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[書評] 潜入ルポ アマゾン帝国の闇

先日 note のとある記事を読んで、
昔に読んだ この本を引っ張り出した。

タイトルからも想像できるように
読後感は あまり
気持ちのいいものではなく、
アマゾンをこのまま利用していいものか
悩んだことを覚えている。

結論から言えば
今も利用しているのだが、
そこに至るまでには
私なりの思考の道のりがあるのだ。


Kindle で書評集を出しました!!
※ Kindle Unlimited 対象です ※


現代の蟹工船

筆者の体験を追って知る
アマゾンの物流倉庫やそれに関わる
労働者たちの実情を知ると、
どことなく産業革命期の
労働環境が思い浮かぶ。

もちろん当時よりは
幾らかマシなのであろうが。

さながら現代の蟹工船とでも言おうか。

それは決して
的外れな比喩ではないだろうし、
むしろ陳腐で恥ずかしく思えるほど
思いつくのは難くない。

倉庫内に掲示されているという
ポスターの言葉遣いひとつ取っても、
戦場のような
殺伐とした空気感が伝わってくる。

自分が今 所属している会社が
非常にぬるいのも相まって、
「こういうドライさが
 ずば抜けた結果を出すことに
 つながってるのだろう」と思う。
どちらの職場がいいのかは、
おそらく人による。

会社員・組織の構成員
(変な意味ではなく)としての私は、
比較的 厳しいと周りから言われる。

プロである以上 最低限の仕事は
すべきなのは当然としても、
その最低限のラインが
周囲よりも高いようなのだ。

どちらかと言えば 私の仕事観は、
(本書の事例ほど苛烈ではないが)
アマゾン寄りなのかもしれない。

職場のぬるさに
退職を決意する程度には
愛想を尽かしているが、かと言って
ここまで殺伐としたところで
働こうとも思えない。

嫌なら辞めればいい

ひととおり労働者目線からの
アマゾンを見て考える。

結局、アマゾン(雇用)側の態度は
「代わりの人間は いくらでもいるから、
 ご不満なら辞めたら?」
という一貫した姿勢に感じる。

自由主義・資本主義の世界であれば
取り立てて悪いこととも思わないし、
それを甘んじて受ける人間がいる限り
変える道理もないだろう。

物心ついた頃には
ソ連崩壊直前だったから知らぬが、
共産主義社会も
こんな感じだったのだろうか。

それとも資本主義世界との
競争に敗れたということは、
これよりは優しい(ぬるい)
労働環境だったのだろうか。

災害時の連絡系統のくだりなどは、
昭和に起こった
ホテルニュージャパン火災を想起させる。
世界に名だたる大企業も、所詮は
日本のたかだか数十年前の
社会的教訓すら活かせないものなのか。

もっとも彼ら選ばれし
アマゾニアン(アマゾン社員)
からすれば、弱者の遠吠えにしか
聞こえないのだろうが。

命より仕事を取る人たち

"困ったときのアマゾン頼み"

巨大なアマゾン倉庫の周辺で
めぼしい職が見つからない人にとって、
そんなふうな信仰もあるらしい。

住んでる場所付近に
仕事がないというのは、
たしかに よく聞く話である。

職を探す際に
住み家の制約がどこまで強いのかは、
きっと人によるのだろう。

ただ それしか選択肢がないという状況は、
たぶん人が思っているよりも
ずっと少ない気がする。

そこにしか働く選択肢がないのなら、
動いて選択肢を増やすのか
過酷さを甘んじて受けるのか。
いずれにしても結局、
自分で自分の身を守るしかないのだ。

彼らが悪者だとしたら

もはや軍隊のような厳しさで成り立つ
アマゾンという巨大企業。

労働者側から現状でできることは、
「合わないなら辞める」
ということしかないのかもしれない。

どんな理由があるにせよ、
心身を犠牲にしてまで働きたいのなら
働き続ければいいし、そうでないなら
自分の身の安全を最優先にして
生きる道を他に探せばいい。

これは自由主義の論理で、
ついていけない者が増えて
成り立たなくなれば 会社側が
考え直さねばならなくなるだろうし、
あるいは納得して働く者だけが集まれば
より高密度なエネルギー体に
進化していくであろう。

多様性の時代であるし、
仕事最優先でガンガン働きたい人には
非常に素晴らしい企業であるともいえる。

少なくとも法令を
遵守している限りにおいてなら、
こんな選択肢があってもいい。

こういう本を読むと ついつい対象
(今回ならアマゾン)を悪者と
決めつけたくなりがちだが、
仮にその命題が真だとしたら
悪者は それに与する全ての人たちだ。

そこで働く者も、ユーザーである者も、
その悪者の繁栄を支えている
ひとりであるのだから。
そこに私も含まれるのは言うまでもない。

決してアマゾンへの批判や
問題提起だけでなく、
彼らが生まれてから今日に至るまで
価値観を築き上げてきた歴史にも
触れられている。

アマゾンという存在をどう評価し、
どのように付き合っていくべきなのか。
便利なサービスを享受しつつも、
悩まされる1冊である。

こんな人にオススメ!

・アマゾンという企業について
 知りたい人
・アマゾンに関わる仕事を
 しようかと考えている人

こんな人には合わないかも…

・これからもアマゾンを
 気持ちよく利用したい人


お読みいただき、
ありがとうございました。


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