#374【劇評・絶賛】市川團子『吉野山』『川連法眼館(四の切)』
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歌舞伎座の錦秋十月大歌舞伎の第三部、すなわち、市川團子さんが狐忠信を演じた『義経千本桜』の『吉野山』の場、『川連法眼館』の場(通称:四の切:しのきり)を観てきました!!!
座席
最近のお気に入りは2階席の1列目です。
舞台は全部見えるし花道も七三まで見えればじゅうぶんだし、最高。

吉野山
幕開き即びっくり!
幕が開いてすぐにびっくり、浄瑠璃に清元栄寿太夫、すなわち尾上右近さんが!!!
右近さんが今月後半に狐忠信を音羽屋演出で演じられるのは知っていたのですが、まさかの登場にテンション爆上がり。
ほわー、美しい声!
右近さん、立役も女形も演じるし、そのうえ浄瑠璃もできるなんて才能がオールマイティすぎん?
すごすぎる!!!
最近はバラエティにも精力的に出演して歌舞伎の宣伝につとめているし、いろんな若手に親獅子として『連獅子』を共演していて、そういうところ好き!と思っていたところでした。
いやあ、これはぜひ後半の右近狐も観に行かねばな……。
吉野山、行っておいて良かったなー
背景は福々しい桜の山並み。
桜の向こう、まだ少し遠くにお堂(おそらく金峯山寺)が垣間見える。
去年の春に二回も尋ねた吉野山を思い出す。
まさにあんな感じ!
はー、こういうときに楽しみの奥行きがぐっと深くなる。
しみじみ、吉野山行っておいてよかったなー。
待ってました!役者登場
静御前は坂東新悟さん。
イヤホンガイドによれば、日本一の白拍子と歌われた静御前。
日本一の白拍子を演じるって、すごいことですよね。
新悟さんは相変わらずすらりと美しく、指先までたおやかで、何より声が麗しい。
そしてついに!
團子登場!
くらたは猿之助さんの大ファンでした。
「ワンピース歌舞伎」などの先代の意志を継いだ新作群(スーパー歌舞伎II)や、幸四郎さんとの名コンビが素晴らしかった「やじきた」シリーズ、とにかく知的で外連味たっぷりで大好きだった……っていうか今も好き!!!
立ち消えてしまった「スーパー歌舞伎II 鬼滅の刃」も観たかったなあ……。
お父上が長らく歌舞伎役者ではなかったために、実の父からは「連獅子」を習えない團子さんにそれを伝えたのも猿之助さん。そういうところも好き!
(家を守るためには当然なのかもしれないけど、團子が中車から連獅子を習えないのは当代猿之助のせいじゃないもんね。)
数年前に歌舞伎座でかかっていた猿之助さんの狐忠信も素晴らしくて、その月の間に何度も観に行きました。
ふおおおおおお!!!
帰ってきた!!
澤瀉屋の狐が!!!!
(乙事主構文)
澤瀉屋のおおおお狐があああああああ……と思ったら、泣く場面じゃないのに号泣。
妖しい道行き
イヤホンガイドによれば、道行で女主人と家来の取り合わせは珍しいのだそうです。確かに先日の『蝶の道行』は悲恋の恋人同士だった。
日本一の白拍子と人間に化けた狐の連れ舞って、改めて考えると、エモいというかメロいというか、妖艶というか、なんかお腹いっぱいな設定ですよね。
でもこの二人はあくまで主従。
義経の側室静御前が義経の元に向かう道行きなので、いっとき歌詞と踊りが艶やかな内容になるくらいで、それ以上のことは起こりません。
げっぷがでるほど下衆かったりエロかったりする設定が多い歌舞伎にしては珍しい展開(失礼!)
佐藤忠信……実は狐
猿弥さんのコミカル場面は安定の面白さ。
静御前が立ち去って、桜が舞うなかどこからともなく一尾の蝶が飛んできます。
照明が薄暗くなって、ドロドロドロという太鼓の音の中、團子演じる佐藤忠信が実は狐であるということが明かされます。
人間ならざる獣を感じさせる動き、表情、目線。
八月の夜の部の中車の台詞に、「親より顔がいいと思って」ってあったなあなんて思いだす。ほんとに美しい。
妖しさからくるセクシーさ、美しさ。
『義経千本桜』の初演は1747年だそうなので、ケモナーとか獣萌えは最近のことではなく、根源的に人間にセットされた美的感覚なのかもしれません。
その後、お約束の見せ場の衣装のぶっかえり(ちょっと手間取って惜しかった!でも珍しいもの見た!)。
花道での狐の海老反りの写真、ブロマイド売りだしたら買わなきゃ。
澤瀉屋演出でだけなのかしら、「狐六方」という六方で花道をはけてゆく團子さん。ぴょんぴょん激かわー!!!かわゆー!!!
猿之助さんの狐も大変愛らしかったなあ……と懐かしく思い出したのでした。
川連法眼館(四の切)
幕開き早々くらたに大トラブル!!!
幕開き早々、ちょっとまぶたをかいたら左目の中でコンタクトが行方不明になるという大トラブル発生!
くらたはド近眼なのでガチャ目どころの騒ぎではないし、そもそも家の外で裸眼ということがまったくないのでプチパニック。
右目は無事だけど、こんな一世一代の歴史的な場面で片目で見てる場合じゃないんだよバスケじゃあるまいし!(くらたがバスケを片目で見る話はこちら)
ということで、拍手が起きているときに乗じてカバンを漁り、なんとか予備のコンタクトレンズを探し出し、その場で装着して難を逃れたのでした。
※絶対に真似しないでください!片目に2枚レンズ入れるのも、指が汚い状態で扱うのもダメゼッタイ!!
愛らしい、愛おしい、團子狐
果たして團子狐登場!!!
(猿之助さんの時には演出に騙されたけど、今回はちゃんと登場シーン見た!)
髷をまとめる飾りが、水引みたいなもので作られていて、いかにもなケモ耳ではないのに、とお目に見るとちゃんと狐の耳にみえるのがすごい。
着物の長裃も、膝下あたりで紫からクリーム色のグラデになっていて、ながーい裾をたふたふ余らせて演じているさまが、狐の豊かな尾っぽの毛に見えました。
初音の鼓に惹かれて出てきた團子狐の懸命さの、なんと愛らしい、愛おしいこと!猿之助の狐がまた見たい……。
偽物の佐藤忠信と知った静御前に切り付けられ、「なにをなさいます、切り付けられる覚えはない」みたいなせりふの第一声が、『吉野山』とは打って変わった声の高い狐声でかわいい。(さかなクンみたいな声)
鼓に宿る両親狐に諭されてしょんぼりと階下に降り、
しょんぼりした風情や、それでも鼓に心惹かれるようすが大変愛おしい。
最後に鼓を下賜されて、うれしくてぴょんぴょん飛んだり跳ねたり、鼓をころころ転がして戯れるところ、なにより愛おしそうに鼓を大事に胸に抱きしめるところがほんとうに愛らしかった。
澤瀉屋の狐が帰ってきたんだ、と、そこかしこで号泣。
澤瀉屋狐は外連味たっぷり大暴れ
最初に階段がひっくり返り出てくる。
静御前に切りつけられて身の上話をし、
「両親狐が鼓にされ、禁裏に置かれてきたので
親孝行できずに狐の世界でのけものにされてきた。
しかし後白河法皇が鼓を義経に与えてから、
両親狐の鼓に従ってここまできた。
でも本物の佐藤忠信にこれ以上迷惑をかけてはならないと
鼓の両親狐に諭された」と、
廊下によじ登って身の上話続きをする。
一年旅をしていた相手は狐だったことに驚く静御前。
忠信、廊下から落ちて手前にでてくるときに狐の姿になっている(早変わり)。
暇乞いをするが両親狐と分かれ難い。
鼓と別れる辛さに、膝でくるくる回る動きは澤瀉屋の演出とのこと(イヤホンガイド)。
義経が出てきて義経に敬意を払い、
下手袖の鳴り物の格子に頭から入っていく。
静と義経が会話している間に
窓から佐藤忠信顔だけ出してる。
このあとに上から降りてきてどセンターどツラに出てきて鼓をいただく。
夜の部だけで何回海老反りするのでしょうか。
鼓に惹かれて登場してきたところ、階段の上で一回。
悲しいところで横で一回(←これあやふや、なかったかも?)
義経に敬意を示すところ、舞台最ツラ・センターで一回。
操られる人たち(なんだかいう呼び名があったけどわすれた)は、澤瀉屋は6人、音羽屋は3人とのこと(イヤホンガイド情報)。
舞台上手袖で、後ろ姿の狐忠信(ダミーの人)が後ろを向いたまま操る。
その後、一瞬舞台に飛び乗ってはける(横顔だけ見える)。
その直後に花道すっぽんから本物が出てきてやんややんや。
お待ちかねの宙乗り
そして最後はお待ちかねの宙乗り!
一回上がって、花道入るところで一度下がってきて、とんでもなくうれしそうにぴょんぴょんしながら上がっていきました(ワイヤーがびよんびよん揺れていたけど怖くないのかな……)。
前傾姿勢になったときに、あしながって思ったので、團子さんはこれまで宙乗りした人の中で背が高い方なのかも。
大盛り上がり血沸き肉躍る猿之助さんの宙乗りを思い出し、若い狐の未来に思いを馳せた終幕でした。
まとめ
若い才能にぶん殴られる心地よさを現場で体験した
團子、右近、新悟……若い世代の俳優の才能に頭をぶん殴られた心地がしました。
これからが!
楽しみである!!!
お読みくださってありがとうございました!!!
