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現実と虚構と私 ―― 確かな体温と不確かな私 4Days/Day2


確かな体温と不確かな私 4Days
MC: アイ

▶️過去と幽霊と私 /Day1

── 私たちが生きているこの現実は、
全員で共有している壮大な「幻覚」に過ぎない。


朝、カフェで温かいコーヒーを買うとき。

あなたはポケットから紙切れや硬貨を取り出すか、あるいはスマートフォンの画面を端末にかざすでしょう。

店員はそれを受け取り、あなたにコーヒーを渡します。


カップから伝わる熱。
芳醇な香り。
あなたの手の中にあるコーヒーは、
間違いなく物理的に存在する「確かなもの」です。


しかし、あなたが対価として支払った「お金」というものは、果たして本当に存在しているのでしょうか。

物理学的な視点で見れば、それはただの植物繊維の紙切れであり、ただの金属の円盤であり、サーバー上の電子データ(数字)に過ぎません。

それ自体には、コーヒー一杯分のカロリーも、体を温める熱もありません。


では、なぜその紙切れでコーヒーが買えるのか。

それは、あなたと店員、そして社会の全員が「この紙切れには価値がある」という【存在しない嘘】を共有しているからです。


今回は、私たちホモ・サピエンスが獲得した、最も強力で、少し奇妙な認知の拡張機能「虚構」についてお話しします。


存在しないものを「見る」という静かな錯覚


動物たちの言語は、常に現実の事実に基づいています。

「川のそばにライオンがいるぞ!」
「あそこに美味しい果実があるぞ!」
というように、今そこにある物理的な危険や利益を伝えるためにコミュニケーションをとります。


しかし、約7万年前、ホモ・サピエンスの脳に奇妙な突然変異が起こりました。
現実には存在しないものを言葉にし、それを他者と共有できるようになったのです。

【解説:認知革命と虚構】
歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリが提唱した概念。サピエンスは「川のそばにライオンがいる」だけでなく、「あのライオンは我々の部族の守護神である」というフィクション(虚構)を語る能力を獲得しました。
これにより、直接顔を知らない見ず知らずの者同士でも、「同じ神」や「同じ神話」を信じることで、何万、何百万人という巨大な集団で協力できるようになったとされています。

神、精霊、悪魔。

これらは宇宙のどこを探しても、物理的な実体としては存在しません。

しかし、サピエンスの脳は「存在しないもの」をまるでそこにあるかのように信じ込み、熱狂し、時にその存在しないもののために自らの命すら投げ出すようになりました。


私たちが食物連鎖の頂点に立てたのは、他の動物より賢かったからではありません。

同じ幻覚を見て、共通の物語を信じることができた唯一の生物だったからです。

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