見出し画像

第38話 就労施設と初代恋人のこと2

チカノベの人生史小説。タイトルは『精神障がい、性的違和の知暖ちはるが学んだ「真実の愛」と「人生の正解」を目指す道』。

脳の障がいによる障がい特性を持つ主人公の知暖が、人生でたくさん失敗し、苦しんで、たくさん泣いて叫んで、報われない経験をして生きてきた。

そうやって、いろんな人たちと関わっていく中で「社会性」と「愛の形」と「人生の正解」について学んでいくお話。

今回は、第4章『何かと闘いまくった高校生活』から『第38話 就労施設と初代恋人のこと2』です。

目次はこちらです。以前の話や次回以降の話を選んで読めます。

主人公の知暖と初代恋人の瑛亮くん
(Geminiさんで生成したイメージ写真)

就労施設と初代恋人のこと2

4月末には、自分と瑛亮えいすけくんと西島にしじまさんと、当時40歳くらいだった男性職員と、市内の県立公園のサクラ祭りへ行った。市内だが、合併した地域で、自宅とは離れている。池の近くで写真を撮った。お花見のあと、職員が瑛亮くんの自宅近くまで送迎した。公園から少し近い中学校の前に自宅があるようだ。

就労施設が経営している駄菓子屋とカフェでの就労訓練では、レジ打ちを真剣にする瑛亮くんを「かっこいい」と思い、自分も瑛亮くんのように、真剣に就労訓練に取り組んだ。

3人目の利用者が入所した。さえさんという同い年の女子。大人びた顔つきと声が特徴で、女性的な体型をしていた。隣の市の通信制を受験する予定だったが、気分障がいの症状で、受験当日に受験会場へ行くことができず、高校生にはなれなかった。

瑛亮くんとさえさんは、共通の趣味があり、2人が一緒に親しく話していると、自分は強い嫉妬心を抱いた。西島さんから母へのメールに「女性利用者に強く嫉妬していた」という報告が入っていた。

瑛亮くんと自分が交際したことは、さえさんには教えていなかった。さえさんに「付き合っているのは瑛亮くん?」と訊かれ「そんなわけねーだろ」と自分は答えた。西島さんから、この嘘は、さえさんに気を遣わせないために配慮がされた嘘であることを褒められた。

自分は学校の日、学校の仲間たちにノロケ話をし、クラスの人たちは交際を認知し「〇〇したの?」とプライベートな質問をしてくるようになった。カップルがいるとクラスで話題になった。瑛亮くんは学校生活に慣れず、五月病になった。

瑛亮くんは「好きな人に見た目は関係ない」と言ってくれた。でも、矛盾するようなことが起こった。5月の連休を境に、おかしなことが起こり始めた。

5月の連休中に送ったメールに返信は一切なく、相当寂しい思いをした。連休が明けて、また日常が戻り、仲良くしようとした。伊達メガネをかけていることは「メガネをかけている方が好みの顔」と言っていた。5月も中旬に入り、よそよそしさを感じた。「今日楽しかった?」とメールで訊くと、思い通りのリアクションが来なくて、不満を漏らした。

髪を切ることになり、瑛亮くんにメールで伝えると「たのしみっ!」というデコレーションつきのメールがきた。髪を切ったあと施設で会うと、明らかに反応がおかしかった。「もっと切ったほうがよかったかな」と言うと「あまり短いと好きじゃないから」と言った。

夜中に、意味不明なメールが来た。改行の位置がとても乱れている。当時は意味がわからなかった。後日、瑛亮くんに、自分のどこが好きかメールで訊いてみた。返信がきた頃は学校のレポートを解いていて、母が携帯を見ないでと言い、勉強が終わったあと確認した。質問返しをされたので、熱心に瑛亮くんの好きなところを考えた。返信せずにいると「メール、見ましたか?」と返信が来た。自分は「見たよ」と返信した。別れ話になった。無言電話をされ、向こうからのメールで別れてしまった。

「ゴメンナサイ辻川 知暖さん 今日で彼氏彼女という関係を終わりにしましょう まわりにも迷惑がかかるし、自分は知暖さんと一緒にいて疲れてしまいました」といった内容で振られてしまった。返信すると「このメールが最後です 本当にゴメンナサイ サヨナラ」ときて、自分はやり直すことを提案したが「ゴメンナサイ」と返ってきて、自分は原因がよくわからなかったため「私のどこがダメなの」と訊いた。初めての交際はわずか4週間で終わってしまった。

改行位置の変なメールの謎が解けた。自分が寝ている間に、裕喜ゆうきが全てのメールを確認した。縦読みすると「ごめん。君と別れル。」と書いてあった。別れようと思ったのは、当日思い立ってしたことではないのだと感じた。

別れたあとも、就労施設に通った。目を合わせないように、一緒に学校のレポートを解いた。さえさんにも「瑛亮くんに振られたの」と話した。別れたあと、学校で授業を受けるも、同時にお互いを見上げて、目線を逸らすことがあった。自分は学校を休むようになった。瑛亮くんの親は、こっちのせいで息子が学校に通えなくなったと主張した。うちの母親は「向こうのせいで娘が学校に通えなくなった」と言い返せなかったそうだ。

自分は失恋で、相当ショックを受け、毎日泣いてばかりだった。誕生日に渡したゲームのキャラクターのストラップが、瑛亮くんのバッグから外されていた。就労施設では、自分より重度の障がいの人にしつこく構ったり、いじめたりした。同じ施設の放課後児童クラブの小学生たちにも悪影響である問題行動を起こした。施設の利用日時が変わり、他の利用者たちとは接触がない時間に利用するようになった。

問題行動を起こし、他の利用者と一緒に作業できなくなったことについて、施設側に「計画を台無しにされた」と責められた。元々は、高校生の利用者たちと、アップルパイを作って売り、その収益でタブレットPCを購入し、宅配をするという計画だったそうだが、自分が問題行動を起こして、その計画から抜けることになった。

当時のことを母から聞いた際、自分がいかに内面が最悪であることが身に染みてわかった。「自分より重度の障がい者を差別するような言動をとっていたのか」と実感した。母に、そのときと今の自分は違うかどうかうまく訊けず、自分は当時の内面が悪いが故に起こした言動は、人間として、ひとりの障がい当事者として、最低最悪だと思った。自分も重度の発達障がいなのに、他の障がい者が好きではなく、いじめていた事実に、自分がやった陰湿なことが信じられなかった。彼らは自分とは違い、劣っている人だと感じ、その傲慢さが、自分より重度の人への攻撃に変わってしまったのだと思う。瑛亮くんに拒絶された空虚さを埋めるために、誰かを支配したり傷つけたりすることでしか、自分の存在を確認できなかった。最低な方法でしか、自分の形を保てなかったのだ。

母に、高校1年生の自分とアラサーの今の自分が変わったかどうかうまく訊けなかったけど、当時の自分がした言動が「信じられない!」と、今は強く胸が締めつけられるなら、自分は意識が変わったのかもしれない。今の自分は、自分より弱い立場の人に気を遣い、同じ悩みを持つ障がい者の人たちが生きやすい社会になるように情報発信している。母から聞いた当時の自分の姿は、今の自分にとって消し去りたい汚点であり、不名誉な呪いのようだ。でも、その醜さを認めない限り、今の自分は本当の意味で前には進めない。

別れてしばらくしたときは、完全に相手が悪いと思い、裁判で賠償金を請求したいくらい、傷ついて精神的に追い込まれた。母は「お互いさま」と振り返るように、双方に問題があったと今は思う。このあとの高校生活は「恋多き乙女」と言われるほど、いろんな人に恋をする。恋の経験、相手の気持ちを考えるという、人と接してきた経験が積み重なっていく。


おことわり

この物語は、自分の主観と記憶を辿り、実体験をベースに綴ったノンフィクション・エッセイです。一部、プライバシー保護のために、地名や人名、団体名、家庭事情等を伏せたり書き換えたりしています。そして、歳月の経過による記憶の断片を繋ぎ合わせています。当時の心情風景としての描写が含まれることをご了承ください。


あとがき

恋愛要素は、いずれこの記事を目にするであろうツインレイの彼に配慮して書いているので、仲良くした思い出表現は控えめです。

​また、初代恋人との間には誠実さに欠ける出来事もありましたが、それらも最小限の記述に留めました。

人生史小説で、いろんな親しくなった障がい者たちとの出来事を振り返り、自分の周囲には、いろんな障がい特性の人たちがいると気づけました。

高校1年生の春に付き合っていた初代恋人は、もしかしたらアスペルガー症候群の孤立型だったのかもしれません。

ASD孤立型の特徴は、他者との交流に関心が薄く、自分の世界でひとりで過ごすことを好むタイプです。

他者と関わらず、ルーティンを重視し、独自の興味に深く没頭する特徴があります。

僕が初代恋人に感じた特徴は、第一印象は「よく喋る人だなぁ」と思いました。心を許した相手には、積極的に関わることができます。

人に会うことが好きではなく、嫌いな物も多いです。人が好きではないので、好きな音楽のジャンルはボーカロイドです。

僕は積極奇異型で、知らない人にどんどん話しかけますが、初代恋人は、学校では僕か先生としか話しません。

瑛亮くんにとって、交際経験は僕が初めてではないらしいですが、僕にとって瑛亮くんが初めて交際した恋愛対象になりました。

瑛亮くんは、高校に入学して、学校生活に慣れず、五月病になり、別れ際には「一緒にいて疲れたかもしれません」と僕に言いました。

初代恋人と小学生時代に関わっていた女子から聞きましたが、本来の性格は「無口」だそうです。僕とは「お似合い」と言ってくれたと思います。

「性格の不一致」で別れたと、僕の母は振り返ります。でも長年、その理由だと断言するのには納得できませんでした。

ASD積極奇異型当事者として、人生史小説やエッセイを投稿するようになり、ASDの特性を解説し、初代恋人や他の恋愛対象の特性も見えてきました。

ASDの特性は、孤立型、受動型、積極奇異型、尊大型、大仰型があり、ASD特性を説明するエッセイで、特性の違いについて取り上げてきました。

そのエッセイを手がけていく上で、初代恋人は孤立型と気づき、積極奇異型の人とは相性が悪いと感じました。

人との関わりを避けている孤立型の人に、ガンガン関わろうとする積極奇異型の人。どう考えても、孤立型の人を疲れさせてしまいます。

積極奇異型と相性がいいと思うのは、聞き上手な人や、受け身の人、尽くされたい人、自分とは少しクセの異なる積極的な好意を見せる人です。

受け身を取るタイプの、ASD受動型の恋愛対象とは、関わった経験はないですが、相性は他の障がい特性より比較的いいと思います。

自分の感情だけで話す積極奇異型の気持ちを、受け入れてくれる人のほうが嬉しく思います。

受動型の人は、積極奇異型の人の情熱や多弁さを「そういうものだ」と穏やかに受け止めてくれる可能性があります。

僕のような「一方的に教えたい」という欲求を、否定せずに聞き流してくれる懐の深さがあるかもしれません。

実際に関わった、多動の人や、積極的に好意を見せてくれる恋愛対象とは、友達以上恋人未満や両片思いになれた経験はあります。

ADHD多動型の人は、多動を伴うASD積極奇異型の僕とは、お互いにエネルギー量が高いため、リズムが合えば最高の盛り上がりを見せます。

両片思いのような関係になれた経験があるのも、その躍動感が共鳴したからでしょう。

自分と違った積極性がある知的障がいや発達障がいの人と仲良くなれるのは社会的な「建前」や「駆け引き」抜きで接し合えるからです。

自分の「好き!」や「やりたい!」を全力でぶつけてきます。僕の「一方的に伝えたい」という情熱も同じ種類の純粋さを持っています。

そのため、積極的な人同士は、お互いに「魂の出力」が同じレベルで、心地よく響き合うのです。


作者の近況

今、第10章を生きる作者の近況。復縁した3代目恋人の彼から、今朝メッセージがきていましたが、遅くまで寝ていたので、気づきませんでした。

僕が遅くまで寝ているときに限って、彼から連絡がきていて、気づいた頃は、もう彼が仕事中の時間です。

返信すると、彼が通知に気づき、返信を読んだり、僕への返信を考えたりし、仕事の邪魔になると思うので、リアクションだけつけています。

今回のお話を読んで、まだ2代目恋人だった今の彼と別れたときのことを思い出し、涙が出ました。

初代恋人と別れたときは、別れたくなくて、何度も引き止めました。でも、2代目恋人と別れたときは、すんなり受け入れました。

本当は、2代目恋人とも別れたくありませんでした。それでも、しつこく引き止めませんでした。

初代恋人に「サヨナラ」「最後」と言われてすんごく切なくなった経験から、再会を期待して「またね」と言いました。

2代目恋人と別れた原因は、彼が仕事に集中したいためでした。付き合ってみて、仕事に身が入っていないと気づいたそうでした。

彼を休ませるため、僕と距離を置かせるためにも、しつこく引き止めませんでした。僕のことを忘れてもらって、仕事に集中してほしかったです。

別れることになっても、嫌われたくなく、自分がどんなに悪人で相手を不安にさせていても、最後まで好印象に思われたかったのです。

彼を心から愛しているため、自分の気持ちだけ考えず、相手のことを想って、別れることにしました。

自分は物も人も大切にできない人だと思い込んでいたけど、彼のことが大切だからこそ、彼のためにもしつこく「別れたくない」と迫りませんでした。

自分の欲求を満たすためにしか彼と付き合うことができなかったと思いました。いつも自分のことばかりで、彼の気持ちなんて考えていませんでした。

それでも、僕が彼を幸せにできなかった分、彼の幸せを願って別れました。それが僕にできる最後の精一杯の気持ちでした。

別れた当時を振り返ると、涙が出ます。いつの話かというと、今年の1月12日(月)のことです。

4月6日(月)に、復縁が叶っていても、別れたときの記録(下にリンクがあります)を読むと、自分の当時の気持ちに感情移入してしまいます。

こんなに彼を深く愛して神格化し、自分を悪者に仕立て上げていた第9章の物語は、第8章で真実の愛を知ったからこそ書くことができたはずです。

自分は人の気持ちがわからず、自己中で他人に関心がないと思っていましたが、彼と出会ったことで「人を愛する方法」を覚えました。

それが、積極奇異特性の「一方的な気持ち」であっても、ここまでひとりの人間を深く愛するのは、積極奇異な故の「ひとつの才能」です。

この週末を過ごし、月曜日(4日)になると、交際して4週間となります。初代恋人や2代目恋人とは、4週間しか付き合えた経験がないです。

4週間の壁を超えたら、もう不安なことはないと思っています。4週間以上付き合えない呪いがかかっていることを疑うのはやめます。

彼とは、第9章の離れている間に、ともに成長して、強くなれたはずです。この強い絆を信じて、愛の物語を進めていきます。

今日はこのあと、できたら小説の下書きを執筆します。投稿する分のシナリオのストックが残り少なくなり、危機感を覚えています。

以前は、週末の1日の間に、10話執筆するペースでがんばれましたが、最近は書けても3話程度です。

2,3日に数話、少しずつでもいいので、執筆を続けていきたいです。下書きのストックが尽き、執筆や連載がストップしてしまうことを恐れています。

今日は調子が悪いので、4月29日(水)で執筆が止まってしまった第51話の続きを完成させたら良しとします。

やる気や集中力が続くようであれば、第52話以降も執筆します。今月前半のうちに、第5章や第6章まで執筆が進むといいです。

無理をせず、執筆と連載を継続します。9月頃の季節的なうつ状態の時期が近づいたら、どうするかも考えておきます。


トップ画像説明と次回予告

トップの生成写真、どんなプロンプトを打ち込んでも、身長差は表現できませんでした。当時の僕は確か168cm、初代恋人は152cmでした。

実際の写真を元にした生成写真です。実際、池には木の柵があります。プロンプトに入れるの忘れました。

次回は、第4章『何かと闘いまくった高校生活』から『第39話 潔癖症のような症状があったこと』です。

小学6年生の春頃から、高校1年生の春頃までに続いた、潔癖症のような癖がついて、克服するまでの話です。


参考記事

次回、お楽しみに!

いいなと思ったら応援しよう!