過去の恋愛が教えてくれた、もう一度自分を好きになるまでの物語丨#03 「お前でいい」
同じ言葉でも、そのときの自分によって意味は変わる。
あの頃の私は、「選ばれた」というだけで、自分に価値があると思えた。
付き合い始めてしばらく経った頃だった。
何気ない会話の中で、彼が言った。
「お前でいい。」
その瞬間だけ、私は思った。
「……お前?」
今だったら、「それはちょっとなぁ。」と笑って返せるかもしれない。
でも、あの頃は違った。
その言葉に少し引っかかりながらも、それ以上に胸がいっぱいになった。
「私を選んでくれた。」
そんな気持ちのほうが大きかったからだ。
私は昔から、自分に自信がなかった。
友達は「スタイルいいよね。」と言ってくれた。
でも、自分ではそう思えなかった。
鏡を見るたびに、何かが足りない気がしていた。
もっと可愛かったら。
もっと明るい性格だったら。
もっと魅力があったら。
そんな「もっと」を、いつも探していた。
だから、「選ばれる」ということが、私にとっては特別だった。
誰かに必要とされること。
誰かが「一緒にいたい」と思ってくれること。
それが、自分の価値を証明してくれるような気がしていた。
今振り返ると、不思議に思う。
どうして私は、「お前でいい」という言葉を、あんなにも嬉しいと感じたんだろう。
たぶん私は、「でいい」の部分ではなく、「お前」という距離の近さや、「自分を選んでくれた」という事実だけを受け取っていた。
言葉そのものより、その奥にある気持ちを信じたかった。
そして、それで十分幸せだった。
彼は強引なところがあった。
少し自分勝手だなと思うこともあった。
でも、不器用で照れ屋で、ときどき見せる優しさを私は知っていた。
だから、その言葉も彼らしいと思えた。
恋をすると、人は相手の言葉を、その人らしさごと受け止めるのかもしれない。
あの頃の私は、幸せだった。
疑うこともなく、この時間がずっと続くと思っていた。
でも、どんな恋にも終わりがあることを、この頃の私はまだ知らなかった。
次回へ続く。
「選ばれること」が、自分の価値になっていた
もしあなたも、
「誰かに選ばれることで、自分の価値を確かめてしまう」
「別れたあとも、選ばれなかった自分を責め続けている」
そんな苦しさを抱えているなら。
有料note 『10年忘れられなかった私が気づいた、元彼を忘れられない本当の理由』では、恋愛に預けていた自分の価値を、どう取り戻していったのかを書いています。
「選ばれなかった私は、価値がない」と思っていた頃の私と、同じ場所で立ち止まっているあなたへ。
