②ケプラー問題ではなぜu=1/rと変換するのか
前回の要約
連鎖律を使ってdtを角度に押し付け、それをdtのない形に置き換えることで、時間微分を消すことができる。
$$
\ddot{r}-r\dot{\theta}^2=-\frac{GM}{r^2},\qquad 2\dot{r}\dot{\theta}+r\ddot{\theta}=0
\\\space\\
\Rightarrow \frac{d^2r}{d\theta^2}-\frac{2}{r}(\frac{dr}{d\theta})^2-r=-\frac{GM}{h^2}r^2
$$
はじめに
こんにちは。
前回は、運動方程式から時間の情報を消去して、rとθの直接の関係式を導くことができました。
しかし、この微分方程式、非常に解きづらいのです。
線形方程式であれば解きやすいのですが、非線形項が邪魔をしています。
これに変数変換を使うと、非線形項を消せるかもしれない。
よく知られているのは逆数変換ですが、他の変換でもいいでしょうか。
今回は逆数変換そのものはまだ使いません。代わりに、より広い、あらゆる変数変換をまとめて扱います。一般的な変換を用意して、方程式を変形してみます。
その結果、「逆数変換だけが特別である理由」を紐解くカギが浮かび上がってきます。
仮定
通常の変数変換では、$${u=f(r)}$$か$${r=f(u)}$$と置きます。
今回は後者を採用します。
式の中にr単体があるため、それを直接置き換えられるのが大きいからです。
今回は、$${r=f(u)}$$を使います。
表記
今回、関数fとその微分を高頻度で使うことになります。
そこで、
$$
r=f(u)=f
\\\space\\
\frac{dr}{du}=f'(u)=f'
\\\space\\
\frac{d^2r}{du^2}=f''(u)=f''
$$
という風に表記することとします。
目的:rの消去
私たちは、従属変数をrからuに切り換えることで、
微分方程式を解きやすい形に変形することがゴールです。
そのため、uの式にrが混じっているのは好ましくありません。
$${r=f(u)}$$を使って、今度はrを消去する(uの式に置き換える)ことが重要です。
しかし、rの微分は一見すると消せないように思えます。
どうやって対処すればいいのでしょうか。
道具:連鎖律
前回の記事でも大いに使いました。
微分を変形するときにまあ便利なんです。
おさらいすると、
$$
\frac{dr}{dt}=\frac{dr}{d\theta}\frac{d\theta}{dt}
$$
のように、間に別の変数を挟めるというものでした。
今回もそれを使います。
実践
rの一階微分
$$
\frac{dr}{d\theta}=\frac{dr}{du}\frac{du}{d\theta}=f'\frac{du}{d\theta}
$$
rの二階微分
$$
\frac{d^2r}{d\theta^2}=\frac{d}{d\theta}(f'\frac{du}{d\theta})
$$
積の微分と合成関数の微分を使って、
$$
\begin{aligned}
=&\frac{du}{d\theta}\cdot \frac{d}{d\theta}f'(u)+f'\cdot \frac{d}{d\theta}\frac{du}{d\theta}
\\
=&\frac{du}{d\theta}\cdot \frac{du}{d\theta}\cdot \frac{d}{du}f'(u)+f'\cdot \frac{d^2u}{d\theta^2}
\\
=&f''(\frac{du}{d\theta})^2+f'\frac{d^2u}{d\theta^2}
\end{aligned}
$$
代入
rが絡むものをuとfで表せるようになりました。
これで、代入することで、元の微分方程式に表れるrとその微分をすべてuとfで表すことができます。
$$
\begin{aligned}
\frac{d^2r}{d\theta^2}-\frac{2}{r}(\frac{dr}{d\theta})^2-r&=-\frac{GM}{h^2}r^2\\\space\\
f''(\frac{du}{d\theta})^2+f'\frac{d^2u}{d\theta^2}-\frac{2}{f}(f'\frac{du}{d\theta})^2-f&=-\frac{GM}{h^2}f^2\\\space\\
f'\frac{d^2u}{d\theta^2}+(f''-2\frac{f'^2}{f})(\frac{du}{d\theta})^2-f&=-\frac{GM}{h^2}f^2\\\space\\
\frac{d^2u}{d\theta^2}+(\frac{f''}{f'}-2\frac{f'}{f})(\frac{du}{d\theta})^2-\frac{f}{f'}&=-\frac{GM}{h^2}\frac{f^2}{f'}
\end{aligned}
$$
はじめの式に比べて、fが入ってきた分きれいになったように思えます。
まとめ
今回は、一般的な変数変換をfと置いて、微分方程式を変形しました。
一番の収穫は、非線形性が
$$
\frac{f''}{f'}-2\frac{f'}{f}
$$
という係数に押し込められたことです。
面倒だった非線形項は、変数変換で消えたわけではありません。
しかし、その係数がfの選び方によってのみ決まるようになり、変換から方程式の形をカスタマイズできるようになりました。
もしこの係数がうまく消えるような変換fが見つかれば、線形微分方程式に変形できます。
方程式が一気に解きやすくなる可能性を秘めています。
変換した結果であるuの面倒なところをfが請け負っている。これが重要なことです。
※ほかの箇所も今は非線形項となる可能性がありますが、
最も邪魔な$${(\frac{du}{d\theta})^2}$$を消すことを最優先とします。
とはいえ、fの中でもうまい変換とは何なのでしょうか。
そもそもそんなものが存在するのでしょうか。
それについては、次回扱っていきます。
解きやすさとは何なのか、解きやすいfは本当に逆数変換だけなのか探ります。
ここまでご覧いただきありがとうございました。
次回も見ていただけると幸いです。
