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夫のため息

「52歳の女性が生理休暇ってあり得る?」

突然、夫に聞かれた。

「人によるから、何とも」

と答えた。

「更年期でもあるみたいで、そっちでも休むんだよね」

「それも人によるよね」


夫の部下の話だ。


「普段からしっかり仕事をして、頑張ってくれる人なら何とも思わないんでしょ?」

と、私も聞いてみた。


「そうなんだよ……」


その人はリモートワークも多く、直属の上司が仕事を任せることができずに、たくさん仕事を抱えてしまっているという。


生理休暇も連休と土日の間の二日間取得したらしい。
ちょこちょこ更年期での不調でも病休を使って休暇を取るそうだ。

ただ昨今の“ハラスメント”問題で、気になることがあっても直接伝えることも難しいらしい。

「特に女性には気をつかうよ」

と夫はため息をついた。

「8:30に出発しよう」と新人の部下に外勤の同行について伝えておいても、始業時間の8:30ちょうどに出勤してそこから出かける準備をすると嘆いていた日もある。

「自分が新人の頃なら少し前に来て、上司を待たせるようなことはしなかった、誰かに言われなくても」

と夫は、社会人としてその程度は常識と言わんばかりに言っていた。

私たちの年代は、
「少し早く来るのが当たり前」
「多少無理してでも頑張るもの」
そんな空気の中で働いてきた。

怒鳴られても、
理不尽でも、
とにかく耐える時代だった。

だから今、働き方が改善されていくのは、きっといいことなんだと思う。

でも一方で、誰も何も言えなくなってしまった息苦しさもある。

権利を守ることと、
周りと気持ちよく働くこと。

そのちょうどいいバランスって、案外難しい。

そんなことを感じる私たちは、もう古い世代なのかもしれない。


時々そんな夫の悩みを聞いては、案外ちゃんと仕事してるじゃんと思っている。

「私もそんなふうに気をつかわれたいものだわ、家でもそのリーダーシップ発揮してよ、大黒柱なんだから」

と言ってみたら、

「ウチには不動のリーダーがいるからね、俺はちょっとお金を稼いでるだけだから」

……だって。

私の重大任務はいつ終わるのか……。



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