長男が買ってきた、三つのケーキ
一昨年、十年ぶりに私は夫と長男とともに、長男の新生活を整えるため東京へ向かった。
約一週間の滞在で、不動産屋さんとの手続き、ガスの開栓の立ち会い、引っ越し荷物の受け取り、家具の組み立て、区役所での手続きなど、新生活の準備を一緒に進めた。
東京に来て二日後には仕事が始まる。
長男一人では、とてもこなしきれなかっただろう。
長男は子どもたちの中で一番クールで、あまり感情を表に出さない。
私たちが沖縄へ帰る二日前の夕方。
慣れない電車通勤と仕事を終えた長男が帰宅した。
手には、コージーコーナーの箱があった。
箱の中には、シュークリーム、ガトーショコラ、モンブラン。
保冷剤と一緒に、ぎゅうぎゅうに収まっていた。
「ケーキ買ってきた。」
普段、親に感謝の言葉を口にすることのない長男。
その一言だけで十分だった。
東京まで来て、一緒に新生活を整えた私たちへの、長男なりの「ありがとう」だったのだと思う。
まだ食器も揃っていなかったので、そのまま手に取った。
「うまい……」
初めて食べたコージーコーナーのケーキは、とても甘かった。
でも、明後日から東京で一人暮らしを始める長男のことを思うと、少しだけしょっぱく感じた。
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