Bel Canto 読了:想定外すぎて笑ったし泣いた(ネタばれ警告つき)
図書館から Bel Canto のオーディオブックが回ってきました(著者 Ann Pachett )。
いつものことながら、人気の本が図書館から回ってくる頃には、なんで読もうと思ったのか忘れてるので、ネットであらすじをチェックしました。文学賞受賞作品、テーマは「音楽を通じた愛と人間性の芽生え」とな。
Noteでも感想文を書いていらっしゃる方が。
英語圏のレビューサイトは、ブラボー派と退屈だけど我慢して読んだ派に分かれてる感じ。
そうか、退屈なの?じゃあランニングしながら聴き流そう。と思ったら….
なんですかこれは!!腹筋崩壊コメディ??
人質とゲリラの関係が、ストックホルム症候群を斜めに超えていく…..。
爆笑した部分を、感想文書く用に覚えとこうと思って立ち止まる、ガーミン止める、何章の何分だったかスクショとる、またランニング始める、また爆笑….
ということをやっているうちに心拍上がったり下がったり。真面目に走りたい人にはおすすめしない!
ガーミンとめた場面は、たとえばこれです。
シーン:歌姫の伴奏者が意識不明→死亡。実は糖尿病持ちだった。
テロリストA「どうせ死んじゃったし、死体を撃ってから外に放り出してビビらせようか?オレたち怖いテロリストなんだぜって」
人質A「死体を撃っても血がでませんよ?糖尿病のショックでお亡くなりになったんですね?ああ、うちにはインシュリンがいっぱい余っていたのに…お気の毒に」
歌姫「ちょっと、この人たち、何の話してるの?」
通訳「見せしめっぽく見えるように死体を撃つかっていう相談してます」
歌姫「なんですって!!そんなことさせないわよ!!撃つっていうなら私を撃ってからにしなさい!言っとくけど、人類の至宝である私を殺したら、天罰が降るわよ!ちょっと通訳、今のちゃんと訳したでしょうね?」
ここでの歌姫のセリフは、Any bullet that goes into that man goes through me first!!
そしてもちろん、私の昭和脳には、ベルばらのオスカル様が「私の屍を超えていけ!!」っていう場面が浮かんでくるのです。オスカル様が、「通訳!ちゃんと訳したか?」って言ってる姿も浮かんできて、腹筋がもう勘弁して状態。
人質とテロリストの間に愛が芽生えまくり、歌姫への推し活が異様な様相を見せ始め、音楽そのものとまぐわいたいとか言い出す人間、体と芸術の境目が曖昧になっていくカオス。これも昭和の漫画的に言うと、「イブの息子たち」の世界。
推し活目的で通訳ゲンを取り合う人々、ロシア人の暑苦しい愛の告白を訳しながら「僕は彼とツルゲーネフの話とかしたかったんだが」と呟くゲン、オペラに目覚める将軍、歌わせてみたら上手すぎて歌姫に発声練習やらされる少年兵、仲良くサッカーに興じる人質とテロリストたち….全員、青池保子によるカオス漫画の絵柄で脳内に浮かぶ。
レビューサイト見ると、腹筋崩壊している人は皆無です。なぜ??私がおかしいの??中には「コミカルで面白い、一日で読んじゃった」という人もいて、ちょっと安心しましたが、これが「爆笑小説であった」とまとめる人がいない理由は、エンディングを読んで納得。
<以下、ネタばれ!!ENTER AT YOUR OWN RISK!>
なんですかこれは!!!フィールグッド小説だと思わせといてジャンル詐欺!!
人質は死に、テロリストたちは死に、将軍は死に、ホソカワさんは死に、ゲンは目の前で推しと恋人を同時に失い、なのにエピローグでは歌姫と結婚してる。
推しの通訳してたら推し本人と結婚してた系ですか??いやホソカワさんとカルメンの立場は!?ゲン、カルメンが運命の恋人じゃなかったんかい?
でもよく考えたら、ゲンは知性の権化で、歌姫は芸術そのもの、知性と芸術がくっついておしまいってのは、まぁわからんでもない。概念同士の結婚オチ。人間、置き去り。人間はいつの世も国家権力という暴力に抹殺されて滅び、人質と立て篭もり犯が音楽を通じて愛し合うのはうたかたの夢、ただし知と愛という概念は残り、祇園精舎の鐘は鳴る。
まとめ:Bel Cantoとは何か
推し活と人間性の奇跡で腹筋鍛えたあと、国家権力に全部破壊されて膝から崩れ落ちるエンタメ。
以上、爆笑しながら走り、泣きながらメモを取った読書レポでした🐑
