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④個性豊かな菩薩たちー仏像を知ると寺院めぐりが楽しくなる

4カ月ぶりですが、シリーズ「仏像を知ると寺院めぐりが楽しくなる」の第4弾です。
前回はこちらでした。

観音菩薩が時と場合に応じて様々に変身するパターンを、ほんの一部ですが「六観音」として採り上げました。

上記記事より

さらに観音菩薩は三十三の姿を持ち、「西国三十三所」の観音巡礼の 基本となっています。
近畿地方の三十三か所の観音菩薩を祀る寺院を巡礼をすることで、罪業が消え、極楽往生できると信じられています。

これは衆生しゅじょうを救うために姿を変える観音菩薩の三十三身に由来しており、その姿は僧侶、武士、天女、しかも老若男女を問わない姿で、その時と場合に応じた方法で救ってくれるのです。

バリエーションに富んだ姿は、衆生の私たちにとことん寄り添った究極の救済パターンだという事ですね。



多種多様な菩薩たち

私たちに寄り添うことに徹した菩薩の種類は多岐にわたりますが、代表的なものを採り上げてみます。

弥勒みろく菩薩はいつも思案している

仏教版「考える人」。
ポーズは頬に軽く指をあてた「思惟手しゆいしゅ」でその名の通りいつも衆生しゅじょうの幸せを熟考しています。
椅子に座り、片足をもう一方の膝に置いていて、一見すると行儀の悪いポーズですが、半跏倚坐はんかしいざという仏様の座り方なのです。

地蔵菩薩は坊主頭で錫杖しゃくじょうと宝珠を持つ

如来ではないのに、アクセサリーは付けず質素な服装。
坊主頭と錫杖が特徴です。
そもそも釈迦が入滅された時、弥勒菩薩が如来として現れるまでの世の中が無仏の間、衆生を救済することが大きな役割とされています。

普賢ふげん菩薩は白象に乗って合掌

見た目の特徴は、白い象と合掌。
ただし、密教系では宝剣や蓮華を持つ場合もある。
白象の白は「清浄」、象は大地をしっかり踏みしめる事から「実践力」の象徴とされています。
衆生を病気や災難から救う菩薩様です。

文殊もんじゅ菩薩は獅子に乗り剣と経典を持つ

仏教における智慧の菩薩で、物事の洞察力と判断力を授けてくれます。
持っているのは「智慧の剣」と「智慧の経典」であり、百獣の王である「獅子」に乗っている事も強力な智慧を表しています。

虚空蔵こくうぞう菩薩は五仏の宝冠

無限の智慧と福徳を司る菩薩で、智慧も無限というのなら、文殊菩薩とはどうちがうのでしょう?
このあたりはまだ勉強不足で、よくわかりません。
見た目の特徴はやっぱり宝冠に5つの仏の化身がついている事。
剣は剣でも煩悩を断ち切るもので、宝珠はあらゆる願いを叶えてくれるものだとの事です。

菩薩が乗る動物たち

菩薩が乗る動物によく見られるのは、獅子、象、馬、孔雀、龍などで、これらは作った人の思いや経典に基づく意味を込めてインドで神聖視され、仏像と組み合わされたと考えられています。

菩薩以外の仏像も含めた動物の組み合わせの一般的なものは以下の通りです。

・文殊菩薩ー獅子
・普賢菩薩ー白象
・孔雀明王ー孔雀
・馬頭観音ー馬
・虚空蔵菩薩ー獅子、象、馬、孔雀、迦楼羅かるらなど
・帝釈天ー象
・大威徳明王ー水牛
・妙見菩薩ー亀

これらの動物は、それぞれの菩薩の特性や意味を象徴しています。
ー例ー
獅子ー知恵・力強さ
象ー慈悲・実践力
孔雀ー魔を食べる力
馬ー行動力・知恵

今年の4月5日投稿の記事に書かせていただきましたが、東寺・観智院かんちいんに、それぞれ違う鳥獣に乗る五大虚空蔵菩薩像のご本尊がありました。
これは国内でも他に例のない貴重なものではないでしょうか?

東寺観智院 観光リーフレットより
東寺には空海の”本気”があった~②圧巻の密教美術

仏が救ってくれる衆生しゅじょうとは、この世のあらゆる生命体を指します。
だからこそ、その生命体の全てのものが一丸となって共同し連携し合う事で、皆それぞれに大事な役割を持ち、誰一人として無駄な生命はないという教えなのかもしれませんね。


ご本尊の脇侍わきじ、三尊として

寺院を訪ねた時、祀られたご本尊によってその配置には形式があります。
それは「三尊形式」といわれるもので、中央に本尊となる「中尊」を置き、その左右に脇侍わきじという仏像を配置するものです。

代表的な組み合わせは以下の通りです。

釈迦三尊

中尊が釈迦如来の場合、向かって左に普賢菩薩、右に文殊菩薩。
普賢菩薩は「慈悲」、文殊菩薩は「智慧」をもって釈迦如来の教えを補佐し、衆生を導き救済するとされています。

阿弥陀三尊

阿弥陀如来が中尊の場合、脇侍として向かって左に勢至せいし菩薩、右に観音菩薩。
阿弥陀如来は西方極楽浄土を司り、観音菩薩は「慈悲」、勢至菩薩は「智慧」を象徴しています。
阿弥陀三尊は、死者を極楽浄土へ導くために最も適した役割を発揮するとされているのです。

薬師三尊

中尊が「薬師如来」の場合、脇侍として左右に日光菩薩と月光がっこう菩薩が置かれています。
薬師如来は病気を治癒して救済する仏であり、日光菩薩は「光明」、月光菩薩は「静寂」を象徴し、薬師如来の教えを補助する役割を担っているのです。

大日三尊

真言宗の大日如来が中尊の場合、その脇侍は向かって左に不動明王、右に弘法大師空海を安置するのが一般的です。
大日如来は宇宙の真理そのものという発想から、不動明王は煩悩を断ち切り、弘法大師は真言宗の開祖として教えを広め、それぞれが連動した役割を持っています。

寺院を訪ねた時、ご本尊が誰か●●がわかれば、その両脇を固める脇侍も自然とわかります。
それらの役割や特徴を知ると、ちょっとしたストーリー性も感じてしまい、見る仏像も奥深いものに変ります。

仏壇の中の三尊

ついでながら仏壇の中にもちゃんと三尊がおられます。
私が子供のころは大抵の家にはあったのですが、最近はめったに見られなくなりました。

驚く事に無宗教・無信仰の私の家にもあります。
亡き義母が、早くに亡くなった夫(義父)を弔うためのもので、一人っ子で長男である夫が引き継いだものなのです。
おそらく「浄土真宗」なので、下図の左上の三尊だと思われます。

というのも、中尊は阿弥陀如来ですが脇侍の僧侶は掛け軸であり、しかも姿だけが描かれて名前は入っていません。
真言宗に限っては向かって左に不動明王なので解りやすいのですが、
両脇侍が僧侶の場合、浄土宗とも天台宗とも見分けはつかないのです。

風貌で判断するしかないのですが、やはり我が家のものは浄土真宗だと思います。

その他、
・日蓮宗
本尊:大曼荼羅、日蓮聖人、釈迦如来、阿弥陀如来、観世音菩薩、薬師如来
脇侍:宗派や地域によって異なる
・曹洞宗
本尊:釈迦如来
脇侍:向かって右に承陽じょうよう大師 道元、左に常済じょうさい大師 瑩山けいざん
・臨済宗
本尊:釈迦如来
脇侍:宗派や寺院によって異なる

どうでしょう。
もしご自宅に仏壇があるのなら、せめてどんな三尊がおられるのか確かめ、いったい誰に拝んでいるかぐらいは知っておいても良いのではないでしょうか。
少なくとも私はまったく興味がなかったので、長い間、何一つ疑問に思うことなく漠然と手を合わせていましたが、最近になって知ってみると拝む意識も違ってきました。

家の仏壇の中の三尊を知る事で、その宗派の歴史も垣間見る事が出来るのです。

正直、宗派など関係なく手を合わせる「思い」は同じ。
しかし拝む対象を知るのと知らないのとでは、その意味も大きく違ってくるように思うのです。



画像は全て以下のフリー素材です
イラストAC
鹿鳴文庫(国立国会図書館近代デジタルライブラリー)
pinterest(ピンタレスト)
otayori
観音菩薩などの塗り絵

【引用・参考】
仏像入門ドットコム
ホトカミ
五島八十八カ所札所巡り



【仏像を知ると寺院めぐりが楽しくなる】
仏のざっくり知識
如来は真理の極め人
③変身する菩薩たち

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