冬の光、恩寵の光♯14-気づかないまま、誰かを傷つけていたことはありますか
Vertical Grace ― Hidden debt
「足音と、雪の重さ。――踏みしめた跡は、消えなかった。」
―― 正しさの振動が、和也の空虚を暴いていく。降り積もる白の下、隠したはずの痛みが疼く。
第4話 ――
雪の下 / Hidden debt / 罪を解く
美咲の強さが、時に和也を追い詰めた。
彼女の確かさの影で、自分の足元だけが頼りなく揺れていた。
その重さが、知らず知らずのうちに彼女を傷つけていた。
美咲の廊下を歩く足音がした。
一定のリズムで、迷いなく。
その振動が、床を伝って和也の足裏に届いた。
重さのある、確かな歩み。
それがかえって、自分の立っている場所の空虚を際立たせた。
言いかけたことがあった。
口を開いて、息を吸って、そのまま閉じた。
言えなかった。
降り積もる雪の下に、すべてが隠されていく。
だが、消えるわけではない。
窓の外で、白いものが音もなく積み上がっていた。
