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吉穂みらい『春告鳥』読了しました

吉穂みらいさん『春告鳥シリーズ』全6巻を読み終えた。
長い長い物語だったけど、例えばドストエフスキーみたいに、この人は誰だっけ?とか、どういう関係だっけ?とかページを行ったり来たりすることなく(巻末の相関図は頼りになりました)、ずっとおもしろく読み続けることができた。

一人の人間の生まれてから死ぬまでの大河小説だと思う。
舞台は近未来。主人公は悩める美しき僧侶、朔浄。
なんちゅう設定!(感嘆してます!)
そして、これってとっても純文学なのではないか、と思う。

存在について、生きることについて、人を愛することについて。人間の根源的な問題に、これでもかと問いを立てて迫っていくみらいさんの思索のバイタリティに圧倒された。
SFなのに舞台は身近でリアルで、人物がひとりひとり丁寧に描かれて生きていて、じっくりと読み進めて行った。

ストーリーが、前の時代とも後の時代とも無理なく自然に往来している。
数奇で抗えない人生をひたむきに生きた朔(朔浄)と、彼に関わり合う人々の軌跡が、一目一目と織り上げられているような、壮大な曼荼羅を思わせる。

朔の世代の前後世代に登場するキャラクターがチラッと顔を出すと、思いがけず知り合いに出会ったようでうれしくなる。
いくつもの世代が舞台になるこの作品のお楽しみの一つだと思う。

最後に、ナユタ(主人公の孫娘)が朔の墓を訪ねてくる。
ああ、円環だなぁ。
春告鳥の声がする夕明かりを感じながら、なぜかそう思った。
(ナユタも複雑かつ丁寧につながるストーリーの主人公)
過酷な人間模様だけれど、端正な物語だったと、しみじみして本を閉じた。


カバーは6巻どれもたおやかな感じで上品です
中でも一番好きな「小夜鳴鳥」のカバー


さあ、こんどは『飛鳥』(上・下)が待っている!


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