見出し画像

くすりとの距離感が、ゆっくりと変わり始めた。そして

昨年、「くすりとの距離感が、ゆっくりと変わり始めた」という記事を書きました。

その中で、気管支喘息の治療について、主治医から、

「状態が落ち着いているので、吸入薬を減らす方向で検討していきましょう」

と言っていただいたことを書きました。

長い間、「この薬とは一生付き合っていくもの」そう思っていた私にとって、その言葉は大きな驚きでした。
もしかしたら、いつか手放せる未来もあるのかもしれない。
そう思えたことは、私にとって小さな希望になりました。

あれから半年以上が経ちました。

今回は、その後の経過と、今感じていることを記しておこうと思います。


減薬への道のりは、思っていたよりも慎重だった

この記事を書いたあと、実は一度、喘息の発作が起きました。

2月。コロナやインフルエンザが流行していた時期に、風邪をひいてしまったようで、咳込みや喘鳴が出てしまいました。

幸い、その日は主治医の先生が休日診療をされている日だったため、すぐに診ていただくことができました。

吸入などの対応で症状は落ち着きましたが、念のため、一時的に薬を増やして様子を見ることになりました。

その時は、正直なところ、

「やっぱり減らすのは難しいのかな」
「また振り出しに戻ってしまったのかな」

そんな気持ちも少しありました。

一方で、以前とは違う受け止め方もできました。

「今の身体には、この変化が少し早かったのかもしれない」
「もう少し慎重に進めるタイミングなのかもしれない」

そんなふうに考えられるようになっていました。

長い年月をかけて身体と向き合ってきた経験が、今回の出来事を受け止める力になっていたのかもしれません。

減薬は、薬を減らすことそのものが目的ではありません。その時、その時の自分の身体に合った状態を、医療者と一緒に探していくことなのだと思います。


身体は、病名ごとに分かれているわけではない

私はこれまで、脳脊髄液減少症をはじめとした、いくつかの疾患と付き合ってきました。そして今年は、突発性難聴も経験しています。

幸い、治療によって聴力は回復しましたが、その経験を通して改めて感じたことがあります。

それは、私たちの身体は「病名ごと」に分かれているわけではないということです。

医療では、それぞれ専門の診療科があり、疾患ごとに治療があります。

でも、患者である自分の身体は一つしかありません。

疲労やストレス、季節の変化、生活リズム。さまざまな要素が重なりながら、今の身体の状態が作られています。

「この症状は、どの病気から来ているのだろう」

そう迷うこともあります。

複数の疾患と付き合うということは、単純に病気の数が増えるということではなく、自分自身の身体全体を見ながら付き合っていく必要があるのだと、改めて強く感じています。


変えられないものと、変化する可能性があるもの

長く慢性的な症状と付き合っていると、どこかで折り合いをつけることで、気持ちの整理をつけざるを得ない瞬間があります。

私の場合、脳脊髄液減少症については、「完全になくすこと」だけを追い求めるのではなく、その時、その時で症状と折り合いをつけながら、自分らしい生活をどう作っていくか。そんな視点を持つようになりました。

もちろん、治る可能性を諦めているわけではありません。

ただ、長い年月をかけて、

「いまここの自分の身体と付き合っていく覚悟を決める」

という考え方を身につけてきたのだと思います。

だからこそ、今回の喘息の減薬という出来事は、私にとって少し特別でした。

「もしかしたら、いつかくすりを手放せるかもしれない」

そう思えたことは、大きな希望だったのです。


くすりは、敵でも味方でもなく

改めて感じていることがあります。

くすりは、手放すべきものでも、頼り切るものでもない。
その時の自分を支える、ひとつの知恵のような存在なのだと思います。

必要な時には助けてもらう。
状態が変われば、付き合い方も変わっていく。

大切なのは、

「薬さえあればいい」

でも、

「薬は悪いもの」

として排除することでもありません。

自分の身体の声を聴きながら、医療者と一緒に選択していくこと。

それが、私にとっての「くすりとの距離感」なのだと思います。


まだ、道の途中

2月の発作により、一回は立ち止まりましたが
現在は、吸入薬は以前より一段階減らすことができています。
そして、次の段階へ進むことも検討しています。

もちろん、不安がないわけではありません。

また発作が起きるかもしれない。

思ったように進まないこともあるかもしれない。

でも、以前とは違います。

「何かあれば相談できる」
「身体の状態を見ながら調整していけばいい」

そう思える環境に身を置いていられることが、本当にありがたいことだと感じています。

病気を経験したことで、失くしてしまった感覚や能力もあります。

でも同時に、自分の身体の小さな変化に気づく力、無理をしすぎる前に立ち止まる力、そして自分自身と対話する力も少しずつ育ってきたように感じます。

くすりとの距離感は、これからも変化していくのかもしれません。

減らすことだけ、手放すことだけを目標にするのではなく、必要な時には頼りながら、自分の身体の声を聴き、自分で選択していける自分になりたい。

これからも、試行錯誤しながら、自分自身との付き合い方を探していきたいと思います。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

※減薬や服薬の変更は、必ず主治医と相談しながら進める必要があります。この記事は、私自身の経験を記録したものであり、治療方法を勧めるものではありません。

いいなと思ったら応援しよう!