副業解禁の不都合な真実
企業が本当に求めているのは、社員のリストラ予行演習!?
「社員の多様なキャリア形成を支援する」
「社外の知見を本業に活かしてほしい」
こうした耳あたりの良いスローガンとともに、名だたる大企業が次々と副業を解禁している。
これをリベラルな労働改革の進展と歓迎する向きもあるが、マキャベリズムの視点から見れば、その本質は全く異なる。
企業にとっての副業解禁とは、終身雇用という重荷を静かに下ろすためのソフト・ランディング戦略であり、将来的なリストラを見据えた生存訓練の予行演習の可能性をはらむ。
経済学的合理性に基づけば、企業が自社のリソースである社員の時間を、他社の利益のために開放することなど、本来あり得ない。
社員が社外で稼げるようになることは、離職リスクを高め営業機密の流出を招くからだ。
それにもかかわらず副業を勧めるのは、企業が「もはやあなたの老後まで面倒を見ることはできない」という事実を、残酷な直接解雇ではなく「自由の付与」というパッケージで包んで提示しているおもしれないからだ。
企業の本音はこうだ。
「本業の給与だけでは不足なら、余った時間を使って外で補填してくれ。その代わり、いつか私たちがあなたを解雇するとき、自力で食べていける準備を今のうちにしておいてほしい」
これは福利厚生ではなく、企業が負うべき雇用維持のコストを、社員個人の自己責任へと付け替える高度な会計操作である。
副業解禁とは、実質的には退職金の先食いであり、企業による解雇規制の無効化に向けた予行演習なのだ。
進化心理学的に見れば、ヒトは極端に変化を嫌い、現状に固執する性質を持つ。
だからこそ、企業が突然「明日から解雇だ」と言えば激しい反発が起きる。
しかし「好きなように副業していいよ」と優しく突き放すことで、社員は自ら外の世界の厳しさを知ることになる。
マーケットで「査定ゼロ」を突きつけられ、自信を喪失した社員は、もはや会社に対して賃上げ交渉をする気力すら失い、今のポジションに留まれるだけでありがたいと考えるようになる。
つまり、副業解禁は、社員を自立させるためではなく、むしろ自分の市場価値の低さを自覚させ、大人しくさせるための教育的指導としても機能しているのだ。
不都合なのは、副業で成功するほど有能な社員はさっさと会社を去り、副業で一円も稼げない「滞留資産」のような社員だけが組織にしがみつくという、逆淘汰が起きることだ。
企業はこのリスクを百も承知で解禁を進めている。
なぜなら、組織に残った稼げない社員たちに対しても「副業の機会は与えたはずだ」という論理によって、将来の給与カットやリストラの正当性を主張できるからだ。
あなたが「副業を許してくれるなんてホワイト企業だ」と喜んでいるのなら、それはあまりにもナイーブだ。
あなたが手にしたのは自由ではなく「会社の看板がなくなった世界」でのサバイバル訓練の通知表である。
企業が用意したこの「リストラ予行演習」を、単なる小遣い稼ぎと捉えるか、あるいは組織という温室が崩壊する前兆と捉えるか。
その認識の差が、数年後にあなたが「自由な個人」としてマーケットを闊歩しているか、あるいは「放り出された迷子」として路頭に迷っているかを決定づけることになる。
会社があなたに「自由」を差し出した本当の理由、心当たりはありませんか?
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