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夢と危険と私 ―― 確かな体温と不確かな私 4Days/Day3

確かな体温と不確かな私 4Days
MC: サエコ

▶️現実と虚構と私 /Day2

── なぜ私たちは、
毎晩この身を危険に晒してまで「幻覚」を見にいくのだろう。

旅先のホテルで、ふかふかのベッドに潜り込むとき。
シーツの清潔な匂いと、自分の体温が少しずつ布団の中に満ちていくのを感じながら、目を閉じます。

それは一日の中で最も安らぐ、至福の時間です。
しかし、どうやら生物学という視点でみると、この「眠りにつく」という行為は、異常で恐ろしい習慣なのだそうです。

私たちは人生の約三分の一という膨大な時間を、完全に意識を失い、外部からの危険に対して一切の抵抗ができない無防備な状態のまま過ごしています。

サバンナで暮らしていた頃の私たちの祖先にとって、それは文字通り「死」に直結する致命的なリスクだったはずなのです。


なぜ、私たちはそこまでして眠らなければならないのでしょう。

そしてなぜ、その危険な暗闇の中で、毎晩「夢」という名の奇妙な幻覚を見せられ続けるのでしょうか。


身体を麻痺させてまで見る「プライベートな幻」


眠りには、浅い眠り(レム睡眠)と深い眠り(ノンレム睡眠)があることはよく知られています。
そして、私たちが鮮明な夢を見ているのは、主にレム睡眠のときなのです。


このとき、私たちの身体には、非常に不気味な現象が起きているようです。

【解説:レム睡眠時の身体の麻痺】
夢を見ている間、脳は起きている時と同じくらい激しく活動していますが、筋肉を動かす運動神経は完全に「遮断(麻痺)」されています。
これは、夢の中の行動を現実の身体がそのまま実行してしまい、怪我をするのを防ぐための安全装置(レム睡眠アトニア)だと考えられています。

脳は、自らの意思で現実の身体のスイッチを切り、強制的に麻痺させています。

そして、視覚や聴覚といった外からの情報をすべてシャットアウトした上で、脳内だけで「まったく別の現実(夢)」をゼロから再生し始めるのです。


走れない。
叫べない。
外の音も聞こえない。

そんな絶対的な無防備状態(リスク)を自ら作り出してまで、脳はどうしても私たちに「幻覚」を見せようとするのです。


記憶の整理のため。
あるいは、未知の危険に対するシミュレーションのため。

科学者たちは様々な理由を推測していますが、「なぜ、これほどまでに鮮明な仮想現実を毎晩見なければならないのか」という根本的な理由は、実はまだ完全には解明されていません。

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