テレビ番組でデータを修正しないのはなぜ?
「新型コロナ感染による死亡」の公表は、可能な範囲で速やかに死亡者数を把握する観点から、厳密な死因を問わずに公表することになっています。重症病床に入院している患者数に関しても、PCR陽性で他の疾患が重症の患者が含まれていました。後日の調査によって、主たる死因や症状が新型コロナだった人が何人かわかったのなら、それを国民に知らせるべきだと思います。各都道府県で調査したデータが公開されても、なぜテレビ番組ではデータを修正しないのでしょうか?
国民に知られることなく埋もれていく資料
「第74回 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード」の資料について、テレビ番組では取り上げられない資料があることを書きました。
「第75回 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード」にも、同様の資料があります。
資料3-11 阿南先生提出資料
(神奈川県の緊急調査)

「令和4年1月~2月におけるCOVID-19陽性患者である死亡者の死因を調査したところ、死亡者数312人のうち、主たる死因がCOVID-19であると判断できる人数は166人となり、全体の約53.2%を占めることがわかった」と書かれています。
この書き方だと、「全体の約53.2%を占めることがわかった」ということが言いたいようですが、私は逆の印象を持ちました。
全部死因がコロナだという言い方で公表されていたのに、実際は約半数しかいなかった、ということがわかったのです。
第74回で出された大阪のデータでは、「死亡者数799例のうち、新型コロナウイルスが直接死因の事例は485例」でした。
資料3-8 藤井先生提出資料 (31ページ)より
ということは、他の都道府県でも、約半数が新型コロナウイルスが直接死因ではないかもしれません。神奈川や大阪でデータが出してきているなら、コロナの解説をしているテレビ番組では、なぜそれについて触れないのでしょうか。

死亡者の年代を見ると、約9割が70代以上です。

4ページの資料には、「コロナ用の重症病床(ICU・HCU等)に入院している患者(A)のうち、①コロナが重症のコロナ患者(B)、②コロナ以外の疾患が重症のコロナ患者(C)の推移は以下の表のとおりである」と書かれています。つまり、コロナ用の重症病床に入院している患者の中に、コロナ以外の疾患が重症で、PCRが陽性という患者が含まれているということです。
3月7日の例では、「コロナ用の重症病床 入院者:95人 うち、コロナ重症:45人 重症率(B/A)=47.4%」と書かれています。
他の日も見てみましたが、1月24日は、14人中コロナ重症の患者は2人となっており、コロナ用の重症病床に入院している中のたった14.3%です。2月4日の62人中51人が82.3%で最も多く、平均すると56.5%でした。
神奈川のデータでは、死因も重症率も、半数近くは新型コロナが主たる死因・症状ではないということになります。
ワクチンを接種するか決める際には、ベネフィットとリスクを比べる必要があります。これらのデータは、コロナ罹患のリスクとワクチン接種による副反応のリスクを比べるための重要なポイントとなるでしょう。
そのような情報が、テレビ番組などで取り上げられず、国民に広く知られることなく埋もれていってもよいのでしょうか。
地方紙の記事
テレビ番組で取り上げているのは見たことがありませんが、地方紙などでは、それぞれの自治体での直接死因などのデータを記事にしています。以下、鹿児島県のデータを出した、南日本新聞の記事を引用します。
南日本新聞 2022/03/03 09:28 373news.com
「第6波」で58人死亡 高血圧、腎臓病、糖尿病…全員に基礎疾患あり 目立つ高齢者 21人はワクチン接種歴なし 新型コロナ・鹿児島
鹿児島県は2日、県内で新型コロナウイルスに感染し、2月9~28日に死亡が明らかになった38人の統計情報を発表した。オミクロン株が猛威を振るう年明け以降の「第6波」で亡くなったのは計58人に上り、全員に基礎疾患があった。うち2人は自宅待機中、8人は施設入所中だった。
58人を年代別にみると、90代以上19人、80代21人、70代13人、60代3人、40代、50代が各1人で高齢者が目立つ。基礎疾患は高血圧や腎臓病、糖尿病など。コロナが直接の死因になったのは25人、コロナ以外は33人。コロナ以外の死因はがんや心疾患で、基礎疾患が悪化して亡くなった人もいるという。
県によると、自宅待機していた2人は、症状などから入院の必要はないと判断され、入所中の8人は施設で医療管理下にあった。担当者は「入院が必要な感染者は入院できる状況で、対応に問題はなかった」としている。残りの48人は入院中に亡くなった。
ワクチン接種は21人に接種歴がなく、5人は3回完了。30人は2回、2人は1回目を終えていた。
最初に読んだとき、タイトルに「58人」とあるのに「38人の統計情報を発表」と書いてある意味がわかりませんでした。よく読むと、2月9~28日に死亡が明らかになった38人とあるので、その前に第6波で20人亡くなっているということだとわかります。調べてみたところ、2月10日に下記のタイトルで記事が書かれていました。
第6波死亡の20人全員「基礎疾患あり」 ワクチン2回接種7人、3回2人、11人は未接種 新型コロナ・鹿児島
1月1日~2月8日に20人の死亡が確認されており、それに38人がプラスされて58人ということでした。ですが、2月10日の記事を読んでいない人には、わかりにくいと思います。
58人全員に基礎疾患があり、神奈川県同様、約9割が70代以上です。コロナが直接の死因となったのは、43.1%。コロナが直接死因は25人なら、年代の割合なども25人で出さないと、意味がないように思います。
「コロナ以外の死因はがんや心疾患で、基礎疾患が悪化して亡くなった人もいるという」と書かれていますが、基礎疾患が悪化したのは、コロナとどのような関連があるかも書いてほしいです。
新型コロナワクチン接種後に、基礎疾患が悪化する人も多数報告されています(例えばIgA腎症など)。けれども、その方たちは専門家の評価で「因果関係の評価不能」とされています。コロナの方は、どうやって因果関係を評価しているのでしょうか。
基礎疾患がある人が接種や追加接種をどうするか考える際には、接種しない場合の悪化と接種した場合の悪化の可能性について、納得できるように解説してくれる医師や専門家が必要だと思います。
もう1つ気になったのが、タイトルです。「21人はワクチン接種歴なし」と書いていますが、58人中21人が接種歴なしなら、37人は接種歴があることになります。普通に考えたら、意外性のある方をタイトルに使うでしょう。接種していなくて死亡したことより、3回も接種したのに死亡したことの方が意外性があると思うのですが、なぜ「21人はワクチン接種歴なし」を入れたのか気になります。
ただ、この部分も、25人のうちどうだったのかを書かなければ意味がないように思います。「第14回新型コロナウイルス感染症対策分科会」の資料では、3回目接種で重症化予防効果が83%と書かれていました(下記参照)。
3回目接種しても亡くなったのは、直接死因がコロナだった人なのでしょうか。それとも、基礎疾患が悪化した人なのでしょうか。
