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矯正歯科に電子カルテが必要な理由━━。突然の閉院ニュースから考える、カルテ管理と治療情報の引き継ぎ問題

矯正治療は、数年単位で経過を追いながら進めていく治療です。診断内容、治療計画、装置の変更、IPR、アライナーの進行状況、患者さんへの説明内容など、管理すべき情報も多岐にわたります。
本記事では、突然の歯科閉院に関するニュースを踏まえ、矯正歯科医院におけるカルテ管理と、電子カルテの役割について考えます。


突然の歯科閉院ニュースで浮き彫りになった「治療情報が分からない不安」 

2026年5月、矯正歯科の突然閉院に関するニュースが報じられました。治療費を前払いしていた患者さんが、治療の途中で行き場を失っていることに加え、情報番組内では「次の歯科に行く時に情報ゼロで行くのは不安」という声も紹介されています。

このニュースは、矯正歯科医院にとっても、治療情報の管理や引き継ぎの重要性を改めて示すものとなりました。

患者さんの治療情報は、必要なときに確認できる状態で整理されているか。
担当医以外が見ても、これまでの治療経過が分かる形で残されているか。
転院や担当医の変更が必要になったとき、治療を適切に引き継げる記録になっているか。


今回のニュースをきっかけに、矯正歯科におけるカルテ管理や治療情報の引き継ぎについて、改めて考えた先生方も少なくないのではないでしょうか。
歯科矯正は、数年単位で患者さんと向き合う治療だからこそ、診断内容、治療計画、装置の変更、経過観察の記録などを、医院内で一貫して管理しておくことが欠かせません。
そのうえでまず確認しておきたいのが、カルテは法令上も作成・保存が求められている診療記録であるという点です。


カルテは任意のメモではなく、法令上求められる診療記録


カルテは、医院が自由に残す単なるメモではありません。
ご存知の通り、歯科医師法第23条では歯科医師が診療をしたときは「遅滞なく診療に関する事項を診療録に記載しなければならない」と定められおり、同条では、診療録を5年間保存しなければならないことも規定されています。

さらに、歯科医師法施行規則第22条では、診療録に記載すべき事項として、患者さんの住所・氏名・性別・年齢、病名および主要症状、治療方法、診療年月日などが定められています。
つまり、カルテは何となく残しておくものではなく、「どのような診断のもとで、どのような治療を行い、どのように経過してきたのか」を、後から確認できる形で残すための記録です。

カルテは医院内で管理する記録である一方、患者さん自身の治療内容に関わる重要な情報でもあるため、患者さんへの診療情報の提供や開示についても、一定の考え方が示されています。


患者さんへの診療情報提供・開示という視点

今回のニュースで注目されたのは、治療途中で情報が分からなくなることへの、患者さん側の不安です。

今、自分の治療はどの段階にあるのか。
次の医院に、何を伝えればよいのか。
自分の治療情報は、どこまで記録として残っているのか。


こうした不安は、治療費の問題だけではなく、治療情報の管理とも深く関わっています。
厚生労働省の「診療情報の提供等に関する指針」では、診療情報の提供について、口頭による説明、説明文書の交付、診療記録の開示など、状況に応じた方法で患者さんに情報を提供すること、また、患者さん等から診療記録の開示を求められた場合、医療従事者等は原則としてこれに応じなければならないという考え方も示されています。

もちろん、これは「すべての情報を無条件に公開する」という意味ではありません。本人確認、開示を求める人の範囲、開示する情報の内容、手続きの整備などは、各医療機関で適切に対応する必要があります。

それでも、患者さんが自分の治療内容を把握できること。必要に応じて、次の医療機関へ治療情報をつなげられること。これは、長期にわたる矯正治療において、患者さんの不安を減らすための重要な要素の一つになり得ます。
診療情報を「残している」だけでなく、必要なときに確認し、説明し、共有できる状態にしておくことは、これからの歯科医院にとって重要な信頼要素になっていくはずです。


電子カルテに求められる「見読性・真正性・保存性」

カルテを電子化する場合も、単にデータとして保存していればよいわけではありません。
厚生労働省の医療情報システムに関するガイドラインでは、電子保存にあたって重要な考え方として、見読性、真正性、保存性が示されています。

見読性→必要なときに内容を確認できること。
真正性→誰が記録し、変更があった場合にはその経緯を確認できること。
保存性→必要な期間、復元可能な状態で保存できることです。


この3つの考え方は、矯正歯科医院にとっても、診療情報をどう残し、どう共有し、どう引き継ぐ状態にしておくかという課題に直結します。
たとえば、治療計画、使用している装置、IPRの記録、アライナーのステージ、患者さんへの説明内容、画像資料などが、必要なときに確認できる状態で整理されているか。
記録した担当者や、内容を変更した経緯が分かる状態になっているか。
担当医やスタッフが変わっても、これまでの治療の流れを追える状態で保存されているか。

特に矯正治療は長期にわたるため、電子カルテには、情報を「残す」だけでなく、必要なときに確認し、共有し、引き継げる形で管理することが求められます。


転院時に必要なのは、治療の流れが分かる記録

今回の報道では、突然の閉院によって、治療途中の患者さんが不安を抱える状況が伝えられました。治療費の問題だけでなく、「次の医院に行くときに、治療情報が分からない」という不安も取り上げられています。

一方で、番組内では、過去に通っていた矯正歯科の主治医が亡くなった際、医院から別の医院を紹介され、治療を続けられたというエピソードも紹介されています。
この違いは、単に「閉院や担当医不在が起きたかどうか」ではありません。
重要なのは、その後に患者さんをどう支えられるか。そして、次の医院へ治療情報をどうつなげられるかです。

閉院や担当医の変更は、どの医院にも起こり得ること。だからこそ、日頃から治療情報を整理し、必要なときに確認・説明・引き継ぎできる状態にしておくことが、患者さんを守る体制づくりにつながるのではないでしょうか。


矯正歯科の電子カルテは、治療情報を一元管理する仕組みへ


矯正治療は、初診相談→精密検査→診断・治療計画の立案→診断説明→契約・装置の装着→調整→保定…と、一般的には数年単位で進行します。
その過程で積み重なっていくのは、検査資料や診断内容だけでなく、ワイヤー調整の履歴、IPRの部位や量、アライナーの進行状況、患者さんへ説明した内容など、治療の判断に関わる情報です。

しかし、こうした情報が、紙カルテ、画像管理ソフト、診断分析システムなどに分かれて管理されていると、担当医が変わったときや転院が必要になったときに、「なぜその治療方針になったのか」「今どの段階にあるのか」を追いにくくなってしまいます。

このような課題に対して、b-alignは矯正歯科医院の業務に合わせて設計された電子カルテとして、治療計画、画像資料、IPR、アライナー管理、技工指示、契約情報、患者対応履歴など、矯正歯科ならではの情報を一元的に管理し、医院内で共有しやすい形に整えることを目指しています。


カルテは「残す」だけでなく「使える」状態に

突然の閉院に関するニュースは、患者さんにとって治療情報がどれほど重要かを、改めて考えさせる出来事でした。
カルテは、法律上求められる診療記録であると同時に、患者さんの治療を継続していくための大切な情報です。
特に矯正治療は、長期にわたって経過を追いながら進めていく医療だからこそ、診断、治療計画、処置内容、説明内容、経過の変化を、医院として適切に管理していく必要があります。

これからの矯正歯科医院に求められるのは、カルテをただ保存することではありません。

必要なときに確認できること。
担当者が変わっても、治療の流れが分かること。
患者さんに説明できること。
そして、医院の信頼を支える情報基盤として活用できること。
カルテを「残す」だけでなく、「使える」状態に整えておくこと。

それが、患者さんの安心を守り、医院の継続的な診療を支えるうえで、これからますます重要になっていくのではないでしょうか。

カルテ管理の課題は、突然の閉院時だけでなく、医院の承継や事業譲渡を考える場面でも重要です。
紙カルテや個別のシステムで情報が分散している場合、患者情報の整理や引き継ぎに時間がかかることがありますが、診療情報が電子カルテ上で整理されていれば、必要な情報を確認しやすく、承継先との情報共有も進めやすくなります。

b-alignでは、矯正歯科医院向けの電子カルテ導入支援に加え、承継・事業譲渡に関するご相談も承っています。「いつかは考えなければならないけれど、何から整理すればよいかわからない」という段階でも、お気軽にご相談ください。

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参考・引用
・日刊スポーツ「突然の歯科閉院『カルテをちゃんと患者に公開して』SHELLY、情報管理の必要性説く」2026年5月22日
https://www.nikkansports.com/entertainment/news/202605220000184.html
・歯科医師法 第23条
診療録の記載義務および保存義務に関する規定
https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000202
・歯科医師法施行規則 第22条
診療録に記載すべき事項に関する規定
https://laws.e-gov.go.jp/law/323M40000100048
・厚生労働省「診療情報の提供等に関する指針」
患者等から診療記録の開示を求められた場合の対応に関する指針
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/06/s0623-15m.html
・厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第6.0版」
電子保存・医療情報システムの安全管理に関するガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000516275_00006.html


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