「SaaS is Dead」は本当か?~AI全盛時代に「死ぬSaaS」「生き残るSaaS」について本気で考えてみた。~
こんにちは、ブラストメールのマーケティング担当、滝口です。
最近、X(旧Twitter)やテック界隈で「SaaS is Dead(SaaSは死んだ)」なんて言葉を耳にすることが増えました。
SaaSベンダーの中の人としては、背筋が凍るようなフレーズです。
でも、あながち間違いじゃないなとも思うんです。
私自身も先日、Geminiを使ってたった30分で「診断ツール」を自作してしまったからです。
私はプログラミングなんて全くできない、エクセルの関数をAIに組んでもらっているような「ふつうのマーケター」です。
そんな私でも、AIに「こういう機能が欲しい」と頼めば、ブラウザで動くツールが作れてしまう。
「あれ、これわざわざ月額費用払って契約しなくても、自分で作れるじゃん?」
そう気づく人が増えている今、「死ぬSaaS」と「生き残るSaaS」の境界線はどこにあるのか。 AI全盛時代におけるSaaSの生存戦略について、本気で考えてみました。
AI時代に生死を分けるのは「物理」のスペック
結論から言うと、AIがコードを書ける時代にSaaSが生死を分けるのは「物理」のスペックにあると考えています。
「クラウドの話をしてるのに物理?」と思われるかもしれません。
ですが、AIがいくら賢くなっても、越えられない壁がそこにあるんです。
【死ぬSaaS】表層的な価値に頼っているサービス
これからの時代、もっとも厳しいのが以下の特徴を持つSaaSです。
プロダクトの価値を「UI(見た目)」や「ちょっとした効率化」に置いている
⇒AIがプログラムを書けば、すぐに代替品が作れてしまうものです。
例えば、「使いやすいタスク管理画面」や「データを綺麗に見せるダッシュボード」だけのサービス。
これらは、ChatGPTやGeminiに「こういう機能を持ったHTMLとJSを書いて」と言えば、数秒でコードが返ってきます。
実際、私が作った診断ツールも、プロンプトを数回打っただけで、それなりのものが動きました。
「便利さ」や「見やすさ」だけの価値は、AIによって民主化され、コモディティ化してしまうのです。
【生きるSaaS】物理的な優位性と強烈な付加価値
一方で、生き残るのはAIが簡単には模倣できない領域を持っているサービスです。
「サーバー(マシン)が強い」など物理的な優位性を持っている
業務の根幹に関わる強烈な付加価値(ノウハウ・泥臭い調整)がついている
いくらAIが優秀なコードを書いても、それを動かすための「安定した大規模インフラ」や「長年培ったドメインの信用」まではコピーできません。
ここが「物理」の強さです。
メール配信システムで「物理の壁」を考えてみた
これを私が普段販売している商材「メール配信システム」に当てはめてみましょう。
【淘汰される可能性があるメール配信システム】
もし、そのシステムの価値が
「メール作成エディタが使いやすい」
「管理画面が今風でオシャレ」
だけだとしたら……それは危険信号です。
極端な話、数件送るだけならGoogle Apps Script (GAS) を使って、AIにコードを書かせれば、無料で自動配信システムが作れてしまいます。
メリットを「安さ」や「UIの見やすさ」だけにしているサービスは、これから非常に苦しくなるのではないでしょうか。
【生き延びるメール配信システム】
では、生き残るのはどんなシステムか。
それは、「確実に届ける」という物理的な強さと、「面倒なことを引き受ける」付加価値を持つものです。
1. サーバーのスペックが強い(物理的優位性)
メール配信で最も難しいのは、実は「メールを作ること」ではなく「メールを届けること」です。
例えばGmailのガイドライン変更により、1日5,000件以上の配信者は非常に厳しい要件をクリアしなければならなくなりました。
何万、何百万通というメールを、遅延なく、迷惑メール判定されずに届けるには、大規模配信に耐えうる強力なサーバー基盤が必要です。
これは、AIが書いたコードだけではどうにもなりません。長年の運用実績とドメイン評価という「物理的な積み上げ」が必要不可欠だからです。
2. 「社内調整」と「セキュリティ」という高い壁
AIはコードは書けますが「DMARCの設定」まではやってくれません。
最近、Gmailの「送信者ガイドライン」への対応で、SPF/DKIM/DMARCといった専門的な認証設定が必須化されています。
これらの設定は情シス部門との調整が必要だったり、非常に専門的で面倒です。
担当者にとって一番大変なのは、「面倒なセキュリティ設定の社内調整」だったりします。こうした「面倒な手続きや設定の代行・支援」こそが、AIには代替できない強力な価値になります。
日本のSaasサービスはサポートにかかっている人件費率が高すぎるという話もありますが、ここにきてそういった「面倒ごと」をちゃんとやってくれるサービスが生き残るのかもしれません。
3. 強烈な付加価値を持っている
ただツールを提供するだけでなく、「そのツールを使ってどう成果を出すか」というノウハウ自体が付加価値になります。
例えば、私たちブラストメールでは、あえてHTMLメールではなく「テキストメール」を活用して商談を獲得する実験を行いました。
• 施策内容: 過去失注顧客5,000件に「ご検討状況のお伺い」というシンプルなテキストメールを送信
• 結果: たった1通で商談獲得7件、しかし配信解除も101件という衝撃の結果に
この失敗と成功のデータから、「どうすれば配信解除を減らしつつ商談を取れるか」という改善を行い、最終的には解除率を半減させつつ商談を9件獲得できました。
こうした「実利」に直結する生々しいノウハウを持っているかどうかが、AI時代に選ばれる理由になります。
AIた多くの一般論とアイデアを出してくれますが、実験結果や一次情報は提供してくれません。
サポート品質にもかかりますが、今こそ歴史や経験が価値になる時代になってきているのかもしれません。
結論:SaaSは死ぬのか?
「薄っぺらいSaaS」は死に、「物理的に強いSaaS」は生き残る。
これが私の仮説です。
ブラストメールは幸いにも、20年以上の歴史の中で培った「高速配信の安定した基盤(物理)」があります。
また、面倒なDMARC設定などのセキュリティ周りも手厚くサポートしています。
これからのSaaS選び、「機能の多さ」ではなく「物理的な強さ」で選んでみませんか?
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