看護師の勉強は何から始める?現場で動ける知識を定着させる「科学的勉強方法」
勉強したいのに、続かへん。
読んだはずなのに、一ミリも残らへん。
勤務が終わって、パンパンにむくんだ足を引きずって帰宅。
「今日こそは」と参考書を開いたはずなのに、気づいたらスマホを眺めていたり、ソファーで意識を失うように寝落ちしていたり……。
数日後にそのページを開いても、脳内は真っ白。
「あの時間はなんやったんやろう」って、地味に、いや、かなり凹みませんか。
僕は丸暗記で何度もこけました。
時間をかけたのに、抜ける。
頑張ったのに、いざ現場で聞かれると思い出せない。
そのたびに、「自分は看護師に向いてへんのかな」「地頭が悪いんかな」と、勉強そのものがしんどくなっていました。
でも今ふり返ると、しんどかったのは勉強そのものではなかったんです。
「疲れ切って、判断力が落ちた脳」に、合わないやり方を無理やり押し付けていただけでした。
それを一気に変え、僕を「泥沼の暗記」から救い出してくれたのが、
「アクティブリコール(想起学習)」や「分散(間隔)学習」という、やり方と設計の変更でした。
これは、根性論の話ではありません。
むしろ、「頑張れない日」があることを前提にした、戦略的な学び方です。
認定看護師として、そして今も数学や物理を学び直している一人の学習者として、
「もうソファーから立ち上がれへん」という夜でも、着実に知識を血肉に変える方法を、今日はお伝えします。

先に結論を書きますね。
看護師の勉強で、まず何から始めるか迷ったら、
「読むだけ」をやめて、思い出す(思い出そうとする)ことです。
流れはシンプルです。↓
まず少し読む
本や資料を閉じる
何も見ずに思い出してみる
当日、翌日、3日後、7日後と、徐々に間隔をあけて復習する。
たった、これだけです。
こんなふうに、看護師の僕の学力アップさせてくれたのが、
「アクティブリコール(想起学習)
分散(間隔)学習」
など、勉強方法(やり方・考え方)を変えたことでした。
☘️ この記事で、あなたに持って帰って欲しいこと。
1️⃣ 読む。
2️⃣ 閉じる。
3️⃣ 思い出そうとする。
4️⃣ 出てこなかったら、少しだけ見て、もう一回やる。
5️⃣ しんどくなってきたら、そこで止める。
6️⃣ そして、また次の日に引っぱり出す。

📖 読んだだけで終わる夜が続くと、勉強そのものが重たくなってくる
勤務が終わって、家に帰る。
ごはんやお風呂をすませて、やっと机に向かう。
そこまでたどり着いただけでも、ほんまはかなり頑張っています。
でも、疲れている夜って、文字は目に入るのに、頭の中には残りにくいんですよね。
読んだ。線も引いた。
ページも進んだ。
なのに、あとで思い出そうとすると出てこない。
あの感じが何回も続くと、勉強そのものがだんだん重たくなってきます。
僕も前は、あれを根気の問題やと思っていました。
「もっと長くやらなあかんのかな」、とか。
「もっと気合いを入れなあかんのかな」、とか。
でも、あとから見えてきたのは、少しちがう景色でした。
長く勉強してしんどくなるのって、ただ集中が切れた、だけではなさそうなんですよね。
頭の中で、覚える、理解し直す、組み替える、みたいな重たい作業を続ける余力がなくなって、いちばんラクな「読むだけ」に流れやすくなる。
しかもそのときって、ページは進むので、「勉強した気」だけが残りやすい。

これ、看護師の勉強ではほんまに起きやすいと思います。
だからこそ、勉強時間をむやみに伸ばすより、
思考が落ちる前に止めること。
思い出す時間を入れること。
そして、回復を前提に組むこと。
これが大事になってきます。
ここまで読むと、じゃあ夜は勉強しないほうがいいのか、と思うかもしれません。
そこまでは言いません。
ただ、夜に新しいことをどんどん詰め込むより、その日に見たことを手ぶらで頭の中で軽く思い出す(想起する)くらいのほうがいい、ということです。
帰宅後に、ほんまに頭も体もついてこない日は、夜に無理して詰め込まなくていい。
夜は軽く思い出すだけにして、もし生活に合うなら、少し早く寝て、朝のまだ静かな時間にしっかりやる。
そのほうが、結果として残りやすいんです。

📖 「わかる」「覚える」「慣れる」を分けてみたら、次にやることが見えやすくなった
前の僕は、ここがごちゃごちゃでした。
論文を読んで「なるほど」と思ったら、もう少し進んだ気になっていたんです。
でも、あとで白紙で説明できるかと言われると、そこはかなり怪しい。
さらに数日たって、後輩にわかりやすく話せるかとなると、もっとむずかしい。
たぶん、
「わかった」
「覚えた」
「慣れた」
が、頭の中でひとつになっていたんですよね。
でも、この3つって、ほんまは別ものなんです。

① まずは、わかる。
これは、まだ知らなかったことに出会って、「そういうことか」と見えてくる段階です。
論文を読んだり、動画を見たり、講義を聞いたりして、頭の中に新しい地図ができはじめる時期です。
② 次に、覚える。
これは、見たらわかる、で終わらせずに、何も見なくても言えるところまで持っていく段階です。
つまり、白紙で説明できるかどうか。
ここで必要になるのが、読むことより、思い出すことです。
📖 文献では、
ここで大事になるのが、読むことより、思い出すことです。想起の練習は、あとで取り出せる記憶づくりに役立つとされています。
③ 最後が、慣れるです。
これは、日が空いても、反射的に、しかもわかりやすい言葉で出せる段階です。
自分ではわかったつもりでも、いざ患者さんや後輩に伝えようとすると、言葉が詰まることがありますよね。
あれはまだ、慣れる手前なんですよね。
この3つを分けて考えるだけで、かなり見え方が変わります。
今日は論文を読んで、わかるところまで進んだ日なのか。
今日は何も見ずに答えて、覚えるところをやった日なのか。
今日は数日前の内容をもう一回引っぱり出して、慣れるほうへ近づけた日なのか。
ここが見えると、
「今日はぜんぜん進まへんかった」
ではなくて、
「今日は“わかる”の日やったな」
「今日は“覚える”に手をつける日やったな」
みたいに、次に何をしたらいいかが見えやすくなります。
だから、しんどい日に
「今日は覚えるまでは無理そうやな。じゃあ、わかるだけで終わろう」
とするのも、全然ありです。
逆に、朝に少し余裕がある日は、
「今日はここを白紙で言えるところまで持っていこう」
と決めていいんです。

📖 アクティブリコール(想起学習)|読んだあとに思い出してみる。そこから勉強の残り方が変わってきた
僕は前まで、勉強って読む量を増やすことやと思っていました。
たくさん読んだ日ほど、進んだ気になっていたんです。
でも実際は、読んだページ数のわりに、あとで出てこない。
これが何回もありました。
そこでいちばん引っかかったのがここでした。
学習の質を変える分かれ目は、
💡 インプットの直後に想起を入れること。
つまり、もう一回読むことより、
💡 いったん閉じて思い出してみること。
うまく出てこなくても、
💡 思い出そうとすること自体に意味がある、
ということです。
たとえば、急変対応マニュアルを3ページ読んだとします。
前の僕なら、そのまま4ページ目、5ページ目へ進んでいました。
でも、アクティブリコール(想起学習)では、そこでいったん止まります。
そして、こう考えるんです。
「今の3ページ、ざっくりどんな内容だったかな?」
「後輩に1分で説明するならどう言うやろ。」
「白紙で書けるだけ、書いてみよ。」
こんな感じなんですが、これ、うまく答えられなくても大丈夫です。
むしろ、思い出そうとして出てこなかった状態そのものは、失敗ではありません。
なぜなら、
出てこなかったからダメ、ではなくて、その瞬間に脳はその情報を大事だと判断して、記憶をつなぎ始めてるんです。
だから、ここで落ち込む必要はなくて、
思い出そうとすること自体が、長く残る記憶への入口なんです。
ここで大事なのは、止まった瞬間の動き方です。

例えば、
今日は、「ショックの4分類の原因と特徴」を10分だけ本で確認する。
そのあと本を閉じて、
循環血液量減少性ショック
心原性ショック
血液分布異常性ショック
心外閉塞・拘束性ショック
上記の、ショックの4分類と原因・特徴を思い出してみる。
(時間があれば、白紙で再現してみる)
① まずは何も見ずに思い出そうとする。
② 止まったら、ヒントだけ少し見る。
③ 全部読み直すんじゃなくて、手がかりを拾うくらいでいい。
④ それから、もう一回閉じて思い出してみる。
📖 研究でも、
いったん取り出そうとすることが、ただ読み返すより長期保持に結びつきやすいことが示されています。
この、
「想起 → 修正 → 再想起」
ここが主役なんです!
読むことは入口であって、残すための真ん中ではない。
真ん中にあるのは、思い出そうとすることです。
💡 Point
1.最低20秒は考えること。
2.ヒントは最小限にすること。
3.すぐ閉じて再想起すること。
が、立て直しの基本として整理されていました。
しかも、これは長くやればいいわけでもありません。
まとまった2時間がなくてもいい。
10分読む。
1分、思い出そうとする。
止まったら少しだけ見て、もう一回言ってみる。
それだけでも、ただページを追うより、ずっと「覚える」に近づきやすい。
📖 参考書籍
最初は5〜10分のインプットと1〜2分の想起からで十分で、長くやりすぎると読むだけに戻りやすいとされています。
それに、夜にへとへとな日は、ここでも無理しなくていい。
今日はここだけ思い出して終わろう。
それでも十分です。
もし生活に合うなら、少し早く寝て、朝のまだ静かな時間に、昨日の続きからしっかりやる。
この流れのほうが、うまく回る人も多いと思います。
📖 文献では、
思い出す練習(retrieval practice)が長く残る学びにつながりやすいこと、さらに少し間をあけてもう一回引っぱり出す学び方(spacing / distributed practice)が定着を助けることが繰り返し示されています。

📖 分散(間隔)学習|その日に終わらせへん。次の日にも、数日後にも、もう一回引っぱり出す
アクティブリコール(想起学習)が大事なのは、
その場で思い出そうとすることでした。
でも、それだけで終わると、まだ心もとないことがあります。
たとえば、昨日は言えたのに、3日後にはあやしい。
1週間後に聞かれると、また言葉が詰まる。
あれ、ありますよね。
そこで大事になるのが、少し間をあけて、また思い出すことです。
分散学習と呼ばれる考え方です。
📖 文献では、
まとまって詰め込むより、学習を離して置くほうが、長く残りやすいとまとめられています。
この2つ(アクティブリコール(想起学習)と、分散(間隔)学習)は別ものやけど、組み合わせるとかなり強くなります。
ここ、忙しい看護師さんにはすごく大事やと思います。
なぜなら、毎回がっつりやり直す時間なんて、なかなか取れへんからです。
でも、分散(間隔)学習って、何時間も復習する話ではありません。
忘れかけたころに、もう一回引っぱり出す。
それだけで、記憶の定着につながる。
だから、ヒマな人の勉強法というより、むしろ忙しい看護師さんのための勉強のやり方に近いんです。

たとえば、「看護がみえるvol.4 看護過程の展開」の1事例を今日読んだなら、
読んだらすぐに本を閉じて、思い出す(思い出そうとする)。
その日のうちに一回思い出してみる。
次の日起きたら、1分だけ思い出してみる。
数日後に、もう一回だけ要点を3つ言ってみる。
1週間後に、後輩に話すつもりで言い直してみる。
これらはすべて、手ぶらで頭の中で学習ができます。
もちろん、白紙の用紙に書き出してみるのも、ありです。
このくり返しで、「わかる」から「覚える」、そして「慣れる」へ近づいていきます。

📖 読むだけになってきたら、そこで止めましょ。そこから先は、気合いより「設計」の話
前の僕は、ここをよく間違えていました。
しんどくなってきても、あと少し。もう1ページ。ここまで読んだら終わる。
そんなふうに、なんとか続けようとしていたんです。
でも、ここで大事なのって、限界まで頑張ることじゃなくて、頭が落ちきる前にやめることなんです。
想起や再構成みたいな重たい頭の使い方は、使えば落ちるし、回復も必要です。
だから、使い切ったあとに続けても、学習はあまり起きにくい。
入力だけ増えて、構造は作られにくい状態に入りやすいんですよね。
止めどきのサインもあります ↓
読む以外のことができなくなってきた。
思い出そうとするのが重い。
「もう少しだけ」が頭に浮かぶ。
間違いを直すのが面倒になる。
このあたりが出てきたら、そこで切りあげましょう。

途中でもいい。
中途半端でもいい。
回復できる余力を残して終えることが大事です。
これ、看護師の勉強ではほんまに使える感覚やと思います。
たとえば、夜勤明け。
▶︎ マニュアルを開いた。
▶︎ 最初の5分はまだ読めた。
でも、だんだん頭に入らなくなってきて、同じところを行ったり来たりする。それでも以前の僕は、「せっかく開いたし」と続けていました。
でも、その続き方って、あとに残りにくいんですよね。
・時間は使っている。
・やった感じも少しある。
でも、あとで引っぱり出そうとすると、手の中に何も残っていない。
それなら、そこで止めていいです。
「今日はここまで」、で大丈夫です。
それは、次にちゃんと残すための切り方だから。
もし生活に合うなら、夜は軽く思い出すだけにして、少し早く寝る。
そして朝の静かな時間に、少しだけ深くやる。
この回し方のほうが合う人も多いと思います。
📖 研究では、
睡眠については、CDCも成人は少なくとも7時間の睡眠を勧めています。

📖 まとめ|今夜やるなら、これだけで大丈夫です
ここまで読んでくださった方に、ひとつだけ残したいことがあります。
勉強が続かなかった日を、すぐに自分のせいにしなくて大丈夫です。
長くやれる人になることより、
同じ時間でも、ちゃんと残る学び方ができること。
たぶん、忙しい看護師の毎日には、そっちのほうが大事です。
なので、今夜はこれだけで十分です。
1テーマだけ開く
5分だけ読む
閉じる
30秒だけ思い出す
出てこなかったところだけ少し見る
もう一回だけ言って終わる
たぶん、すぐに全部が変わるわけではありません。
でも、こういう地味な積み重ねのほうが、あとからじわっと効いてきます。
僕自身、丸暗記で何度もこけました。
時間をかけたのに抜ける。
頑張ったのに、手ごたえが残らない。
あれはなかなかつらかったです。
でも、
読む。
閉じる。
思い出す。
また別の日に引っぱり出す。
この流れに変えてから、勉強のしんどさは少し変わりました。
今、勉強方法に迷っているなら、
まずは今夜、1テーマだけで大丈夫です。
読むだけで終わらせず、1回思い出す。
そこからで、十分やと思います。
☘️ この記事で、あなたに持って帰って欲しいこと。
1️⃣ 読む。
2️⃣ 閉じる。
3️⃣ 思い出そうとする。
4️⃣ 出てこなかったら、少しだけ見て、もう一回やる。
5️⃣ しんどくなってきたら、そこで止める。
6️⃣ そして、また次の日に引っぱり出す。
執筆:認定看護師|ちびかん
(急性期総合病院の認定看護師/教育/研究・論文執筆に従事)
「臨床×研究の両輪」で、後輩がベッドサイドで迷わない実践にこだわっています。
※参考・引用文献を、適宜・巻末に掲載しています。
📘 関連書籍
この記事で書いた
「読むだけで終わらせないこと」
「思い出そうとすること」
「少し間をあけて、また引っぱり出すこと」
このあたりの考え方を、もっと広く知りたい方へ。
僕自身、このテーマを考えるときに、この本の視点が最も参考になりました。
『科学的根拠に基づく最高の勉強法』 安川 康介 著
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気になる方だけ、のぞいてみてください。
書店や図書館で読む形でも、もちろん十分です。
📚 引用文献

➡️ 想起を含む学びが、長期保持に結びつきやすいことを示した代表的な研究です。
➡️ 間をあけた学習の有利さをまとめたレビューです。
➡️ 思い出す練習が、意味のある理解にもつながることを示した研究です。
➡️ 成人は少なくとも7時間の睡眠が推奨されています。
📗 参考書籍
・科学的根拠に基づく最高の勉強法 単行本 – 2024/2/15
安川 康介 (著)
・東大家庭教師が教える 頭が良くなる思考法 (中経出版) Kindle版
吉永 賢一 (著)
・東大家庭教師が教える 頭が良くなる記憶法 単行本(ソフトカバー) – 2009/2/20
吉永 賢一 (著)
・東大家庭教師が教える頭が良くなる勉強法 (中経出版) Kindle版
吉永 賢一 (著)
(※本文中の各主張は、上記一次資料・公的機関資料に基づいています。必要に応じて院内規程・地域事情に合わせて運用してください。)
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