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時間を「資産」として管理する、タイム・ポートフォリオという考え方

お金の管理には家計簿をつけても、時間の使い方を数字で見つめ直したことがある人は少ないと思います。

個人ファイナンスにおいて、お金以上に重要な資産があります、それが「時間」です。

誰にとっても1日は24時間しかありません。この有限な資産をどこに投下するかによって、今の生活の質だけでなく将来の個人価値や人生の選択肢そのものが変わってきます。

今回は、時間を財務諸表になぞらえた「タイム・ポートフォリオ」という考え方を紹介します。


■ 時間資産 = 時間負債 + 時間純資産

財務諸表(B/S)では、資産は負債と純資産の合計で表される。時間も同じように整理できます。

時間資産 = 時間負債 + 時間純資産

ここでの「負債」「純資産」は、時間の投下先を整理するための概念だと捉えてください。

・ 時間負債:あらかじめ投下することが決まっている時間

・ 時間純資産:負債として拘束されていない、自分の意思で使い道を決められる時間(=可処分時間)


この2つを分けて考えることが、タイム・ポートフォリオの出発点です。


■ 時間負債①:固定負債は「削るもの」ではない

時間負債は、さらに「固定負債」と「流動負債」に分けられます。

固定負債とは、生活を維持するために基本的に確保する必要がある時間のことです。

・ 睡眠
・ 生活(食事・入浴・家事・身支度など)
・ 仕事(所定労働時間+通勤時間)


これらは人生を維持するために不可欠な時間であり、単純に削ればいいというものではありません。
睡眠を削れば健康を損なうし、生活を極端に圧縮すれば生活の質そのものが下がってしまいます。
仕事は労働契約に基づき全うするもの、当然削ることはできません。

固定負債に対してすべきことは、削減ではなく効率化です。
必要な時間はきちんと確保しながら、効率化できる部分だけを効率化する。この線引きが重要です。


■ 時間負債②:流動負債こそが可処分時間を圧迫する

一方、流動負債は本人の選択によって増減する時間です。

特に問題なのは、将来のリターン、つまり個人価値の向上につながらない活動に投下される時間です。

・ 残業
・ 目的のない飲み会
・ ダラダラとしたテレビ視聴
・ 惰性的なSNS
・ 目的のないネット閲覧


これらすべてが悪いわけではありません。しかし、目的やリターンを意識せずに投下される時間は、可処分時間を圧迫する「流動負債」になり得ます。

■ 時間純資産=可処分時間こそがポートフォリオの核心

時間資産のうち、負債として拘束されていない部分が純資産、すなわち可処分時間です。

この可処分時間こそが、将来の個人価値などを生み出すための原資になります。

・ 知識、経験、専門性、信用
・ 健康
・ 副業、趣味、文化活動、家族やパートナーとの時間


時間資産の中からまず時間負債を支払い、残った純資産をどこへ投下するか?

これがタイム・ポートフォリオの核心です。

■ 固定負債の中に眠る純資産、通勤時間という例外

固定負債の中でも、通勤時間は少し特殊な性質を持っています。

睡眠や食事のように、その時間自体に本人が拘束され続けなければならないわけではありません。移動している間、頭や手が空いている時間帯が生まれます。つまり通勤時間は、「削れない固定負債」でありながら、使い方次第で純資産に近い価値を生み出せる、数少ない負債です。

・ 読書や音声コンテンツによるインプット
・ 語学学習や資格の勉強
・ その日のタスクの整理や思考の棚卸し


こうした使い方をすれば、通勤という固定負債の枠組みはそのままに、実質的な可処分時間を増やすのと同じ効果が得られます。
逆に、何も意識せずスマートフォンを眺めて過ごせば、その時間は純粋な負債のまま消費されて終わってしまいます。

固定負債は「削れない」からこそ、使い方を工夫する発想が効いてきます。通勤時間はその代表例です。

■ 残業という流動負債が膨らむと何が起きるか

流動負債の中でも、残業は特に厄介です。
仕事という固定負債の延長線上にあるため、「仕事だから仕方ない」という理由で際限なく膨張しやすい。

残業が増えれば、その分だけ純資産、つまり可処分時間が圧迫されます。これは単に「自由な時間が減る」という話にとどまりません。

残業時間が可処分時間を超えるとどうなるか?

・ 睡眠時間を削って帳尻を合わせようとする
・ 生活時間(食事・運動・家事)が雑になる
・ 健康維持や自己投資に充てる時間がなくなる
・ 家族やパートナーとの時間が失われる


つまり残業という流動負債の膨張は、可処分時間を奪うだけでなく、本来「削るべきではない」はずの固定負債(睡眠・生活)まで侵食し始めるのです。

これが続けば、生活の質や健康そのものを取り崩すことになりかねません。

家計でいえば、リボ払いの返済のために生活費や貯蓄まで切り崩し始めている状態に近いです。負債が負債を生む悪循環です。

■ どうすれば可処分時間を増やせるか

可処分時間を増やすといっても、固定負債を無理に削るという話ではありません。
基本は流動負債を抑制することと、固定負債の中身を活用することの2つです。

■  仕事:残業分水嶺という発想

一定時間を超えて残業しても、収入や成果、将来の個人価値へのリターンが十分に得られないのであれば、その時間は流動負債と捉えることができます。

仕事に投下する時間を無制限に増やすのではなく、リターンが得られる「分水嶺」を見極めそれを超える残業を抑制しましょう。

■  通勤:固定負債を純資産化する

通勤時間は削れない固定負債だが、その中身を意識的にデザインすることで、実質的な可処分時間を生み出せます、
何のために使うかを事前に決めておくだけで、同じ移動時間の価値は大きく変わります。


■  睡眠:削減ではなく規則正しい確保

睡眠は削減対象ではありません。規則正しく必要な睡眠を確保することが、健康資本を維持するための前提になります。

■  生活:段取りと仕組み化

生活時間は、段取り・ルーティン化・仕組み化・自動化・効率化によって圧縮します。
固定負債そのものを否定するのではなく、必要な生活を維持しながら投下時間を最適化する発想です。

■ 可処分時間は「有効活用」して初めて意味を持つ

流動負債を抑制し、固定負債の中身を工夫して生み出された可処分時間は、単なる「余った時間」にしてはいけません。純資産として、意識的に有効活用する必要があります。

ここで大事なのは、「忙しくすること」ではないという点です。

可処分時間は、

・ 個人価値を高める活動
・ 健康を維持・向上する活動
・ 将来の選択肢を増やす活動
・ 生活品質を高める活動


など、自分にとって本当に価値のあるものへ投下してこそ意味を持ちます。

■ まとめ

タイム・ポートフォリオの考え方は以下になります。

時間資産を、固定負債(削減できない時間)・流動負債(抑制すべき時間)・時間純資産(可処分時間)に分けて捉え、流動負債を抑制することで生まれた可処分時間を、将来の個人価値につながる活動へ意識的に投下する。

お金の家計簿をつけるように、一度、自分の時間の使い方を「資産」「負債」「純資産」に分けて棚卸ししてみると、これまで見えていなかった「時間の使い道」が見えてくると思います。


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