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ステロイドは敵じゃない。でも「漬け」でもない。脱ステで地獄を見た経験からの結論

床に皮膚がぼろぼろ落ちて、歩くたびにジャリッと音がする。脱ステロイドを始めて三ヶ月、わたしの部屋はそういう状態でした。

一番強いランクのステロイドを使い続けた時期も、それを一気にやめて地獄を見た時期も、どちらも通りました。両方を通ってみて今たどり着いたのは、「やめろ」でも「使い続けろ」でもない、距離の取り方です。薬を使うのは、年に一回あるかどうか。

アトピーの情報を見ていると、ステロイドの話は、だいたい両極端になります。「ステロイドは怖い、やめろ」か、「ステロイドを使い続ければいい」か。この記事では、そのどちらでもない付き合い方を書きます。

こんな人へ:ステロイドが怖くてやめたい人/逆に、ずっと使い続けていて不安な人

この記事でわかること:脱ステで地獄を見た一個人がたどり着いた「第三の道」/なぜ「やめること」を目的にすると振り出しに戻るのか

この記事は、医療従事者ではない一個人の体験をまとめたものです。診断・治療を目的とせず、効果を保証するものでもありません。症状が気になる方は必ず医師にご相談ください。

その三ヶ月の地獄を経験したからこそ、どちらの言い分にも簡単には乗れなくなりました。脱ステを勧める声にも、ステロイドを一生使い続ければいいという声にも、です。

先に一つだけ書いておきます。この記事は脱ステを勧めるものではありません。わたし自身が地獄を見た側なので、むしろ逆です。薬のやめどき・減らし方は、自己判断ではなく、必ず医師と相談しながら進めてください。

そのうえで、まずわたしが脱ステで何を経験したかを正直に書いて、今のわたしが考える「ちょうどいい付き合い方」を書きます。

ステロイドは、火を消す消火器

まず、ステロイドは敵ではありません。あれは、火を消す消火器のようなものです。

皮膚が一度ひどく割れてしまうと、その割れた皮膚自体が炎症を出し続けて、いくら体の内側を整えても、抜け出せなくなることがあります。炎症が炎症を呼ぶ悪循環ですね。そういうときは、いったんステロイドで火を消して、皮膚が立て直す時間をつくってあげる。それ自体は、理にかなっていると思います。

実際、食事や生活の取り組みも、ステロイドと併用してまったく構いません。むしろ最初のうちは、ステロイドで炎症を抑えながら、並行して内側を整えていくほうが現実的です。「ステロイドを使いながら根本に取り組む」は、矛盾しません。

でも、「漬け」もよくない

ただ、「漬け」もよくありません。

一番強いランクを、漫然と毎日使い続けると、だんだん薬の効きが悪くなったり、肌が硬くなったり、黒ずんできたりすると言われています。 これはステロイド性皮膚炎と呼ばれる状態で、わたしも長く使いすぎて、こうなった時期がありました。といっても、使い続けたのは、それだけ痒くて眠れなかったからで。あのときの自分を、今さら責める気にはなれません。

効きが悪くなるから、もっと強いものを、もっと長く使う。そうやって深みにはまっていく。これも避けたい道です。

わたしが脱ステで見た、三ヶ月の地獄

ここで、わたし自身の脱ステの経験を、正直に書いておきます。これから一気にやめようとしている人に、一度立ち止まってほしいので。

二十年前、まだ学生だった頃の話です。「もうこの薬に頼りたくない」という一心で、ステロイド性皮膚炎の状態のまま、わたしは一気に使用をやめました。いわゆる「脱ステ」です。

そこからが地獄でした。毎日、お椀一杯分くらいの皮膚がボロボロと剥がれ続けて、それが三ヶ月くらい止まりませんでした。床に皮膚が落ちるので、部屋を歩くたびにジャリッと音がする。剥がれた皮膚のこともあって、毎日アンダーアーマーみたいなピタッとした服を着て、帽子をかぶって、人に会わないように、外にもほとんど出ずに過ごしていました。朝起きると、汗でマットレスがびっしょり濡れている。体がうまく保湿できなくて、皮膚から水分が全部抜けきってしまうような感覚で、本当に厳しい時期でした。学生なのに、外に出られない。その焦りと情けなさは、今でもはっきり思い出せます。

もし今、薬をやめたくてたまらない人がいたら、その気持ちを否定する気はまったくありません。わたしも同じ場所に立っていたので。ただ、あの剥がれ続けた毎日を先に通った身として、一度だけ立ち止まってほしいんです。

なんとかそこからは抜け出しましたが、今の感覚で言うと、これは無理にやるものではないと思っています。家から出られなくなるくらい辛いし、ほかにやり方だってあるので、あえてこの「一気にやめる」という方法を選ぶ必要はありません。

脱ステを軽い気持ちで勧めている情報を見ると、本当に心配になります。やめどきや減らし方は、自己判断ではなく、必ず医師と相談しながら進めてください。 薬をやめるかどうかで、わたしも長いこと揺れていました。今まさにその真ん中にいる人も、きっといると思います。

第三の道:火元を減らして、自然に手放す

じゃあ、どうすればいいのか。わたしの考えはこうです。

ポイントは、「やめること」を目的にしないことです。 やめることをゴールにすると、やめた瞬間にぶり返して、また振り出しに戻る。わたしがやったのは、まさにそれでした。

そもそもステロイドは、体の中で起きている炎症を、上から抑え込むための薬です。だったら、その炎症の火元になっているものを、生活のほうから減らしていけば、ステロイドで無理に抑え込む必要も、だんだん小さくなっていくはずです。

食べ物の火元を減らして(→ 詳しくはアトピーの「食べ物の火元」を見つける)、肌に触れるものを見直す。あとは睡眠と運動で回復力を上げていく。そうやって、入ってくる負荷を減らして、出していく力を上げていくと、炎症そのものが起きにくくなる。すると、ステロイドの出番が、自然と減っていきます。

大事なのは、一気にやめるのではなく、生活を整えながら、併用しつつ、少しずつ減らしていくこと。 これなら、わたしは全然いいと思っています。ステロイドにも副作用はあるので、わたしは減らせるところから減らしていきました。でも、それは「決意してやめる」のではなく、「気づいたら使わなくなっている」という形がいちばん安全だったと感じています。もしこのやり方が今の自分に合わなければ、無理に乗らなくていいと思います。

実際わたしも、ここに書いたようなことに気をつけて内側を整えていったら、自然とステロイドを使わなくても痒みが減っていきました。今は、使うとしても年に一回あるかどうか。それも、暴飲暴食をしたとか、自分でも良くないと分かっていることを繰り返したときくらいです。

まとめ:今のわたしの距離感

わたしのステロイドとの距離感は、怖がりすぎず、かといって漬かりもしない、というあたりに落ち着いています。

ひどいときは、消火のためにためらわず使う。 でも、それと並行して、火元になっている食べ物や生活のほうも減らしていく。火元が減ってくれば、ステロイドの出番は勝手に少なくなっていきます。 一気にやめる脱ステだけは、やるとしても自己判断ではなく、必ず医師と相談しながらにしてください。あれは本当に危ないので。

脱ステを煽る声も、漬けたままでいいという声も、わたしにはどちらもしっくりきませんでした。わたしはそのあいだのどこかで、あの剥がれ続けた毎日から抜け出して、今は普通に暮らせています。

もし今、薬をやめたいと思っているなら

①大前提:やめどき・減らし方は自己判断しない。必ず主治医と相談しながら②「やめること」を目的にしない。火元(食べ物・接触・回復力)を先に減らす③減らすのは「決意して」ではなく「気づいたら使わなくなっている」形を目指す

「火元を減らせば、薬の出番は自然に減る」と書きました。でも、本当に効くのは、その火元をどの順番で減らすかです。消火と再建の順番、減らしていくときのつまずきどころ、TARC(皮膚の炎症の温度計)の活かし方まで、わたしが通ってきた全部を本編にまとめています。 ここに書いた「第三の道」を、実際に歩くための手順書です。

アトピーに振り回されなくなるまで(本編・有料)

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※この記事は一般的な情報と個人の体験に基づくものであり、すべての方に当てはまるものではありません。治療については必ず医師の指導に従ってください。

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