【報告/宣伝】四節の輪舞曲
初めてのkindle出版をしました。
ここに至る経緯は別記事で書いていますので、そちらをご参照ください。あ、経緯に加えて、「みんな、kindle出版しようぜ!」というお話です。
で、こちらの記事では、本書の宣伝とあとがきみたいなものです。
というか、ほぼあとがきです。なので読むのは、本当はあとが良い気がします。
ご興味を持ってくださった方はできれば先に、本の方からご覧ください。
kindle unlimitedで無料で読めます。
なお記事でもアップしていますが有料記事としております。世の中にお金を出してまで読んでくださった方がいるので、それをネットで読める状況はかえって失礼かと思ってのことです。
なので、マジでKindle Unlimitedからの方が良いです。ひよこに駄賃をあげたい人だけ記事をどうぞ。
kindle版はこちら↓↓
ひよこに駄賃をあげたい人はこちらのマガジンへ↓↓
タイトル『四節の輪舞曲』
音楽で言うロンド形式は、3拍子の踊りです。
踊りやすいようにフレーズの並びが決まっていてA-B-A-C-A-B-Aといった感じで進みます。
そんなイメージで春から冬にかけてテーマに沿って短編と散文詩を並べました。
散文詩 旅立ち
春の短編 桜との約束
散文詩 雨の日
夏の短編 恋とニンニク
散文詩 腐葉土のように
秋の短編 無花果
散文詩 MERRY CHRISTMAS !
冬の短編 氷の女王
散文詩 転生
◆散文詩 旅立ち
日の出前の、まだ寒くて誰もが眠っている時間に起きるワクワク感が書きたかったのです。大学生くらいのときの散文ですが、短編集の最初にはもってこいな内容かなと思いピックアップしました。
◇春の短編 桜との約束
「ねえ、寒くないの?」
彼女は驚いたように、振り返る。無遠慮に顔を近づけ、私を上から下まで眺めると、彼女は口を開いた。鈴のような、美しい声だった。
「へぇ、あなた、私が見えるのね」
彼女は興味深そうに私の顔を覗き込む。彼女の瞳が、光の加減で深緑色に見える。
「え? どういう意味ですか?」
心の奥まで見透かされそうな瞳から逃げるように、私は思わず後ずさる。その様子を見て、彼女はふと表情を和らげる。
「大丈夫、寒さには強いの」
祖父の危篤を知り、一切連絡を取っていなかった実家へ母と帰省する。叔父夫婦の冷遇を受ける中、しだれ桜の下で不思議な女性と出会う……
noteを書き始めて間もない頃、清世さんがされていた#第二回「絵から小説」という企画用に書かせていただいた短編です。note内ってこんな面白い交流の仕方があるんだなぁと感激し、他の方の作品をむさぼり読んだ記憶があります。
ソメイヨシノは寿命が6,70年らしいですが、しだれ桜は300年くらい生きるそうです。そういう話から着想を得て書かせていただきました。
◆散文詩 雨の日
梅雨時期をテーマにした散文です。
雨って中途半端に降られるとタオルやハンカチで必死で拭きますが、ガッツリ濡れてしまうと逆にテンションが上がります。家に帰った後には下がりますが。
それくらいの気分で書いていたのですが、note公式の#一歩踏みだした先にという企画でアップしてみたら意外と人気を博しました。
この企画、相当人気があったみたいで、これともうひとつ別の記事も載せていますが、どちらもたくさんの方に見ていただけました。
◇夏の短編 恋とニンニク
「だって、先輩だって屁の臭い女より、臭くない落合さんの方がいいに決まってるじゃん」
「その人、臭くないの? というか、乙女が屁とか言わない」
「知らないけど、顔的に?」
「べつに梨花も臭そうな顔してないよ」
「私は臭くてもおかしくないけど、落合さんはアイドルっぽいもん。トイレとか行かないっぽいもん」
彼女は苦笑してグラスをテーブルに置く。視線を外から私に戻し、諭すように言う。
「人間は誰でも、何か食べればトイレへ行きます。その落合さんだってニンニクを食べれば、口臭はします。おならだって出ます」
「きっとくさや食べてもフローラルな香りがするもん」
「そんなに言われると、お会いしてみたいね。落合さんに」
降参、というように彼女は肩をすくめる。
私は重大な失態を犯した。しかも憧れの先輩の目の前で。軽音サークルに入部した大学生のオカルト&恋愛コメディ……
実在の人物、実在の場所を舞台にデフォルメして書き、その実在の人物に見せるために書いた短編です。
何年前に書いたのかは覚えていませんが、今はCDとか出てきても違和感あるかなぁとか思いつつも、こういったラノベタッチのコメディは好きなので掲載しました。
一応知っている人が読んだ時に特定されない程度に当時から設定や内容は変更しています。
◆散文詩 腐葉土のように
大量にお話を書いていた時代、インプットが全然間に合わず、創作が頭打ちになりました。書きたいのに書けない苦しみを思い出す散文です。
インプットというのは読んで、体験してすぐにアウトプットできるようなものではなくて、時間をかけて糧となっていくんだなと実感し、この後創作はしばらく休憩していました。
◇秋の短編 無花果
来た道を辿って自然から抜け出してしまえば、白い縁石を挟んで塗り固められた灰色の歩道と自動車用の道路があったのだけれども、そのときは引き返すという選択肢があることに気がつきもしなかったのだ。微かに残った幹と空も、広がり続ける圧倒的優位にある楓の紅葉に浸食され、僕は頭の中心部が重く鈍くなっていく。
ここの楓はすごいでしょう、毎年この頃には一面が赤く染まるのよ。
その声が僕の頭の中だけのものなのかそれとも外側から聞こえてきたものなのかの判断がつかず、散ってしまいそうになっていた意識をかき集めて重くなった瞼を押し上げると、銀色の糸で緩やかな曲線を描く蔦の文様の刺繍が入った肌触りの良さそうな白いワンピースに袖を通した、屋外へ出すのがはばかれるような病的とも思えるほどに華奢な手足をした十三、四歳くらいの少女が、年齢不相応な大人びた笑みを口元に浮かべて僕を遠くから見つめていた。
楓の樹の葉はどれも完全に紅葉していて、地面には落葉して土に還ろうとする臙脂、周囲から頭上を覆うようにして落葉前の紅が世界を彩り支配する……
大学生の時、小説を書く授業がありました。400字のショートショートを何本かと少し長めの短編3つだったかと思います。ショートショートも短編も、各回テーマが決まっていて、それに沿った話を書きました。
そのうちの一つの短編を一部改変して掲載しました。なお、テーマは「官能小説」。
当時ウェブ上の官能小説をいろいろ読みましたがどれもピンと来ず(というかどれも一緒というか……)、こうなったら、そういうシーンが無いけどエロくみえる小説を書こうと考えました。
セオリーに反して一文が長いのは、金井美恵子の作品のような、めまいのような感覚を作りたかったからです。でも長くするのはやっぱり難しい。
◆散文詩 MERRY CHRISTMAS !
乙一『くつしたをかくせ!』という絵本があり、それに触発されました。
いいなあ、私も絵本みたいな雰囲気のクリスマスの話が書きたい、と思ったのです。何より羽住都さんの絵が素敵なので、羽住さんの絵のイメージでお読みいただけると最高に嬉しいです。
◇冬の短編 氷の女王
氷のように冷たい声でした。
「最初の約束だ。凍るがいい」
「構いません。ただしわたしの顔だけはそのまま、凍らせないでください」
女王は、鼻を鳴らしあざ笑います。
「命が惜しいか」
「いいえ。貴女をひとりにできないのです」
男はそっと息を吐き、優しく言葉を紡ぎました。
氷の城に一人ひっそりと暮らす氷の女王。吟遊詩人は女王のため、毎夜月の光の下でお話を語る……
この本のために書き下ろした短編です。
童話チックなものを書きたい、とにかく綺麗な話で最後に載る短編らしく壮大な話にしたいという想いから書きました。
童話チックな話はあまり書いたことが無いのですが、書いてみて良いな、と思ったのは細かな設定は無視してもOK(?)なところ。風邪引かない? トイレとか食事とかどうしてるの? とかは全無視です。普通の小説だったらリアリティのため突き詰めて考えないといけないところをふわっと行ける。書きたいことだけに特化できる。専門の作家さんがいることにも頷けます。
◆散文詩 転生
冬の短編が金色のイメージなので、それを引き継ぐ形でこの散文を選びました。
季節感は無いのですが、転生は季節が巡る1年のイメージに近いので、ラストを飾りました。
以上9作、上梓いたしました。
1mmくらい興味が持てた方は是非、kindle unlimitedに登録の後、ダウンロードをお願いします。たとえ読まなくても、null様の表紙絵が素敵なので、価値アリです。
いいなと思ったら応援しよう!
よろしければサポートをお願いします!サポートいただいた分は、クリエイティブでお返ししていきます。