冬の光、恩寵の光♯15-見えないものを、それでも信じたことはありますか
Vertical Grace ― Unseen anchor
「根雪と、か細い感覚。――それでも、手放さなかった。」
―― 言葉は減り、距離は開く。溶けない雪の下、見えない錨(いかり)を下ろして。
第5話 ――
見ぬままに / Unseen anchor / 根雪かな
美咲との会話が、日に日に減っていった。
何を話せばいいのか分からない。
このまま終わりたくない。
夜中に目が覚め、暗い天井を見ながら強く手を握る。
まだ見ていない何かに、最後の望みを託して。
決して溶けることのない根雪の下に、見えない錨を下ろすような、か細い感覚。
見ぬままに信じること。
