【勝手に読書感想部】ステップ:重松清
[作品紹介]
妻朋子が逝ったのは、娘の美紀が1歳半の時だった。
それ以来、健一はシングルファーザーとして、一人娘を大事に育ててきた。
時には、母親がいないことでひどいことを言われ。
時には、周りの人の優しさに助けられながら。
時には、義両親に気を使いながら。
娘の成長に涙しながら・・・。
心に悲しみを抱えながら、その寂しさと寄り添いながら、前向きに生きていく家族の10年間を描いた物語。
[感想]
*以下少しネタバレ含みますので、まだ読まれてない方はご注意ください
若くして旅立った朋子を、いつまでも忘れないで、愛し続けて、思い出をシェアして。
朋子が残してくれた縁が、義父母と健一の関係を本当の親子以上の強い絆に育っていく様子が感慨深かったですね。
それは一朝一夕で得られる者ではなくて、何年もかけて築いていきました。
文字通り、『ステップ』を踏んで・・・。
血のつながりのない両親のことを英語で『ステップファーザー』『ステップマザー』というんだよ、っていうくだりで義父が発した言葉が印象的でしたね。
何もせずに突っ立っているだけでは家族にはなれない。
ちゃんと一歩踏み出してステップを踏まなくちゃならない。
時間をかけて、距離を埋めていく・・・。
血のつながらない親子が、時間をかけて家族になっていくという点では、以前読んだ『昨夜のカレー、明日のパン』や『ツバキ文具店』シリーズにも通じるものがありましたね。
ナナさんと美紀の関係に悩む健一を義父が叱ってくれた場面は本当にアツかったです!
健一と美紀、ナナさん、義父母と良彦さん夫婦、保育士のケロ先生にカメラマンの礼香さん、カフェ店員の成瀬さん、朋子の同級生たち・・・登場人物みんなの優しさが心に染みました。
シングルファーザーとしてメインで子育てしてきたのは健一だけど、周りのたくさんの人たちに優しさを分けてもらいながら、美紀は本当に優しい子に育ちました。
誰だって生きていると、悲しさや寂しさを感じるタイミングに遭遇します。
悲しみから目を逸らさずに、寂しい気持ちと向き合って、それでも前に進んでいく。後悔せずに生きていくなんて多分無理です。
こんなふうに何かを抱えながら、迷ったり後悔したりしながら生きてる全ての人を肯定してくれるような、気持ちに寄り添ってくれるような、優しくてあったかい作品でした。
本当に読んでよかったです。
