「法隆寺」を堪能する-第5回最終日~聖霊院お会式
前回はこちらです。
3月22日、久々の法隆寺訪問です!
今期最後の訪問ということで気合を入れて臨んだものの、参加予定だったロコさんが体調不良で欠席するという予想外のハプニングが発生しました。しかし、気持ちを切り替え、ミコさんとチコさんの3人で予定通り進めることにしたのです。
古民家カフェ・邂逅

この日はまずはランチスタートで、以前からミコさんがオススメの「邂逅」へお邪魔しました。

強風のため翻ってまったくわかりません💦
奈良市内奈良公園の南に位置する志賀直哉邸と同じ宮大工が手がけた名建築で、築100年の旧岡田邸を改装した古民家カフェです。案内された席は、眺めが最も素晴らしい特等席でした。

晴天だったので気持ちの良い風景ですが、アングルが低すぎて北を流れる大和川からの小さな支流、曽我川も見えず、高速道路と自動車の流れしか視界に入らなかったのがちょっと残念でした。

写真左下の「駆け込み天井」は平天井の一部に勾配天井を組み込んだ形式で、天井に変化を持たせて、空間を広く見せることができるので茶室や和室の縁側などによく取り入れられる技法です。
料理はたっぷりの野菜に加え、その他6品がぎっしりと並び、特に右上のカップに入ったカレーがアクセントとして絶妙で、味の変化を楽しめる非常に美味しいランチでした。

創建2100年の廣瀬大社

神社のランクはややこしくてよくわからないのが正直なところですが、少なくとも社号が「大社」となってるので、社格は高いのだと思います。
延喜式神名帳の二十二社のさらに「中七社」とありますので、やはり格式と由緒はあるようです。
さらに崇神天皇9年(前89年)の創建と言いますから、もう2100年をゆうに超えている事になります。
邂逅から「太鼓橋」を渡ることでショートカットして徒歩でたったの6分の近さで、食後の運動にもならないぐらいの距離でした。

すぐに赤い二の鳥居があり、神仏習合の名残である四脚鳥居であることを確認して、本殿へと向かいます。

あれ?春日大社に似ている?と思ったら、それもそのはず。この社殿は「春日造り」と呼ばれる建築様式で、名前の通り「春日大社」を代表とするものです。奈良時代中期に成立したこの様式は、寺院建築の影響を強く受けており、屋根が優美な曲線を描きながら左右に反り返る切妻造りが特徴となっています。

実は建築には詳しくないため、本殿の軒下に吊るされた灯篭を見て春日大社に似ていると感じ、何か関係があるのかと思いましたが、特にないようですが、創建はこちらの方がずっと古いです。
狛犬をスルーして残念
この時、二の鳥居や本殿前に狛犬が見当たらないのでガッカリして帰ってきたのですが、調べてみると一の鳥居や参道に居たみたいです。
邂逅から横着して、ワープしてしまったのがいけませんでした。
ちゃんと正規のルートでお参りしていれば、狛犬たちにも出会えたのにとこの記事を書きながら気づいたのです。
次回来ることはまずないと思うと、本当に心残りです。
いや、また来ましょう!

聖霊院・お会式

さて、この日のメイン、法隆寺の3月に執り行われる代表的な行事、「お会式」へと向かいました。
邂逅から大和川を渡り、大和高田斑鳩線を北へ約3キロ、車で約12分の道のりです。

大切な太子の命日法要
南大門をくぐったとたん、いつもと様子が違うことに気づきました。
中門へと続く両サイドのお堂のそれぞれの門に幔幕がしてあるのは、初めて観る光景でした。
それほど太子の命日法要「お会式」は、法隆寺にとって大事な行事だということです。

中門越し見える五重塔の風景にやはり圧倒され、胸が高鳴りました。
何度見てもドキリとしてしまう風格と威厳があります。

この「お会式」では御本尊である聖徳太子摂政像の御開扉を目当てに訪れましたが、予想が甘かったです!
お会式が執り行われる「聖霊殿」に「五色幕」が掛けられていることにも驚きましたが、それ以上に堂内に入りきれないほど多くの参拝者が詰めかけていたことにさらに驚かされました。
ちょうど法要中だったため、一時間ほど別の場所を回ってから再び訪れると、人混みはなくなっていましたものの、その代わりに高く積まれた大量のお供え物が手前に置かれており、お目当ての聖徳太子像を全く見ることができません。
私はこの「お会式」を軽く考えていたようです。
子院・律学院
係りの方のアドバイスによると西に向かって「東大門」を抜けてすぐ左にある「律学院」で太子像が見る事ができるとの事なので、向かってみました。

「律学院」は法隆寺の子院のひとつで、名前からも想像できますが、僧侶が知識や戒律を修練するための学問道場です。
とはいえ、入毋屋造、妻入、本瓦葺で大きさも聖霊院とよく似た形式で、材料や工法、細部の意匠、保存状態も優秀の上、ご本尊として聖徳太子像を祀っています。

もちろん撮影禁止なので、画像はありませんが、こちらの本尊は「聖徳太子騎馬像」で、上着が朱色、袴は白、腰に刀、左手に弓と右手に矢を持って愛馬の「黒駒」にまたがっています。
物部守屋討伐の「丁未の乱」の時の聖徳太子16歳の時のお姿なのです。
人影もまばらで、お供え物もレプリカなのか縮小されていたので、ゆっくり拝めることができました。
律学院は普段は固く門が閉ざされていて、法隆寺の年間予定にも告知されていませんが、この「お会式」に合わせてご本尊の御開帳と拝観ができるようです。
信心はないけど、宗教や歴史、仏像の造形には興味ありという私のような者には本当にありがたいお堂です。
法隆寺のハイライトを再見学!

今回、法隆寺友の会も年度末を迎えるにあたり、心残りのないよう見ておきたい所をしっかり見学しました。
五重塔内の劇的シーン
五重塔の初層には塔の中心を貫く心柱を囲むように、仏教の宇宙観で世界の中心にそびえるとされる「須弥山」がかたどられ、東西南北に釈迦にまつわる4つの説話シーンが再現された塑像(粘土)群像があります。
その方角と各シーンの簡単解説は次の通りです。
①東ー「維摩詰像土」
弟子の維摩居士と文殊菩薩との問答シーン
②北ー「涅槃像土」
釈迦の入滅シーン。
脈をとる医者の耆婆、八部衆、嘆く弟子たちの様子は非常にリアル。
③西-「仏舎利仏土」
釈迦の遺骨を8か所に分けるシーン。
10ヵ所だという説もあり、インドからタイ国経由で名古屋の覚王山日泰寺や京都の釈迦山大菩提寺にあるとされているが、今となっては不明。
④南ー「弥勒仏像土」
釈迦入滅から56億7000万年後、菩薩たちが兜率天から弥勒菩薩が現世に降り立ち人々を救済するシーン。
※各番号は時間軸に沿って付けました
釈迦の入滅にまつわる場面を過去から未来までを描き切っていますが、前回の大阪市立美術館での6世紀中国のものと比べると、「入滅シーン」だけはさすがに共通していますが、それ以外は違いますね。
金堂の軒下を支えるのは?
第1回でも詳しく触れましたが、法隆寺の西院伽藍にある金堂と五重塔には、スカートのような裳階が付いているのですが、その上には、一生懸命踏ん張って屋根の軒桁を支えている邪鬼や龍などの伝説上の動物がとてもユーモラスに配置されています。
今回は「金堂」の屋根に着目してみると、そこでは獅子と狛犬らしきものが頑張っていました。

正直なところ肉眼ではどちらが狛犬(吽形)で獅子(阿形)なのか識別できず、写真を拡大してもイマイチわからず、結局は一般的な配置で判断しました。
おそらくしっぽの形が違うので、これで合っていると思うのですが。
これらは安土桃山時代の修理時に補強のため付けられたものですが、ただ単に軒桁を付け足すのではなく、当時の宮大工たちのこういう遊び心にはつくづく感服させられます。
大宝蔵院での今回の気付き
こちらも第1回で触れていますが、どうしても「玉虫厨子」と「百済観音」に会っておかなければなりませんので、再びじっくり拝観しました。

・法隆寺六観音のメンバー
前回までは気付けていなかったのですが、入り口から入ってすぐ左にある法隆寺(聖徳宗)における六観音の菩薩メンバーが六道のものとは違いました。
見とれてしまってうっかりメモるのを忘れていたので間違っている可能性もあります。
検索してもちゃんと出てこなかったので、私の記憶だけを頼りに挙げると、以下の通りだったと思います。
聖観音菩薩・文殊菩薩・勢至菩薩
日光菩薩・月光菩薩・馬頭観音(これが一番自信ない。とにかく1体怖い系が居た)
「不空羂索観音」や「十一面観音」はおろか、最強の「千手観音」が入っていないのです。
菩薩のエースがいなくて「悪」と戦えるのか?
単に時代ごとに捉え方が違うだけかもしれませんが、ひとまず飛鳥時代白鳳期にはなかったというだけなのかなぁ。
・玉虫厨子

忘れないうちに簡単な詳細をここに記しておきます。
・上部:宮殿部
正面:2体の甲冑姿の天部
側面:上半身裸の菩薩が2体ずつ
・下部:台座部・須弥座
正面:「舎利供養図」
左:「施身聞偈図」
背面:「須弥山世界図」
右:「捨身飼虎図」
釈迦の前世の薩埵王子が飢えた虎のために犠牲になる。
・百済観音
4月19日~6月15日に開催される奈良国立博物館での「超国宝ー祈りの輝き」への出張展示をひかえて、黒縁のガラスケースに収めれていました。
前回までは生で食い入るように、後ろの細部に至るまで観る事ができましたが、今回はガラス越しにしか拝めませんでした。

フィニッシュは「布穀薗」で

このシリーズで2回目の登場の「布穀薗」で休憩タイムです。
前回はランチをいただきましたが、今回はスイーツを。

幕末の空気を感じる古民家で、この日の3人の話題はまったく関係のない、鬼滅の刃、進撃の巨人、ダンダダンなどのコミックやアニメの話に花が咲きました。
やっぱり話題は尽きません💦
次回はこのシリーズの締めとして、法隆寺を堪能して気付いた事を含めた、訪問するために参考にしてほしい事をまとめて最終回とさせていただきます。
【参考】
・古寺行こう 法隆寺
・文化遺産データベース
「法隆寺」を堪能するシリーズ
①第1回~プロローグ
②第1回~東院伽藍
③第1回~西院伽藍
④第2回~藤ノ木古墳
⑤第2回~周辺の寺々
⑥第3回~秋の斑鳩と東院伽藍の深堀り
⑦第3回~お宝と七不思議
⑧第4回~期間限定公開を巡る
⑨第4回~法輪寺と中宮寺跡
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