第2章⑪ 主人に伝えられなかった言葉
1泊2日の外泊が終わり、主人を病院へ送る車の中はやけに静かだった。
昨日は久しぶりに家族3人で過ごせて楽しかったね。
また治療が始まるの嫌だよね。
抗がん剤が始まったら吐き気も辛いよね。
でも昨日は焼肉も食べられたし、しばらく病院食も我慢できるかな?
食べたい物があったら買って行くから、忘れないうちにメールしてね。
それから、
「いつも大変な思いをさせて悪いな」
とか
「娘が生まれたばかりなのに何も手伝えなくてごめんね」
とか、もう言わないで。
娘は全然手がかからないし、本当に大丈夫だから。
そんなことを伝えたかった。
だけど、何も言えなかった。
主人も黙ったまま窓の外を見ていた。
私も前を向いたまま、涙がこぼれないように必死だった。
病院に着くまで、私達はほとんど言葉を交わさなかった。
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