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【勝手に読書感想部】方舟:夕木春央

[作品紹介]

山奥にある地下施設『方舟』を訪れた大学時代の仲間たち7人グループ。
そこに、偶然道に迷い込んだ3人の家族連れも合流し、ここで一晩過ごした。
ところが翌朝、大きな地震が発生し入口の扉が岩で閉ざされてしまった。
更に悪いことに、地下からは水が浸水してきており1週間もすれば完全に水没してしまう。
建物の構造上、1人が犠牲になれば脱出は可能そうだ・・・。

そんな矢先、なぜか殺人事件まで発生。
残された9人は『方舟』脱出のための生贄として、タイムリミットまでに殺人犯を見つけ出す必要があった。

[感想]


*以下少しネタバレ含みますので、まだ読まれてない方はご注意ください。また、『十戒』の内容にも一部触れているので、こちらも読まれてない方はご注意ください。



前にも、こんな感想を書いたかもしれませんが・・・本当に鮮やかでしたね。

鮮やかに、異常事態下での瞬時の判断で、機転を利かせて、自分が助かる唯一の方法を導き出す。
そこから逆算して、メンバーの行動を掌握し自分の思いのままに物事を進める。
必要に応じて殺人も犯しちゃう。
人って、こんなにも非情になれるんですね。
麻衣はこの極限の心理状態を楽しんでいるようにすら見えてきます。

文字通り『方舟』。
初めからずっとヒントは与えられていたんですよね。
船に乗っている者のほうが助かるって・・・。
ラストの絶望感、ハンパなかったです。
絶望的ラストだったけど妙な達成感もありましたね。


読む順番を間違えちゃったかもなんですが麻衣は、『十戒』の綾川さんですよね。
改めて思い返してみると、同一人物であるというヒントがたくさん散りばめられていました。
なにより、どちらの作品でも彼女の「なんとしても、自分だけは生き残る!!」みたいな強い執念が感じられました。

『十戒』の終盤の綾川さんのセリフ・・・
「私、勝手に人を好きになって、期待して、それでがっかりすることが多いんだよね」
これって、柊一のことですよね?
めっちゃ被害者ぶってる。笑
殺したくせにね。笑

だけど裏を返せば、生きることに貪欲で、ちょっと頭が良すぎる、ひとりの純粋な女の子なんでしょうね。

例によって、細かな心理描写や人間的な背景はそれほど重点的に描かれていませんでしたが、セリフの端々にそんな麻衣のひととなりが垣間見えていたようにも思います。

本作をめちゃめちゃ楽しませていただいたのですが、読書中、わたしの心もずーっと極限状態。
恐ろしくて、面白くて最初から最後までドキドキしっぱなしでした。
リハビリとして、今、ほのぼのとした優しい系の短編小説とか読みたいです。笑
おススメあったらぜひ教えてください。


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