第2章 ⑭ 主人と2人で思い切り笑えた日。『また普通の毎日が来る』そう思えた
新しい抗がん剤が始まった。
3週間で1クールを終え、副作用はあったものの、主人は少しずつその辛さにも慣れてきているように見えた。
何クール目だったかは、もう覚えていない。
でも、一つだけははっきり覚えている。
腫瘍マーカーが正常値まで戻った日。
レントゲンや他の検査結果にも異常はなかった。
そして、主治医から一時帰宅の許可が出た。
次の治療が始まるまでは、自宅で過ごせることになった。
「やったね。」
「長かったな。」
そう言って主人は、天を見上げた。
その表情は、入院した頃よりずっと穏やかだった。
私たちの嬉しさが伝わったのか
娘も「キャッキャッ」と声を出して笑うことが増えた。
久しぶりに、家族3人で過ごす時間。
それだけで十分幸せだった。
次の週末、自宅へ帰る車の中。
隣に座っていた主人が、私の手をぎゅっと握った。
そして、大きな声で言った。
「ありがとう。」
あまりにも大きな声だったから、
私は思わずビクッとしてしまった。
その姿がおかしくて
主人も私も声を出して笑った。
病気になってから、こんなふうに心から笑えたのは久しぶりだった。
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