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[10/17IPO]データベース事業の雄ユーソナーは「買い」か?上場後の成長性を会計士目線で解説

はじめに

今回のテーマ企業

前回に続き、ユーソナー株式会社(431A)です。
当社は独自に構築された企業データベース「LBC」を所有しつつ、当該データベースを軸とした各種サービスを提供されています。

前編はこちら

長々分析してますが、結論を最下部に書いています。よければそちらからでもどうぞ!


今回の教科書(目論見書)はこちら!(前回に続き再掲)

https://search.sbisec.co.jp/v2/popwin/info/connect/ipo/202509112101.pdf

ディスクレーマー

  • 投資の意思決定はご自身でお願いします。not financial adviseです。

  • 簡易的、かつ人間の目と頭で見ています。解釈の間違いなどの可能性は十分にありえますが、そのすべてが善意(故意ではない)です。ご一報いただけましたら修正いたします。すみません!

目論見書を実際に見てみての感想

P12~:業績の推移

足元の成長率はやや心細いなと思ったものの、2020年から見ると成長率はむしろ加速しており、かつ利益率も上昇しています。
FY2021に一時的に赤字転落しており、これに関して邪推すると以下みたいな感じ。

  • 本来はFY23に上場目標だった

  • 直前々期(FY21)〜直前期(FY22)で黒字化、申請期(FY23)で大幅増益、で上場したかった

  • よって直前々期(FY21)に損出しをした

  • 一方、市況の変化もあり一旦上場を見送り、結果そこまで大きな波を作れず安定的なPLで推移

上場前後の利益の推移は特にSaaSのようなJカーブモデルにとっては重要なポイントで、みんな結構意識していると思います。
これが本当なら上場時期を何らかの理由で1-2年ずらしていて(シンプルにSaaSバブル崩壊な気もするけど)、これってSOをがっつり活用する組織にはしんどいプレーなんですよね。
オールドスタイルな資本政策によりこの選択肢を取れるのはめっちゃ強みだと思います。
(採用力を犠牲にしすぎて新規事業が立ち上がらず詰みかけているけど)

P19~:従業員数

売上予想70億円強に対して234名なので、一人当たり売上が3,000万円ほど。ARR100億円を超えているSaaS企業でも一人当たり売上は2,000万円を下回ることが多く、生産性は相当に高い。加えて、平均年間給与も641万円と比較的安くここが利益の源泉であるのだろうなと。

これはDC本部(おそらくデータクレンジングの略でしょう)に属する従業員が約半分で、比較的単純作業なのでそこまで高い給料ではないことも影響していると思います。
DC本部を仮に派遣さんが賄うなどでオフセットすると正社員あたりの利益が5,000万とかになるのかな?これだけ見ると強烈ですね

P31~:社債

別途P58のBSを見ると、一年以内償還予定の社債で20百万円の記載あり

昨年なぜだか社債を1億円ほど発行しています。一年以内が2,000万円あるのでおそらく5年満期ですかね。
ここまでキャッシュリッチで新規発行もほぼしていない当社が1億円ほどのキャッシュのために社債発行するのは結構謎が多いですね・・・
この会社、なんかこういうの多いんだよな。昭和のオーナー企業という感じ。詳しい人教えてください。

P71~:PL関連

PLの内訳を見てみて驚いたのがここ2年ほど、トップラインは毎年20%で伸びているのに販管費の金額がほとんど変わっていません(それで利益が大きく伸びている)
内訳を見る限り人員は増えているのですが広告宣伝費は減少しています。絞って利益を出しに行ったのか、国内のマーケットで認知を取り切ったので投下する先がないのか。
後者であればちょっと心配だけど、仕方ない運命。

なんとなく、人もそこまで増やさず、強烈なインセンティブがないので強い人もハイアリングできず、よって強い新規事業立ち上がらず、さらに広告まで絞っているということになります。
ここまで書いた時点でここってもはやスタートアップでなくIT中小企業なのでは・・・?と思えてきます。いや、実際はじめからそういうバリュエーションだから私が勝手に幻想を見ていたのか。誰もスタートアップだなんて言ってないもんな。

P81~:ストックオプション関係

ちょいちょい言及している株問題、ここですね。

ストックオプションはコタエル信託(いわゆる信託SOというやつですね)にプールしていた434千株のみ、それも昨年全て償却しています。
これは昨年のゴタゴタがあったので仕方ないですが、この後対象となるはずだった従業員に再発行はされたのでしょうか。
P106を見る限り生株を持っているのも会長のみなので、現時点では会長以外の誰も(社長ですら)株を持っている事実は確認できていません。

そして会長は株価の下げ圧力を意識せず結構なポーションを売出。うーん、だいぶ苦しい。色々しんどい。

仮に信託に出していた株が全て従業員の手に渡っていた場合でも、その価格は全体の5%ほど、8億円。230名の従業員を考えると決して多いとは言えないと思います。
創業が1990年とSaaSスタートアップの中では老舗の部類に入るので、今と比べるとだいぶ常識が違うなぁと思います。
(2000年前後に創業した会社といえば楽天、サイバー、DeNA、エムスリーなどがその筆頭ですが、これらの会社と比べてもだいぶレアなケースに見えます。1990年代中盤から後半にかけて実務のプラクティスが急速に発展したということかもしれません。あとは当社が比較的労働集約的な業態であることも影響しているでしょうか)

P100~:取引先別明細

売掛金の1位にSalesMarkerがいますね。あまりこの手のサービスで後払いというのは聞かないので、あるとしても1ヶ月と考えるのが一番自然な気がします。

となると月額1,870万円(税抜コストベースで1,700万円)のコストということになります。年間2億円強
SalesMarkerのデータベースの裏側でユーソナーのデータを使っているということでしょうが、SalesMarker自体おそらくシングルデータベースではないはずなので、SalesMarkerはDBコストだけで月間数千万円は使ってそうです。それでも100人以上のクレンジング人材を抱えるのに比べたらだいぶ安いので、良い座組かなと思います。

総括

さて、めっちゃ長くみてきました。前後編合わせるとほぼ6,000文字。

個人的にまとめるとざっと以下のイメージです。結論は冒頭の通り[ケン]です。買いません。笑

Good Point

  • ビジネスモデルはこれからの時代を考えるとGood

  • SOゴールがないが故に上場前後の従業員のリテンションも大きな問題なく、安定的に推移(むしろ採用力は上がる)

Bad Point

  • 国内のマーケットが限定的

  • 労働集約的なので資本で殴られた時の差別化優位がどこにあるのかが不透明

  • 新規事業が全くパッとしない、強い人いなさそう。報酬設計大きく変えないと人のレベル上がらない

fore more

  • 経営陣をガラッと変えて、報酬制度を再設計(年俸X千万円出せるようにする)、その上で採用メッセージをシャープにして「データxAIでダイナミックにやる新規事業責任者募集」で採用

  • スピンアウトするなどして適切なインセンティブを設計

  • 上記を実現するためのM&Aを同時並行で走らせる

雑記

証券番号ってついに(?)アルファベット使うようになってるんですね、、、いつからだろうと思ったら2024年1月からでした。気づかないもんだ。

あと、シンプルに連番で採番してるっぽくて、単純ですごく嫌。
今度は医療用ウェアのクラシコさんの目論見書解説します。

よければ事前に目を通して意見を持ってから読んであげてください!


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