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[書評] 中世ヨーロッパの社会観

みなさん、こんにちは。Naseka です。
私は 哲学者・書評家 として、
自らを定義しています。


こう毎日 本を読んでいると
図らずも連鎖反応というものは
起きてくるわけで。

先週 書評を書いた
狼と香辛料」を読み、次いで
チ。-地球の運動について-」を
読みたくなり、それを読んでいたら
この本を また読みたくなった。

これらに共通する要素は
「中世ヨーロッパ的な雰囲気」
である。

私は割と保守的な人間ではあるが、
むやみやたらに
「昔は良かった」というのは
あまり良しとしない。

これだけ現代文明を享受して、
さらには 歴史を学べば学ぶほど、
たとえタイムマシンが実現しようとも
中世へ飛ばされるのは
勘弁願いたいところである。

マンガやアニメでは
中世を "イメージ" した
牧歌的な "雰囲気” を
好いているのであって、
決して中世の全てを
愛しているわけではない。

とはいえ それらの時代の
歴史を学ぶのは大好きであるし、
学べば学ぶほど
その時代を生きた人々が持っていた
価値観というものにも
興味が湧いてくる。

そんな需要にピッタリ当てはまるのが
本書である。



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隠喩による社会認識

この本のテーマを ひと言で表すならば、
「中世の人々の社会観を
 隠喩から考える」
である。

中世ヨーロッパの社会といえば、
キリスト教や身分制度が
分かりやすい特徴だろう。

また 社会観という観点からは
社会そのものや
国家というものに対して
どのような見方をしていたか。

ミツバチの中に 人間社会の、
建造物の中に キリスト教社会の、
人体の構造に 国家という枠組みの、
チェスというゲームに 身分や階級の、
それぞれ通ずるものがあると
考えていたという。

たしかに 洋の東西を問わず
科学をはじめ学問が
今ほど発達していなかった中世では、
理論よりも観念的な ものの捉え方が
支配的であったように思う。

とりわけ西欧社会においては、
何事にも聖書を通じて解釈する
キリスト教的な考え方が
当時の世界常識だったのだ。

聖書が その文面だけに留まらない
解釈が拡がっていたように、
彼らが暮らしていた社会も
その目に映る以上の世界が
見えていたのだろう。

自身における隠喩

それぞれの隠喩の内容については
本書に任せるとするが、
こうした隠喩は私の中でも
思い当たるところがある。

プロ野球を見ていると
そのチーム作りや采配を通して
(仕事における)
マネジメントのヒントを
見出そうとしてしまうし、
将棋に興じていると
意識するわけでもなく
盤面から人生について考えてしまう。
(集中していないから よく負ける)

乱雑になった部屋を通して
原子や分子の世界の一端を垣間見て、
本棚の一角を通して
地球規模の広大な世界を見る。

誰に何かの喩え話をしてもらった
わけでもないのだが、
いつの間にか自分の中で
全く関係のないような事柄が
強く結びついて、
知らず知らずのうちに
自分なりの世界観が出来上がるのだ。

現代における隠喩

ただ、ここでふと
自分の外へ目を向けてみる。

はたして斯様な隠喩というものが、
現代社会の中で
どれほど生きていることだろうか。
私が暗いだけなのかもしれないが、
考えても すぐには思い浮かばない。

科学が発展していくにしたがって、
あらゆる物事には
科学的な因果律があるという見方が
市民レベルで広がっていった。

小さな子ども相手ならばともかく
ある程度の分別がつくようになると、
私たちが他者に何かを教えるときには
理屈や実物を示すことが多い。

これも物心がついた頃から
科学的に考えることが
当たり前の社会に
生きているからこそなのだろう。

その点が、科学よりも宗教が
世の理だった中世との
大きな違いなのだ。

隠喩とは趣

私は特定の宗教を
信仰しているわけではないので、
余計にそう感じるのかもしれない。

聖書などにも疎いから、なおさら
社会に浸透している(かもしれない)
隠喩がピンと来ないのかもしれない。

それでも おそらくは、
こうした隠喩は中世に比べると
大きく減ってしまったのだろう。

中世を礼賛するつもりはないが、
どこか現代の科学信仰は
味気ない気がしてくる。

科学的な思考を持つことと
隠喩を通して観念的に
世界を捉えることは、
決してトレードオフではないはずだ。

徹底的に科学を突き詰めていけば、
そこには想像の入る余地はなくなる。
さすれば究極的には、
人間らしさは不要とされて
プログラムや AI で十分となってしまう。

もちろん そうなるとしても
私が天に召されてからの話だろうが、
それにしても それでは
あまりに寂しい未来ではないか。

あくまで表現のかたちとしてではあるが、
こうした非科学的な ものの見方も
趣があって 私は好きだ。

普段 エンジニアとして科学的思考に
どっぷり浸かっているから
私だからこそ、
科学に傾倒し過ぎる現代人に
ぜひ薦めたい一冊である。

こんな人にオススメ!

・世界史(欧州史)が好きな人
・昔の人の世界観を学びたい人
・比喩的なものの見方が好きな人

こんな人には合わないかも…

・科学的な思考こそが善と考える人
・比喩的なものの見方が苦手な人

お読みいただき、
ありがとうございました。


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