『時空郵便局 第八便』愛は乞うものではない——アリエノール・ダキテーヌの教書
「愛されたいと願う時点で、あなたすでに敗者です。」
……愛されたいと、喉を鳴らして嘆く。
そなたの声は、
わたくしの耳には『自らの豊かな領地を投げ出したい』という敗北の宣言にしか聞こえません。
良いですか。
愛とは、
泥に膝をついて乞うものではありません。
相手が跪かざるを得ないほどに、
そなたという「王国」が肥沃で、気高く、
光り輝いている時にのみ、
畏怖と共に捧げられる貢物なのです。
そなたは今、
相手の顔色という他人の領地にばかり気を取られ、己の城壁に蔦が絡まり、
崩れていることにも気づいていない。
主(あるじ)に捨てられた廃墟の門を、
誰が礼節をもって叩くというのですか?
まずは、その『愛されたい』という卑屈な震えを、冷たい鉄の意志で焼き切り捨てなさい。
そなたが独りで立ち、
独りで峻烈に美しく、
独りでその運命を支配している時、
愛は征服すべき領土として、
向こうから軍門に下るものです。
愛に惑わされるのは凡夫の業。
女王は、愛を「統治」するのです。

……もっとも、
これは吟遊詩人が歌うような、
甘い騎士道物語ではありません。
わたくしの血が命じる真理です。
『恋愛がうまくいかない』などと、
いつまで乙女のような夢想に浸っているつもり?
この世は、一息つく間もない戦場です。
愛とは魂を賭けた外交であり、
奪うか奪われるかの略奪なのです。
相手に選ばれようと媚を売るその姿は、
わたくしに言わせれば、
処刑台へ自ら首を差し出す罪人と何ら変わりありません。
……よく自分に問うてみなさい。
今すぐ、その『相手に縋(すが)る心』を切り捨ててごらんなさい。
明日、その者が戦死しようが去ろうが、
わたくしの尊厳は一分も損なわれぬ——
その、神をすら畏れぬ傲慢なまでの覚悟が、
そなたの瞳に宿っていますか?
孤独を恐れて誰かの馬の尻尾にしがみつく。
そのような魂は、
遅かれ早かれ、飽きられて、
泥の中に振り落とされるのが道理です。
命を惜しむように、
自分の『誇り』を、
血の最後の一滴まで守り抜きなさい。
そなたが誰の手も借りず、
己の足で凛と大地を踏みしめた時、
世界は初めて、
真の支配者の出現に戦慄し、
平伏すのです。
わたくしの前に、
二度と敗者のツラで現れぬこと。
そなたの命、
他人の祭壇に捧げる安物にしておくな。
アリエノール・ダキテーヌ

「愛されようとするな。愛を屈服させる者であれ。」
