中央アルプス・木曽駒ヶ岳|山頂で初めて迎えた朝「ずっと避けていたことを、そのままやってみた」
木曽駒ヶ岳直下、
テントの中から空を見上げていた。
長いこと山に登ってきたけど、
山頂で朝日を迎えたことはなかった。
日の出に合わせて動くのは、どうしても好きになれなかった。
暗い中を無理して登ること、
寒さに耐えながら待つこと。
体調を崩したり、怪我につながる気がして、
ずっと避けてきた。
その考え自体は、今も変わっていない。
ただ、その朝は違った。
テントの中から空を見ていて、
「あ、これはいけるな」と思った。
ただ、それだけで動いた。

途中、雷鳥が前に出た。
その背中を見ながら登った。
離れずに、ただついていく形になった。
山頂に着いたとき、
ちょうど空が割れた。

割れ目から、光があふれ出す。
押し返していたはずの闇が、音もなく霧散してゆく。
一気に世界の輪郭が浮かび上がり、
山も、雲も、遠くの稜線も、
光に触れたところから、順番に目を覚ましていく。

気づけば、息を止めていた。
ただ、その瞬間に見入っていた。
すぐ隣で、雷鳥も動かずにいた。
同じ方向を見て、
同じ光を受けている。
言葉はなくても、
この景色を前にしていることだけはわかった。
しばらくして、
ようやく息を吐く。
世界はもう、完全に朝になっていた。

ずっと避けてきたことをやってみたけど、
考え方が変わったわけじゃない。
無理はしない。
条件が悪ければ行かない。
ただ、
「行けるかもしれない」と思ったときに、
そのまま動いてみる。
それくらいの余裕は、持っていてもいいのかもしれない。
私もずっと、そうやって選んできた。
やらない理由を並べて、
間違っていない判断をしてきた。
それでいいと思っている。
でも、その中にひとつだけ、
そのままやってみる選択が混ざると、
見えるものが少しだけ変わる。
それでいい。
おわりに|判断の一歩が、見える世界を切り替えた瞬間

コレが初めての山頂からのご来光でした。
ずっと避けていたけど、
「行けるかもしれない」と思ったタイミングで動いたら、
ちょうど空が割れる瞬間に立ち会えました。
「行けるかもしれない」と思った、その一歩で変わったお話。
避けていた領域に一歩入ると、見える現実が変わるものなんですね。
最後まで読んでくれて、ありがとう。
スキやフォロー、コメントをもらえるたびに、
「あ、誰かに届いたんだな」って思えます。
無理に反応しなくても大丈夫。
ただどこか一行でも引っかかったなら、それで十分です。
また山で拾った話を、持ち帰ってきますね。
▶ 作者プロフィールはこちら
▶良ければ、過去作にも寄っていってね!⤵︎
いいなと思ったら応援しよう!
読んでくださる方の何かの「気づき」や「楽しみ」になる、記事を書くための活動費として使わせていただきます!