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【勝手に読書感想部】十戒:夕木春央

[作品紹介]

殺人犯が誰か知ろうとしてはならない。
正体を明かそうとしてはならない。
告発をしてはならない。


他界した伯父が所有していた小さな無人島『枝内島』。
リゾート開発の視察のため、里英は父と共に、開発会社や不動産屋らを含む総勢9名でこの島を訪れた。
5年ぶりに訪れた『枝内島』にはテロリストが設置したと思われる多量の爆弾が残されていた。

そして、そんな状況下で殺人事件は起こる・・・。
犯人からは関係者に対して『十戒』が提示され、そこには「島を脱出しようとしてはならない」「犯人を知ろうとしてはならない」「島の外の者にこの状況を伝えてはならない」など彼らの行動を縛る指示が書かれていた。
そして、この『十戒』を」破ると島に仕掛けられた爆弾が爆発する、とも。


[感想]



*以下、ネタバレ含みますので読まれてない方はご注意ください



殺人の手口にこんな言葉を使うのは不謹慎ってことは大前提として、、、それでも、なんて鮮やかなんだろうって思ってしまいました。

まどろっこしい『十戒』で関係者たちの行動をガチガチに縛り、必要以上に犠牲者を出さない。
足跡のミスリードとか、犯人をでっち上げるための筋書きも完璧!犯人自らが探偵役として『デストピアの住人たち』を誘導する。
(犯人の指示に従う姿があまりにも無感情で、淡々と証拠隠滅を行う登場人物たちの感情が全く読めない怖さはありましたが・・・)
行き当たりばったりの犯行から練り上げた計画とはとても思えない、、、本当に完璧。まさに完全犯罪でした。

綾川さんの活躍(?)のおかげもあり、なんとか島からの脱出が成功したのち、『犯人に声をかけられた』の記述で、『うわ、、、そういう感じ?』と、鳥肌が立ちました。

ここまで里英視点で物語が進んでいる割には、どうもクローズドサークル特有の切迫感が内容に感じていたんですけど、実際はこんな命懸けのギリギリの駆け引きをしてたんだ・・・って驚きました。
こんな極限状態であれば野村さんのような反応の方が正常ですよね、多分。
なるほど、初めっから犯人が分かっていたというアドバンテージが気持ちの中にあったんですしょうか。
綾川さんの行動があまりにも大胆すぎたのも、ここまで読めば納得でしたね。笑

島が爆破し海が割れるさまに表題の『十戒』がなんとも美しく回収されて、ここにも鮮やかさを感じてしまいました。

面白くて夢中で読んでしまいましたが、犯人が分かった上で再読すると全く違った世界が見えてきそうです。

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