なぜ広島の鋳物屋がキン肉マン商品を? 作者も認めた鋼の技術とは
広島県福山市の精密金属部品メーカーキャステムです!
前回の初投稿、多くの方にご覧いただき本当にありがとうございました!
引き続き鋳物やものづくり、会社の魅力を発信できるよう尽力してまいります。
さて、今回の主役はこのお方‼

_人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人_
> 1/1スケール原寸大ロビンマスク <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ Y^Y^ Y^Y^Y^ Y^Y^Y^Y ̄
漫画「キン肉マン」「キン肉マンⅡ世」に登場する正義超人・ロビンマスク。
ステンレス鋼で原作を完全再現し、磨き上げられたマスクの重さはなんと7㎏!
完全に超人仕様です。

今回は、弊社新規事業部「アイアンファクトリー」が原作再現に挑んだ際の裏話や、精巧なマスクづくりを可能にした弊社の精密鋳造技術「ロストワックス製法」についてご紹介します。
なぜ、広島でキン肉マンなのか?
キャステム本社ビル3階「アイアンファクトリー」のフロアに足を踏み入れると、迫力満点のキン肉マングッズがずらり。キン肉マンやロビンマスクが出迎えてくれます。


ロビンマスクや悪魔将軍、本物の鳥取砂丘の砂を使った悪魔超人サンシャインのシリーズ、キン肉マンとテリーマンが手にした1分の1サイズのタッグトロフィーなどを展示しています。いずれも作者のゆでたまご先生に監修をいただいています。「本当のロビンは、まさにこういうのを身に着けて戦っているんでしょうね」―。ロビンマスクへの嶋田先生からのありがたすぎるコメントも、社内に展示しています。

お客様からは、「なんでこんなにキン肉マン商品をたくさん出しているんですか?」とのお声も。
…確かに。
作者お2人のゆかりの地でも、聖地でもない。
なぜ広島でキン肉マンなのか。
中の人(広報)も入社した時から不思議でした。
アイアンファクトリーの池田部長に開発秘話を聞いてみました!
作者に直談判し始まった商品開発

―ロビンマスク開発の経緯を教えてください。
当時の上司が、ロビンマスクのことがすごく好きで。
僕も7つ年上の兄がいる影響でキン肉マンは全巻家にあって昔から読んでいて、大好きでした。
2017年の秋、自宅でネットニュースを見ていると、キン肉マンのTシャツを作りたくてTシャツ屋さんが作者のゆでたまご先生に直談判したところ、叶ったという記事を見つけました。「これだ!」と。
早速嶋田先生に直談判しました。上司には事後報告(笑)。最初はマネージャーさんと連絡を取り合い、打ち合わせが決まりました。
ロビンマスクができるまでの舞台裏
―最初からマスクを作ろうという企画だったのですか。
いえ、最初はロビンマスクのぐい飲みやベルトのバックルなど、いろんなアイデアが出ました。ロビンマスクを当初、2分の1サイズで作るという話もあったのですが、「いや、もっと振り切ろう」という話になって。実物大のロビンマスクへの挑戦が決まりました。
―制作で苦労した点はありましたか。
形を原作に忠実に作る点に苦労しました。原作の色んなコマを並べて、いろんな角度からのロビンを見ながらCADで設計。当時入社したばかりのTさんが頑張ってくれました。
―Tさんにも聞いてみましょう。1年目のこの大役、どうでしたか?

不思議とプレッシャーを感じることはなかったですね。ただ、いつもロビンマスク大好きな上司が背後にいました。「本物のロビンに似ているマスクがこの世にない。だから作ろう!」という上司からの熱い思いを受け取り、いろんな角度のロビンのコマを並べて、完全再現に向け試行錯誤を重ねました。
「本物のロビンはそうじゃないんだ!」「庇の角度が…」などさまざまな指摘をもらいながらひたすらマウスを動かし続けました。


完成した図面を見たとき、「上司が言っていたのはこういうことだったのか!」とすごく納得したのを覚えています。
―ロビンへの並々ならぬ愛で図面が完成したのですね。
原作を読み返しては、「ロビンならどう動くか」「どんな角度で見せたいか」を何度も想像しました。上司の熱量に引っ張られながらも、自分自身もロビンの魅力にどんどんのめり込んでいって…。
図面が完成した瞬間は、ただの業務ではなく、みんなの“ロビン愛”の集大成のような気持ちになりました。
―さてここで、ロビンマスクの製造を可能にした「鋳造」や「ロストワックス製法」ついてご紹介します。
作者も認めた鋼の技術「ロストワックス精密鋳造」とは?

このロビンマスク、溶かした金属を型に入れて固めて作る「鋳物」で作られています。鋳物の中でも精密鋳造法と言われるロストワックス製法が用いられているんです!
みなさん、鋳物といえばどんなイメージがありますか?
フライパンや鍋、自動車部品、歯車やバルブなどの機械部品、お寺の鐘、奈良の大仏…

紀元前4,000年ごろにメソポタミアで生まれたとされる鋳物は、
「世界最古の加工方法」。私たちの暮らしのいたるところに存在しています。
また、一言で鋳物といっても、製造方法にはさまざまな種類があります。
●砂型鋳造
主に木型を使って「砂型」を作り、そこに金属を流し込む製法。最も広く使われる鋳造法のひとつです。複雑形状や大型品にも対応可能。
●ロストワックス精密鋳造
ワックス(蝋)で作った原型にセラミックをコーティングして脱ろう、焼成して鋳型を作り、金属を流し込む製法。複雑三次元形状が得意で、小ロット多品種に適しています。
●ダイカスト鋳造
金型に金属を高圧で押し込む製法です。「アルミダイカスト」は、自動車のエンジン部品やトランスミッションケース、家電製品の外装、航空機の構造部品など、幅広い分野で使用されています。
(他にもシェルモールド鋳造や石膏鋳造など、各鋳造法から派生したさまざまな製造方法があります)
それぞれの鋳造法の特徴を以下にまとめてみました!

キャステムの主力技術である「ロストワックス精密鋳造」。創業時からお客様からのシンプルな形状から難物形状までの製作ご相談にお応えし続け、35,000型以上の実績があります。
さまざまな金属材質の要望にもお応えする中、70種類以上の鋼種を取り扱うようになりました。特殊鋼はもちろんの事、他社にはない超々ジュラルミン系アルミ材(A7075をオリジナル鋳造最適化)も対応し、新規材質への挑戦も続けております。
キャステムではこのロストワックス精密鋳造に加えて、3Dプリンターによるデジタル造形とロストワックスを融合した独自技術「デジタルキャスト®」も展開しています。
「つくればいい1個から」を合言葉に、金型レスで短納期鋳造を実現。初期コストになる金型製作費が不要で鋼種の選択肢が非常に多彩であり、部品であれば試作開発段階の1個からでもOK。意匠性の高い一品一様の立体造形物など、極小ロットの製品づくりができるのも強みです。

ロビンマスクは、そんなキャステムの主力技術「ロストワックス精密鋳造」により、ステンレス鋼(SCS13)で原作通りに立体化された製品。緻密な設計と鋳造精度によって、原作の重厚感や存在感を忠実に再現しています。

構造にもこだわり、目と庇(ひさし)は取り外し可能な設計に。庇を外せばジャンクマン戦、目を外せばアトランティス戦――そんな名場面が再現できる仕様となっています


また、頭・口・庇の3パーツ構造とすることで細部の造形も追求しましたが、組み合わせの精度には高度な技術が求められます。
そこで、ゆがみ補正や溶接といった最終調整を、社内の熟練技術者であるR係長が手作業で担当。庇の固定に必要なねじ1本1本を丁寧に溶接し、すべてのパーツがぴたりと合うよう調整を施しました。
「曲線の形状のゆがみを直すのが結構難しい部分ですね」
と語るR係長の一言からも、職人技の奥深さと、それを惜しみなく注いで生み出されたこのマスクの価値が伝わってきます。


創業より研鑽し続けたロストワックス技術と職人技の融合で、ロビンマスクのような“超人級”の精度と美しさを兼ね備えた製品をお届けできるのが、キャステムのものづくりなのです!
話題沸騰!探偵ナイトスクープ出演!!
このロビンマスク、ありがたいことに数々のメディアやネットニュースで取り上げていただきました。中でもキン肉マンラバーである「ロビン課長(当時)」と池田部長(当時上席主任)がマスクをかぶって必殺技を決めるべく出演した「探偵!ナイトスクープ」は体を張ったかいもあり反響が大きく、放送後には30体を売上。年末の再放送後にさらに20体が売れました。探偵ナイトスクープ効果、恐るべし…!(ありがとうございます!)

ロビンマスクが重すぎるので、大阪のダイバープールへ。水中で必殺技を決めるため、マスクごと沈む2人…。「プールに入ることを出演当日に聞いて、めっちゃびっくりしました(笑)」とのこと。



※余談ですが、池田部長は、学生時代に家宝の掛け軸の調査で探偵!ナイトスクープに出演した経験があり、「企業だから採用されないかもだけどダメ元でやってみよう!」とロビンマスクの応募にチャレンジしたそうです。ちなみに、学生時代の出演で判明した掛け軸の価値は3千円でした。残念…。
新商品、出るよー!
2018年に発売したこのロビンマスク、今年2月時点で販売数が300体を超えました!1体16万5千円(税込)にもかかわらず、多くのファンの皆様方に選んでいただき、ありがたい限りです(TOT)
マスクシリーズとして、これまでにロビンマスクの傷も完全再現した傷ありバージョン、青色焼付塗装バージョン、悪魔将軍も製作しております。
(アイアンファクトリーECサイトはこちら!https://www.ironfactory-castem.com/)
中でも、悪魔将軍のマスクは、ロストワックス精密鋳造で金属化された総重量10kgの超重量級。広島県福山市の有限会社平田研磨様による手作業で美しい鏡面に仕上げられ、さらに限定モデルには福井県鯖江市のアイテック株式会社様による特許技術「ナノダイヤモンド複合メッキ」が施されています。ナノダイヤ粒子を均一に共析することで、見た目の美しさだけでなく、超高硬度を実現。まさに原作再現にも拘った“ジャパンクオリティ”が詰まった逸品です。


そしてこの秋、待望の新作マスクも登場予定!
誰のどんなマスクになるのか…乞うご期待です!
※発売が決まりましたら、またホームページ(https://www.castem.co.jp/)やSNS(https://x.com/castem_info)で発表いたしますので、こちらもチェックのほど、よろしくお願いいたします。
次回は…
次回は「6月の鋳物やものづくりニュースまとめ」をお届け予定です。
引き続きキャステムのものづくり情報を、どうぞお楽しみに!
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!
では、また次の記事でお会いしましょう!
