行けない夜に稜線を歩く方法——地図読みが、登山の判断力を静かに育てる話
登山に行けない夜、あなたはどう過ごしていますか。
雨音を聞きながら地図を眺めるだけで——読図力と、山での判断力が、気づかないうちに育っていく。
先週の土曜日、私はそのことを、冷めたコーヒーと一緒に発見した。
地図の前で、足の感覚がついてくる
地図読みと妄想登山——私が気づいた、行けない夜の過ごし方。
先週の土曜日、私は雨音を聞きながら、 稜線を歩いていた。
正確には—— 自宅のダイニングテーブルで、冷めたコーヒーを前に、 京都一周トレイルの地形図を広げていただけだ。
気づけば、2時間が経っていた。
尾根はどこから伸びているのか。 谷はどこに落ちているのか。
指でなぞるだけで、不思議と足の感覚がついてくる。
東山の稜線に差し掛かるあたり—— 「ここで息が上がる」と、体が先に知っている。 大文字山を越えたら少し楽になる、とも。
テント泊予定地に着いたら、何を飲もうか。 稜線に出たとき、どんな風が吹いているだろう。
地図の前では、いくらでも自由になれる。 この時間が、たまらなくいい。
楽しんでいただけのつもりが、訓練になっていた
ある日、気づいた。
地図妄想をよくするようになってから、 山で「あ、知ってる」という瞬間が増えた。
急登の前で、足が止まらなくなった。 「ここを越えたら少し楽になる」と、 体がもう知っていたから。
水場の場所を、確認しなくても覚えていた。
地図の上で、何度もその場所を通り過ぎていたから。
楽しんでいるだけのつもりが、いつのまにか、準備になっていた。
それが、訓練だったと気づいたのは、山を下りてからだった。
妄想が、訓練になっていた。
——地図読みで変わった、私の登山。
「ズレ」は、失敗じゃない
もちろん、妄想はいつも正しいわけじゃない。
むしろ、裏切られることの方が多い。
想定していた水場が、枯れていたことがある。 なだらかなはずの斜面が、思ったより急だったこともある。
でも、そのとき私は焦らなかった。
「妄想と違う」と気づけたのは、
妄想していたからだ——そう思った。
何も考えずに来ていたら、 ただ「想定外」になっていた。
地図を知っていたから、「ズレ」として受け取れた。 ズレは、怖くない。ズレは、対話だ。
迷わなかったのは、正確だったからじゃない。
違いに気づけたから、だった。
山にいる時間だけが、登山じゃない。
地図の前で過ごした夜も、 歩けなかった雨の日も、 「なぜ行けないんだろう」とぼんやり考えていた昼も—— 全部が、山との時間だと思う。
好きなものは、そうやって少しずつ、自分の中に根を張っていく。
行けない時間が、山を深くする。
次に京都一周トレイルへ足を踏み入れたとき、
私はきっと、また「知ってる」と思うだろう。
——次の山行が、待ち遠しくて仕方がない。

💡 Tips:エア登山を楽しむのも、一つの訓練になる
あなたにも、行けなかった山があるはずです。
今夜、その山の地図を出してみて。
1/25000の紙でも、スマホのYAMAPでもいい。
指でなぞるだけで、その山は少し近くなる。
「ここでコーヒーを飲もう」「この急登はきつそうだ」
そう思った瞬間、あなたの登山はもう始まっている。
もし、この記事を読んで少しでもワクワクしたなら、ぜひ「スキ」を。
あなたが今夜「妄想登山」する予定の山を、コメントで教えてほしい。
一緒に、机の上で最高の景色を見に行こう。
最後まで読んでくれて、ありがとう。
スキやフォロー、コメントをもらえるたびに、
「あ、誰かに届いたんだな」って思えます。
無理に反応しなくても大丈夫。
ただどこか一行でも引っかかったなら、それで十分です。
また山で拾った話を、持ち帰ってきますね。
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▶次に読むなら: 【大江山連峰・赤赤トレイル】同じ山の中なのに、世界がまるで違って見えた。
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