最近読んだ本⑯
春はまた来る / 真下みこと
地味で目立たない主人公の大学生活に、学年一の美人だった高校の同級生が現れた。関わることのないはずだった二人が交流を深める中、事件が起こる。
大学での性暴力はよく作品の題材にされがちだが、本作品は「男時には女によって、女達は分断を強いられていることこそが問題である」としている。「上」の人間と「下」の人間。献上する人間とされる人間。結婚・出産した女としていない女。ランクやジャンルで分けれた女達は決して交わらないため、問題発生時に協力できない。故に、いつも問題は解決に至らない。そしてそれにより得をする人間がいる。誰かに支配されたうまくできた世界。それを壊せるのは女達の団結なのではないか。
今回の事件は根本的な解決には至らず、なかったことにするという措置に留まった。それでいいのかとつい思ってしまったが、いざとなったら解決方法があるという希望を持つことはできた。なかったことにはならない。それでも前を向いて生きていく。いざとなったら私達が団結すれば、理不尽に打ち勝てるはずだから。
桜の下で待っている / 彩瀬まる
新幹線に乗ったいろんな人のそれぞれの話。
<ハクモクレンが砕けるとき>
小学校の同じ掃除当番だった女の子が交通事故で亡くなった。自分もいつか酷い目に遭うだろうか。叔母さんの結婚式のため訪れた花巻の祖母の家で、不思議な女の子に出会い、そして夢を見た。
夢の中で彼女は虫や鳥といった様々な生き物になっては、様々な理由で命を落としていた。次はもっと強い生き物になる。簡単に死なないように。車に轢かれても潰れないくらいに。
にくむことのできないてきをころさないでいいように。唇を動かして、ゆるりと首を傾げる。自分の体験では絶対にないのに、殺したくないものを殺して、殺されたくないものに殺されたことがあった気がする。思い出とか記憶とかそんな確かなものでなく、ただ、心や体、血に混ざった小さなものたちが知っている。
知識がない子供だからこそ感じ取れたそれは、ファンタジーのようで実はそうでもないかもしれない。夢みたいなふわふわとした中に潜む確信と核心。
生と死。血縁。先祖。人との繋がり。理不尽な死が彼女を少し大人にさせた。美しくも残酷なこの世界を、強く生き抜くために。
