アトピーで避ける食べ物は、2つだけだった。酸化した油と「生きた酵素」
同じ塩麹で、平気な日と、夜中に掻きむしる日がある。同じ醤油でも、ある容器なら平気で、別の容器だとダメ。
そのくせ「健康にいい」はずの玄米ではしっかり痒くなって、白いご飯なら、なんともない。
わけが分からないまま、二十年。それでも記録を続けたら、わたしが避けるべきものは、結局2つの軸に収まりました。 やることはこの図の繰り返しだけです。

こんな人へ:「体にいい」とされる食べ物でも、なぜか痒くなる人/何が火元か分からず足踏みしている人
アトピーと食べ物の関係を、わたしは長いあいだ、こういう「わけの分からなさ」と一緒に過ごしてきました。○か×かのリストを作ろうとしても、例外がぼろぼろ出てきて、いつも崩れる。 手帳に書いた「卵=NG」を、翌週には自分で二重線で消している。そんなことの繰り返しでした。自分の体なのに、何を食べたら掻かずに眠れるのか分からない。あの頃のわたしは、ずっとそこで足踏みしていました。
それが、二十年かけて記録と実験を続けるうちに、だんだん筋が見えてきました。この記事では、わたしが食べ物の「火元」をどう見つけてきたか、その考え方と、実際に分かったことを、まとめて書いておきます。
まず、足し算をやめて、引き算から
世間でいう「腸活」や「アトピーにいい食事」は、たいてい足し算です。ヨーグルトを足す、発酵食品を足す、食物繊維を足す。体にいいものを、どんどん加えていく。
でも、わたしはこの足し算で、何度も悪化しました。
腸の調子が崩れている状態で、いきなり良いとされるものを足すと、処理しきれずに、かえって調子を崩すんです。ヨーグルトで痒くなったり、納豆でお腹が張ったり。「体にいいはず」のものが、自分には合わない。 これがよく起きます。
それで気づいたのが、順番が逆だ、ということでした。まず、足すんじゃなくて、引く。 一番シンプルな状態まで食事を落として、体を落ち着かせる。そのあとで、外していたものを一個ずつ戻して、自分に合うかどうかを確かめていく。この順番が、食べ物の火元を見つける、いちばんの土台になりました。
わたしが反応するものは、二つの軸で整理できた
食べたものを記録して、痒みと突き合わせていくと、自分が反応するものには共通点があると見えてきました。わたしの場合は、大きく二つの軸でした。
軸その一:酸化した油
ひとつは、酸化した古い油です。ショートニングや、何度も使い回した油、開封してから時間が経った調味料あたりを食べると、わたしは痒くなります。
決定的だったのが、醤油の実験でした。同じメーカーの同じ醤油なのに、真空パックのものは平気で、普通の瓶のものはダメだったんです。中身は同じ。違うのは、空気に触れて酸化しているかどうかだけ。台所で瓶とパックを並べて見比べたとき、ずっと崩れていたパズルの一片がはまった感覚がありました。原因は「醤油」じゃなくて「酸化」だったのか、と。
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揚げ物も同じです。コンビニや大衆居酒屋の、古い油で揚げたものは、わたしの場合かなりこたえます。でも、封を開けたばかりの新しい油で家で揚げたものなら、まったく平気。揚げ物そのものより、油がどれだけ酸化しているかで分かれているんです。
だから、ラベルの「無添加」や値段は、わたしの火元を見分けるうえではあまり当てになりませんでした。効いているのは、どれだけ酸化を防げているか、その一点だけなんです。
軸その二:発酵食品の「生きた酵素」
もうひとつは、発酵食品に含まれる「生きた酵素」です。米麹、味噌、納豆のたぐい。
面白いのは、同じ発酵食品でも、よく熟成したチーズは平気なことです。チーズは熟成の過程で酵素が働き終えているけれど、米麹は酵素が生きている。この「酵素が生きているかどうか」が、わたしの場合は反応の分かれ目になっているようです。
ただ、ここは仮説の域を出ません。口から入れた酵素は胃でほとんど分解されるとも言われるので、「麹の生きた酵素が腸を荒らす」という機序が正しいと言い切れるわけではありません。あくまで、自分の体で「加熱前はダメ・加熱後は平気」という線がきれいに出る、という観察からの見立てです。本当の犯人は別の成分かもしれない。それでも、振り分けの当たりをつける目印としては、わたしにはずっと役に立っています。
ここで、便利なルールが作れます。
火を通したら平気になるもの → 熱に弱い「酵素」のたぐい(麹や発酵もの)
火を通してもダメなもの → 熱に強い「ヒスタミン」のたぐい(熟成チーズ、干物、熟成肉など)
ヒスタミンは二百度を超えないと壊れにくいと言われていて、普通の料理ではまず消えないようです。だから「加熱でよくなるかどうか」を見ると、自分の反応がどっちのタイプか、当たりをつけやすくなります。
ちなみにわたしは、「加熱すれば麹は絶対に大丈夫」とまでは言い切れません。味噌は料理の中で完全に加熱しきるのが難しいので、自分でご飯を作るときは、麹も日本酒も最初から使わないようにしています。みりんや酒は、煮立てて「煮切り」をすれば、だいぶ安心です。
見落としがちなのが「出汁」
意外と盲点なのが、出汁です。わたしは市販の出汁パックや白だしが、どうも体に合いません。やっかいなのは、ていねいに作られた高価なパックでも、わたしの場合はなぜか痒みが出ること。さっきの「無添加や値段は当てにならない」の、いい例だと思っています。理由ははっきりしませんが、うま味成分(無添加をうたう商品でも、酵母エキスやたんぱく加水分解物の形で入っていることが多い)か、煮干しやあごのような乾物の魚に多いヒスタミンを疑っています。実際、うま味調味料(MSG)も、わたしはほぼ必ず痒くなります。
だから今は、昆布と鰹節から自分で出汁を取るようにしています。手間はかかりますが、これがいちばん確実でした。出汁は和食の土台で、ほぼ毎食、無意識に入っているぶん、効いていても気づきにくい。アトピーがなかなか引かない人は、毎日の「出汁」を一度うたがってみる価値があります。
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血糖は「速さ」の問題
食べ物の火元というと、何を食べるかばかりに目がいきますが、「どう食べるか」も効いてきます。その代表が、血糖です。
アトピーと血糖は、あまり結びつかないかもしれません。でも、鍵になるのは糖そのものより、糖が体に入っていく「速さ」です。速すぎると、体が驚いて反応してしまう(この話はアトピーと血糖値に詳しく書きました)。
だから、わたしはジュースを全部やめました。飲むのは水とお茶だけ。 果糖ぶどう糖液糖は、特に吸収が速い。お菓子も食べません。砂糖と酸化した油がセットで入っていて、酸化の軸にも直撃するからです。低カロリーをうたう食品のソルビトールのような甘味料も、お腹を崩しやすいので避けています。
逆に、フルーツは悪者にされがちですが、わたしは食べていいと思っています。果糖でも、食物繊維があって、噛まないと食べられないぶん、吸収がゆっくりだから。ジュースとはまったく別物です。「ジュースはやめろ、でもフルーツは食べていい」は、矛盾しているようで、ちゃんと筋が通っているんです。
「健康にいい」を疑う:玄米と卵の話
世間の「これが体にいい」を鵜呑みにすると、かえって遠回りになることがあります。わたしの代表が、玄米と卵でした。
玄米は白米より体にいいイメージですよね。でも、わたしは逆。白米はまったく平気なのに、玄米を食べると痒くなる。 理由はたぶん「糠(ぬか)」の部分。糠には酸化しやすい油や刺激になりうる成分が含まれていて、それが合わない。酸化の軸ともつながる話です。玄米が悪いのではなくて、わたしには合わなかった、というだけのことです。
卵も、火の通し方で変わります。 生卵や半熟の白身を食べると手に湿疹が出ますが、しっかり火を通した卵なら平気。だから卵は必ずよく加熱します。卵そのものを諦める必要はなくて、火の通し方を変えるだけでいいんです。
「体にいいはずなのに、なんか調子が悪い」と感じたら、その思い込みを一度疑ってみる。世間が正解と言う食べ物で自分だけ痒くなると、「自分の体がおかしいのか」と思ってしまいますよね。でも、おかしいのは体じゃなくて、自分に合わない一品だっただけなんです。
やり方は「記録して、引いて、戻す」
火元の見つけ方は、結局これに尽きます。食べたものと肌の調子を記録して、いったん一番ピュアな状態まで引き算して、落ち着いたら一個ずつ戻して確かめる。 冒頭に載せた図が、この回し方です。
ひとつコツがあって、わたしの場合、合わないものを食べると、だいたい食後30分から1時間で反応が出はじめます。 だから、食べたあとのその時間帯に肌を意識して見ておくと、当たりをつけやすい。
もうひとつ大事なのは、犯人を一個に決めつけないこと。 アトピーの悪化は、たいてい「その日の合計」で起きます(→ 詳しくは浴槽モデル)。だから「昨日のあれが悪かった」と一品を犯人扱いして自分を追い込まなくていい。一回ダメでも即クロにせず、何回か繰り返して、体調のいい日にも出るかを見る。
今日の一歩
地味な作業ですが、これがいちばん確実でした。誰かの「これがダメ」リストを写すより、自分の記録から見つけたものは、ちゃんと当たります。 ここに書いたのは、あくまでわたしの火元。あなたの火元は、また別のはずです。
ここで書いたのは「火元の見つけ方」までです。でも本当に大変なのは、見つけたあとです。何を・どの順で・どれくらいの間隔で戻すか、記録表をどう作り、合計負荷をどう下げるか。 さらに、ヒスタミンを作る菌と壊す菌の選び分け、検査(TARC・腸内フローラ)の読み方、保湿や薬が体のどこに効くかの作用点まで。その実際の回し方を、二十年ぶんの試行錯誤ごと一本にまとめたのが本編です。
もう少し無料で読むなら:見つけた火元を記録でどう確かめるか → アトピーの原因は「食事記録」で見つかる
※この記事は一般的な情報と個人の体験に基づくものであり、すべての方に当てはまるものではありません。治療については必ず医師の指導に従ってください。
