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⭐︎その後の金木犀 1309


前職を休職してから3年半。
その並木を歩くことはなくなり、ごくたまに黒耳号(人力ママちゃり)で通ることもあるけれど、甘い香りの時期にも地面の金平糖にも遭遇していない。

2025.10.30 金木犀 ちゃりれれ



……と書いてから1週間も経たないうちに、「その並木」の道を黒耳号(人力ママちゃり)で通る機会に恵まれた。
見上げるようだった樹高は私より低く、咽せ返るようだった香りは仄かに、葉の間からは向こうが透けて見えるようになっていた。


残念ながら生憎の曇天


いつ植えられたのか知らないけれど、年月に抗えずに草臥れてしまったのか。
異常なほど暑かった夏のせいなのか。
それとも、私が思い出を美化しすぎていたのか。

身長155cmの私より低く
刈り揃えられていて
向こうが透けて見えてる
花の数も
心なしか
少ないような気がする



目的地の近くにも、金木犀を生垣にしている集合住宅群が2ヶ所あった。
お天気のせいか、風向きのせいか、私に思い入れがないせいか、やっぱり香りは仄かだった。

仄かといえば、例年なら窓を閉め切っていても忍び込んでくるはずの隣家の(庭の)金木犀が、掃き出し窓を全開にしても一向に香ってこない。
他所の金木犀の香りはキャッチできているから、私の鼻のせいではないと思う。
こんもりと茂っていた葉や、うるさいくらいに咲いていた花は見る影もなく、やっぱりカボチャに生気を吸い取られてしまったのかもしれない。


夏の間中
カボチャの蔓に巻き付かれていた隣家の金木犀
葉も花も激減
ベランダに出ても香りをキャッチできない



買い物をしてから帰ろうと、朝とは違う道を走る。
何年も前から何度も通ってるのに、この金木犀の存在に気付いたのは、今日が初めて。
今秋出会った中で、多分一番大きな金木犀。
多分一番濃厚な香り。

デカくて葉が茂っていて花付きもいい
違う角度から撮ってもデカい
幹を撮ろうと覗き込んでみたけれど
下の方にも葉がビッシリ
花も香りも濃厚
あちらにもこちらにも串団子🍡



筋向いには、トピアリーかと見紛うような巨大なチュッパチャップス形の金木犀。
てか、どなたか意図的に刈り込んでる?
電柱•電線•住宅•車、写り込みが多すぎて載せられないのが残念。


こっちの木にも串団子🍡



香りは音楽と並んで、気分転換にもってこい。
寧ろ音楽より即効性があるように思う。
金木犀の香りは人気があるし、嗅いで嫌な気分になったことはない。
だからといって金木犀の香りを身に付けたいとは思わない。

私が香りを纏いたいと思うのは、「香りのお洒落」「人様にいい印象を伝えたい」というより、自分の気持ちを落ち着かせたり、自分を癒やしたり、自分をいい気分にさせたいとき。
華やかすぎる香り、甘すぎる香り、スパイシーすぎる香り、難解すぎる香りは要らない。
どうせ私に似合わないし。

いつだったか気分転換用にボディローションコロンでも買おうかと、店頭でお試し。
何枚もの試香紙ムエットを繰り返し嗅いでいたら、どうなったと思う?
めまい?吐き気?頭痛?動悸?くしゃみ?鼻詰まり?
ブッブー。
口の中が苦くなった。
苦くて苦くて堪らなくなり、慌てて売り場を後にした。

私がほしい香りは、爽やかで甘さのないシトラス系か、フローラル系ならほんのり優しいカモミール。
「何だか良い香りがしてるかも」と感じるくらいが丁度いい。
苦くなるまで嗅がなきゃよかった。

職場のロッカールームのドアを開け、心地良い香りがしたら、中にはKさんがいる。
業務中にすれ違っても、全く感じることはないのに、不思議。
Kさんも「香り?気付かなかったわ。何の匂いかなぁ?」と首を傾げる。

香りと記憶は分かち難く繋がっている。
2歳8ヶ月までしか住まなかった家(故大叔母宅)の、洗面所の水の匂いが好きだった。
再現はできないけれど、嗅げば「この匂いだ」と判る自信がある。
今の職場は労務管理面ではなかなかの頓珍漢だけど、Kさんの香りを思い出して懐かしむときがくるかもしれない。

当地の金木犀は、そろそろ散り始め。
雨の前に、存分に秋を吸い込んでおく。
春には梅や沈丁花、初夏には梔子の香りに浮気をすると思うけど、来年の秋もきっとまた会いましょうね。








全記事をマガジンに収録しています 2025.11.5

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