【短編物語】#せりふ三題噺(宇宙・スープ・虫よけ)
はらとけいさんの企画に、参加させていただきます。
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聖子さんは、見てると楽しい。
少しずつギアを間違えてエンストする何かみたい。
何も言わなくても、なぜか壊れていく。
「やだ……。蚊に刺されたかも。虫よけスプレーしてきたのに……」
オニオンスープを飲んでいた聖子さんがそんなしょげた声を上げた。
「大丈夫?塗り薬あるよ」
今どきクリームタイプの塗り薬。
そうと知ってか知らずか、聖子さんが背中を向ける。
「乙川くん、塗ってもらってもいい?」
うなじの辺り、プクリと膨れた赤い箇所があった。
聖子さんは……無防備すぎる。
「こういうのって、刺されてすぐに塗ったほうが、早く治るんだよ」
教育係だった聖子さんは……たまに僕より年下みたい。
無言で、薬をそっと塗ってやる。
指先に、吸い込まれそうな体温を感じる。
うっすらそばかすがあって……まるで宇宙みたいだ。
……小さな虫でさえ引きつける、ものすごい吸引力。
「見て、光ってる!」
こんな状況だというのに……子どもみたいに聖子さんが無邪気な声を上げた。
僕はギリギリのところで、ふっとため息をついた。
本当に聖子さんときたら……つかみどころがない。
「うん……あれは飛行機だね」
もしくは……この引力に抗えない、銀河を漂うUFOとかなのかもしれない。
違う企画ですが、どうしても続きで書きたくて……楽しませていただきました。
ありがとうございました😊
