静は、剣を振るっているのが本来の姿っぽい、というか。

やはり米吉さんの身体性(現代的な愛らしさ、顔の丸み、声など)や演技などが、現代的なヒロインぽさを出していると考えられそうです。

狐の海老反り

今回指折り数えたところ、狐の海老反りは3回でした。

①階段の上で鼓を持って剣を振り上げる静と
②狐になってから
③義経が出て来て義経に対するお辞儀の意味の海老反り(お辞儀の意味の海老反りって、先日「行ってQ」でガンバレルーヤが挑戦していたフラのチャンティングみたい!)

いやー、1時間半の間に3回!
思わず、無事で怪我なく終えて欲しいと祈ってしまう。

狐の親子の情愛をたっぷりと魅せる

本物の佐藤忠信に迷惑がかかるからと、鼓の親狐に諭されて別れを決意する源九郎狐。

親との別離の悲しみ、名残惜しさに、四つん這いで膝を軸に回転したり、寝転がって身悶えする場面、ここがなが……いやじっくりたっぷり魅せます。
承服しがたくて身悶えする時って確かに寝っ転がる、というか起き上がれないよな……と妙に納得。

忠信から狐に変わるところは澤瀉屋演出とは異なっていました。
静に向かって土下座したところで、廊下の床の舞台の奥側が下がり、奥に向かって横にころがって滑っていく。
澤瀉屋では床下から出てくるが、上手奥から出てきて欄干から飛び降りていました。床下の切り込みを見過ぎで出てくるところ見逃したのが悔やまれる!

右近狐の喜び方の真実味がすごかった

義経から鼓をもらった後の右近狐の、なんと嬉しそうなこと!
すごい真実味がある。

團子狐とは異なり、鼓を抱きしめることはせず(楽しみにしてたのに……でも右近もすてきだった!)、
右頬頬擦り、鼓向き替えて鼓の話を聞いているようなふりして左頬頬擦り(両親狐の皮、ということは鼓の片方が父でもう片方が母なんだろうな)、

鼓を、團子狐は左右にコロコロしていたが右近狐は前後にコロコロしてじゃれついていました。
うわあ獣っぽい動きがほんとうに見事!狐っていうか猫っぽい!

最後の見どころ殺陣と絵画のようなラスト

狐にばかされて退治される法師たちの呼び方をイヤホンガイドで聞いたのに、團子狐のときは忘れてしまって悩んでいたのですが、今回改めて聞いたら、「ばかされ」だと呼ぶそうです。まんまだった。

ばかされ音羽屋は3人。澤瀉屋は6人(宙乗りの金具つけるところで狐を隠すために多いんだと思った)

音羽屋演出では殺陣はわりと短く、サラッと終わる印象でした。

ラストは舞台上手の桜の木の、フックに左腕をかけ、足場に乗ると、その仕掛けで桜の木をするする登っていくように見える。

右近狐が桜の高い位置まで上がったら見栄が決まって幕。

絵画のようなラストが、非常に歌舞伎らしい、素敵な終わり方でした。

今回、音羽屋演出を初めて見た……というより澤瀉屋演出しか見たことがなかったのですが、
たしかに澤瀉屋のほうが仕掛けが派手でけれんみたっぷりだけど、
音羽屋演出は、ほんらいの歌舞伎らしいというか、けれんみと物語と見せ場の歌舞伎らしさのバランスがいい感じ。

どっちも見られるなんてぜいたくだし、わたしのような、歌舞伎ファンだけど見てる内容に偏りのある人間には大変勉強になるラインナップでした!

感謝ー!!

いいなと思ったら応援しよう!