クッキー一枚で老いを悟った日
歯が欠けてしまった。
先日、10月から産休に入る同僚から餞別の菓子をいただいた。
17時を過ぎ、残業に向けて糖分補給でも・・・と、ありがたくクッキーにかじりついたのである。
かじりつく前に、確かに少し思った。
キャラメルでカッチカチにコーティングされた上にナッツをまぶしてある。これは心して挑まねば、歯をやられるやつだ・・・と。
思うには思ったのだが、すきっ腹のわたしは、理性よりも胃袋を優先し、勢いよくむしゃったのである。
そして聞こえた、あの音。
ゴリゴリ。
最初はまぶされたナッツの咀嚼音なのだと思った。だが、クッキーが胃に収まっても、口内に残る異物感。
ナッツにしては固すぎる。
恐る恐る、その異物を口から出してみたところ・・・歯だった。
米粒の1/2くらいのかけらが2つ。
舌で口のなかを探ってみる。明らかに、左下一番奥の歯がおかしい。
やってしまった・・・。
自覚はあった。銀歯が取れたまま放置していたあの歯。それがまた、悪くなっている事に、うすうす気づいてはいた。『そろそろ歯医者に行かないとな・・・』とは、うすぼんやりと思っていたのだ。
いや、もっと言えば、ここ何年も歯医者に行っていないので、他にも悪くなっている歯がごろごろありそうだ。
歯医者関係の方には申し訳ないのではあるが、わたしは歯医者という所がどうしても苦手だ。
痛いとかなんとかという理由もあるのだが、治療が延々と終わらない。やっと一本やっつけたと思ったら、次の歯。それが終わったらクリーニング。なんなら、昔の銀歯をセラミックに変えたらどうかと、古傷を蒸し返される。
分かってはいるのだ。歯は大事だとっ!!
将来の健康のことを考えれば、きちんとメンテナンスをしておくべきだと!!
時間薬で気づいたら治ってましたというわけにもいかないので、どっちみちどこかのタイミングで治療が必要なのだ。
いっそ、悪い歯は全部きれいにしてもらう覚悟で、長期戦に臨むべきだろう。
だが、毎度の事だが腰の重いわたしなのである。
それにしても、虫歯だとはいえ、クッキー一枚で、歯が欠けるような年齢になったとは。
今年の初めには五十肩になり、現在も整形外科のお世話になっている。
よく、『体は中年だが、心は永遠の18歳♡。うひゃうひゃ。』なんて事を言っている人がいるが、わたし自身も、まあ、18とまでは言わないものの、20代くらいから目まぐるしい心的成長を感じた事は無く、45歳にしては、軟弱なメンタルの持ち主である。
それに比べて、身体の着実な加齢のむごさよ。
ひとまず、わたしにできる事は、素直に、歯医者の予約を入れる事くらいだろう。
歯医者に行くのは億劫だが、行かないともっと億劫になる。そんな、小学生でも分かるようなことを学んだ45歳の秋であった。
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